【医療業界動向コラム】第207回 地域医療連携推進法人をはじめとする地域医療連携に関する形態
2026.10.23
令和8年7月1日時点で地域医療連携推進法人は66法人の認定を受けている(地域医療連携推進業務を行う一般社団法人を都道府県知事が認定する仕組み)。なお、そのうち1法人(兵庫県 はりま姫路総合医療センター整備推進機構)は、2病院の経営統合を目的とした法人で、すでに経営統合を終えたことから解散されているので、実質的に稼働しているのは65法人となる。
地域医療連携推進法人については、骨太の方針においても地域医療構想を実現するための手段の一つとして明記され続けている。平成29年度(2017年)から制度がスタートして、約10年が経過したところ。都道府県別の傾向を見てみると、北海道・秋田県・静岡県・滋賀県・大阪府・兵庫県・高知県では3法人以上が認定を受けている(図1、図2)。

図1 地域医療連携推進法人一覧 ①(クリックして拡大表示)

図2 地域医療連携推進法人一覧 ②(クリックして拡大表示)
令和8年度診療報酬改定と新たな地域医療構想の整合性が図られ、各地で医療機関の役割分担がより明確化され、地域医療連携推進法人を選択肢の一つと考える地域も今後増えてくることが考えられるが、ここで注意しておきたいのが、地域医療連携推進法人とはあくまでも地域医療構想を実現するための手段の一つであって、法人を設立することが目的ではない、ということだ。地域の実状によっては、一般社団法人や疾病ごとの連携ネットワークを構築するという選択でよい場合もある。改めて連携に関する取組について整理したい。
地域医療連携に関する主な形態を知る
地域医療連携の形態にはいろんな方法がある。ただ、間違いなく言えることは最終的な目標は地域医療構想及び地域包括ケアシステムに資する取組である、ということだ。それはすなわち、地域住民が安心して暮らし続けるための環境整備の一環だといえる。そうした前提のもと、地域医療連携に関する主な形態について整理してみる(図3)。

図3 地域医療連携の主な形態(クリックして拡大表示)
地域医療連携推進法人は都道府県知事による認定を受けて成立する、公益性が非常に高い法人だ。そのためハードルは高いが、法人内での病床・資金の融通ができるなど持続可能な経営を実現するための取組が可能となっている。その一方で、監査が求められるなど本部機能の負担も重くなる。
一般社団法人は、地域医療連携推進法人の前段階ともいえる。ただし、地域医療連携推進法人やこの後紹介するNPO法人と異なり、許認可が不要で、スピーディーに設立ができる。また、薬局やその他企業なども参画することができることから、業種を超えた地域医療介護の課題解決に柔軟に対応できるともいえる。ただし、柔軟な対応ができる反面、実行力・責任の明確化などに課題もでてくる。
NPO法人は先述の通り許認可が必要であり、10名以上の参画者が必要となっている。その分、公益性は高い。いろんな地域で感じるのは、地域医療連携ネットワークシステムを運営する母体としてNPO法人を活用するケースが多い。
法人化することで補助金等の受け皿になり、連携業務が資金を伴って進めやすくなるといえる。ただ注意しないといけないのは、法人に参画する医療機関等に具体的なメリットを実感してもらう、という仕組みが必要だ。地域医療構想の実現、大義も大事だが、そのための個々の医療機関の経営の安定化も大事だ。
法人化までは至らないものの、地域内で任意の協議会を作るケースも多い。但し、補助金などの公的な支援を受けることが難しいこともあったり、一定の強制力のようなものが働きづらいために参画する医療機関の個々の自律が求められるともいえる。 地域内の疾病管理を行う連携を各領域毎に行っていくことも一つの手段だ。法人化をあえて選択しないこうした連携形態は、特に人口が密集し、高度急性期機能を有する医療機関が多い都心部において有効だと考えている。また、一般社団法人等の形態において、領域別の部会を作って、法人本部が管理する、という取組もある。
診療報酬改定のトレンドから読み解く地域医療連携と役割分担の推進
近年の診療報酬では、二次性骨折予防継続管理料や心不全再入院予防継続管理料、がん治療連携指導料など病院と診療所の「横」の連携を評価する項目が増えている。また、特定の領域や機能に注力して実績を積み上げることで「○○充実体制加算」といったさらに高い評価が得られるようになっている。地域医療連携とは地域における役割分担の明確化でもある。新たな地域医療構想と診療報酬の整合性は地域医療連携と役割分担の観点でも図られている。
山口 聡 氏
HCナレッジ合同会社 代表社員
1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

