【医療業界動向コラム】第202回 包括期充実体制加算と在宅医療充実体制加算の届出状況

2026.09.11

令和8年度診療報酬改定では、積極的に地域医療の後方支援機能を担う病院を評価する「包括期充実体制加算」と積極的に在宅医療に取り組む医療機関を評価する「在宅医療充実体制加算」が新設された。新たな地域医療構想に伴いはじまる「医療機関機能報告」における「在宅医療等連携機能」に該当する医療機関で、実績の高い病院をより高く評価するものといえる項目だ。そのため、求められる施設基準と実績要件は高いものとなっている。では、診療報酬改定後の本年7月1日時点の届出状況を確認してみよう。

主に地域医療機関の後方支援を評価する包括期充実体制加算

令和8年度診療報酬改定で新設された包括期充実体制加算とは、許可病床200床未満の急性期病棟を有しない保険医療機関における地域包括医療病棟又は地域包括ケア病棟による在宅・介護保険施設の後方支援(積極的な受け入れ)機能を評価するものである。「急性期病棟を有しない」となっている点に注意が必要だ。なお、下り搬送の受け入れや退院時共同指導料などの実績が求められる(図1)。

図1 包括期充実体制加算の実績要件  (クリックして拡大表示)

包括期充実体制加算とは、主に在宅等で医療依存度の高い患者の看護・介護をする方の負担軽減ともなるレスパイト入院など、地域医療の後方支援機能を評価するものだ。令和8年7月1日時点では、包括期充実体制加算を125病院が届出をしていることが確認できる(図2)。

図2 包括期充実体制加算の届出状況(令和8年7月1日時点)(クリックして拡大表示)

さらに詳細を見てみよう。地域包括医療病棟入院料を届け出る病院では、58病院が届け出ていることがわかる。ということは、地域包括ケア病棟入院料を届け出る病院では、67病院が届け出ていることになる(図3)。

図3 地域包括医療病棟入院料+包括充実体制加算の届出状況(令和8年7月1日時点)(クリックして拡大表示)

新たな地域医療構想では、病床機能報告の回復期が包括期へと表現とその役割が見直されることになる。治し、支える医療という言葉が昨今よく使われるが、包括期充実体制加算は「支える」を表すものといえる。急性期と地域のHUB機能、在宅や自宅の介護者の負担軽減も含めた後方支援機能など期待される。ただし、先述のように包括期充実体制加算の届出には連携に対する積極的な取り組みの実績が求められる。今後も届出を目指す病院が増えていくことが考えられるが、連携に関する会議の機会が増えてしまい、直接的なケア以上に間接業務の負担が重くなってしまうことが懸念される。会議やカンファレンスの合理化(他の会合とセットで行うなど)やAIなどを利用した議事録の作成など、効率化も合わせて追及していくことが必要になるだろう。

在宅医療充実体制加算は531医療機関が届出。病院は38病院が届出

積極的に在宅医療に取り組む医療機関を評価する在宅医療充実体制加算が新設されている。非常に高い点数である一方で、こちらも求められる要件は高く、果たしてどれだけの医療機関が届出ができるのか、気になっていたところである。令和8年7月1日時点では、531の医療機関の届出が確認されており、そのうち病院は38施設だった。思いのほか届出は多かったといえるのではないだろうか(図4)。

図4 在宅医療充実体制加算の届出状況(令和8年7月1日時点)(クリックして拡大表示)

新たな地域医療構想においては、外来・在宅も対象になるが、在宅医療充実体制加算を届出医療機関が地域の在宅医療の拠点のようになってくることが考えられる。また、最近比較的規模の小さい病院が無床化し、在宅医療を強化していくことも耳にする。新たな地域医療構想の議論とあわせて注目したい項目だ。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

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