【医療業界動向コラム】第205回 かかりつけ医機能報告の報告率は約80%。5年後の見直しに備えておきたいこと
2026.10.13
令和8年1月から3月にかけて報告が求められた「かかりつけ医機能報告制度」だが、令和8年8月17日時点の集計で報告対象となる医療機関(特定機能病院と歯科医療機関以外が対象)114,437施設のうち92,545施設(80.8%)が報告していることが明らかにされた。
かかりつけ医機能報告で報告された内容は医療情報ネット(ナビイ)に掲載され、地域住民や医療・介護・福祉関係者も閲覧できるようになっているとともに、地域医療構想調整会議とあわせて開催されていくことが考えられる「外来医療の協議の場」において利活用されていくことになる。
改めて確認しておきたい「かかりつけ医機能報告」のねらい
かかりつけ医機能報告は今後も毎年1-3月の間に医療機能情報提供制度と合わせて報告が求められるもの。なお、所定の期日までに報告がなかった場合、都道府県知事より新たに報告期日が設定され、催促されることがある。その催促にも応じなかった場合に三十万円以下の過料に処されることになる(図1)。

図1 かかりつけ医機能報告制度(クリックして拡大表示)
かかりつけ医機能報告で報告する情報は、医療情報ネット(ナビイ)に掲載され、地域住民や医療機関・介護事業者にもわかるようになる。地域住民にどういった診療領域に対応できるかが知られることで、時間外の対応など負担が重くなるなどと言った不安をよく耳にしたが、実際の所、そうした不安になるような事象は起きにくいだろう。医療情報ネット(ナビイ)の項目を見ればわかるが、どちらかと言えば、医療機関や介護事業者に向けた情報となっているものが多く、地域住民が自ら受診先を決める、というよりは医師を始めとする地域の医療従事者が連携先を決める、という使い方にあったものだ。地域住民の場合は、医療機関のホームページや、口コミで受診先を決めているケースの方が多いだろう。ゆえに、地域住民に対しては、自院のホームページでわかりやすく発信することが第一だといえる。
5年後に見直しの予定。今から意識しておきたいこと
かかりつけ医機能報告制度自体は令和7年度から施行されている。そして、施行から5年後に見直すことが決まっている。施行から5年後は令和12(2030)年、すべての医療機関に電子カルテが約100%導入されていると目標を掲げた年だ。ということは、5年後の見直しでは電子カルテ及び電子カルテ情報共有サービスの活用が求められることになる可能性が高い(図2)。

図2 かかりつけ医機能報告制度で任意の報告事項(クリックして拡大表示)
他にも、地域包括診療料/地域包括診療加算等で求められるような研修の受講や一次診療対応可能な領域・疾病に関する実績報告なども考えられるだろう。令和9年1月頃には電子カルテ情報共有サービスの運用が開始され、同じ年4月からは標準型電子カルテ/厚生労働省が認証する電子カルテのリリースが始まる。先を見据え、今から計画的に対応を検討しておきたい。
また、診療報酬との整合性も今後図られてくる可能性がある。例えば、令和8年度診療報酬改定では心不全再入院予防継続管理料が新設された。今後は、一次診療対応可能な疾病として心不全にチェックを入れているか、さらに診療実績が一定数以上あるか、など施設基準に盛り込まれてくる可能性もあるだろう。令和8年度診療報酬改定が新たな地域医療構想との整合性を図ってきているように、今度はかかりつけ医機能報告制度との整合性を図ることも考えられるだろう。
山口 聡 氏
HCナレッジ合同会社 代表社員
1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

