【医療業界動向コラム】第200回 一部保険外療養(OTC類似薬の薬剤費一部負担)の概要と負担を求めないケースについて方向性がまとまる

2026.08.26

OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会にて、令和9年3月から始まる代替性の高いOTC類似薬の薬剤費の一部を保険給付から除外(OTC類似薬の薬剤費の4分の1を保険外の別途の負担)する「一部保険外療養」に関する、対象となる医薬品や、追加負担を求めない患者・療養の範囲など今後の方向性に関する中間とりまとめが公表された。今後は制度の運用に関する議論がおこなわれる予定となっており、本年秋にとりまとめが行われる予定だ。

技術的検討会の中間とりまとめの概要

一部保険外療養の仕組みのポイントについて確認すると、以下の3点があげられる。
・ 対象となるOTC類似薬は、OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品(77 成分)とすること
・ 当該OTC類似薬を使用する方に当該OTC類似薬の薬剤費の4分の1を保険外の別途の負担としてお支払いいただくこと
・ 引き続き必要な医療が確保されるよう、こども、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、低所得者、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等に対しては、別途の負担を求めない配慮を行うこと

今回の中間とりまとめは、技術的な側面の内容に関するものとなっており、対象となる医薬品、対象外となるケースの考え方について明らかにされている(図1)。

図1 OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会「中間とりまとめ」の概要(クリックして拡大表示)

対象となる医薬品について

対象となる医療用医薬品とOTC医薬品は成分、投与経路が同一で、一日最大用量が異ならないものであり、代替性が特に高い医薬品を対象医薬品としている。なお、剤形が一致するOTC医薬品が存在しない場合であっても、同一成分・同一投与経路のOTC医薬品が存在する場合には、剤形が異なるにとどまることから、代替性は否定されないものと記載されている。
 また、成分の含有量又は濃度が一致しない場合であっても、一日最大用量の設定がない場合や、OTC医薬品の方が医療用医薬品を上回る含有量又は濃度を有する場合には、医療用医薬品の一日最大用量が明らかに高いとまではいえないことから、代替性は否定されないものとしている。ただし、対象医薬品のうち特定の成分については、医療用医薬品とOTC薬品が同一の成分であっても効能・効果が一致しない場合がある。そこで、OTC医薬品において認められていない効能・効果を目的として医療用医薬品を使用する場合は、別途の負担を求めないこととされた。

一部保険外療養による負担を求めない患者と療養の範囲について

がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等には、一部保険外療養による負担を求めないことが明確にされている。

また、「がんの治療中に、がんやその治療に関連して生じた状態」に対する対象医薬品の使用についても負担は求めない方針となっている(図2)。

図2 がん患者への対応について(クリックして拡大表示)

さらに、公費負担医療を受ける際に対象医薬品を使用する場合、指定難病患者で指定難病及び当該指定難病に付随して発生する傷病に対する対象医薬品を使用する場合、そのいずれにおいても一部保険外療養による負担を求めない方針だ。

また、患者が入院中(退院時を含む)に対象医薬品が処方された場合や処置等の一環として行われる処方に該当する場合、14日分までは一部保険外療養による負担を求めない。

医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える患者の場合について

①内用薬について 
診療情報提供書、薬剤情報、お薬手帳、オンライン資格確認による薬剤情報等により、年間処方日数がおおむね50週を超える場合は一部保険外療養による負担の対象外とすることが示されている。なお、診療情報提供書等で確認できなかった場合は原則一部保険外療養の対象になるが、寝たきりの活動量低下に伴う慢性便秘症に対して、酸化マグネシウムを「90日分ずつ年4回」、「28日処方を概ね月1回」又は「リフィル処方箋の使用により同一処方が年間を通じて継続」で処方されるなど、年間処方日数がおおむね 50週に該当すると考えられる場合は医療上必要があるとできるとのことだ。

②外用薬について
外用薬については、種類・類型ごとに整理されている。特に影響が大きいと考えられる鎮痛消炎剤と皮膚保護材については、一定の条件があるものの令和10年度まで経過措置が設定されている。

抗真菌外用薬、消毒薬については一部保険外療養の対象となるが、点眼薬については通年性がある場合は一部保険外療養の対象外とされる。

鎮痛消炎剤については、令和 10 年度末までの経過措置として、疼痛等の自覚症状が持続しこれまで通年で使用しているだけでなく、画像検査などで慢性かつ重度の疾患であることが客観的に確認され、医師が年間を通じた疼痛管理として継続使用が医療上必要と判断し、毎日使用することを指示して処方する場合に限り、一部保険外療養の対象外となる。

皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤についても令和 10 年度末までの経過措置として、当該患者に対して毎日使用することを指示して処方する場合に限り、一部保険外療養の対象外となる。

今回の議論は技術的側面についてだったが、今後は制度の運用に関する議論もおこなわれ、本年秋にとりまとめが行われる予定だ。先月閣議決定された骨太の方針2026では、「OTC類似薬の保険給付の見直しの施行とその状況等を踏まえた2027年度以降の対象範囲の拡大に向けた検討」と明記されていることから、一部保険外療養の対象については、今後も折を見て議論され、拡大されていくことになるだろう。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

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