【医療業界動向コラム】第208回 診療報酬改定後、療養病棟入院基本料を届け出ている病院は15病院減少も、経腸栄養管理加算の届出は1,000病院を超える

2026.10.29

令和8年度診療報酬改定後の療養病棟に関する施設基準の届出状況(令和8年9月1日時点)を確認し、現状の把握と今後の傾向について考えたい。

療養病棟入院基本料、診療報酬改定後は緩やかな減少

新規で3病院が届出をする一方で、15病院が取り下げており、差し引きで▲12病院となった。広島県で4病院が取り下げ、兵庫県と福岡県ではそれぞれ3病院が取り下げている。北海道と四国では増減はなかった(図1)。

図1 療養病棟入院基本料の届出状況(HCナレッジ合同会社にて調査・集計)(クリックして拡大表示)

訪問看護を併設する高齢者住宅などはまだ多くある。緊急対応を含む医療依存度の高い患者への対応ができること、自宅に帰ることを目的とした入院であることを明確にして、競合ではなく、役割の違いを通じて共存できる関係であることを明確にしていくことが必要だ。

そこで確認しておきたいのが在宅復帰機能強化加算だ。残念ながら、診療報酬改定後届出数は▲9施設となっている(733病院)。ただし、療養病棟入院基本料の届出自体が減っていることを考えると、ほぼ変動はないといえる(図2)。

図2 在宅復帰機能強化加算の届出状況(HCナレッジ合同会社にて調査・集計)(クリックして拡大表示)

令和8年度診療報酬改定に向けた議論では、在宅復帰機能強化加算の見直しについても議論されたが、今回は見送られた。令和10年度診療報酬改定では注意しておきたい点であり、地域の高齢者住宅等との差別化の観点からも取り組みを前向きに検討したい。

経腸栄養管理加算の届出割合は37.3%に。摂食嚥下機能回復体制加算3は微増で届出割合は3.2%

在宅復帰を促進していくためにも、患者が自立して栄養摂取をしていくことは重要だ。そこで、令和8年度診療報酬改定では摂食嚥下機能回復体制加算3の実績要件が緩和され、経腸栄養管理加算の対象が拡充された。摂食嚥下機能回復体制加算3について見ると、実績要件に経腸栄養から経口摂取へ移行した患者も加えてよいことになった。これまでは、中心静脈栄養からの移行のみが対象であった。加算の届出をしているものの、実績を満たせず算定に結びつかなかった病院が多かったことに対する対応でもある。

摂食嚥下機能回復体制加算3の診療報酬改定前後の推移を見てみよう(図3)。

図3 摂食嚥下機能回復体制加算3の届出状況(HCナレッジ合同会社にて調査・集計)(クリックして拡大表示)

17病院で新規届出があったものの、7病院が取り下げている。差し引きで10病院増となっている。届出割合で見ると3.2%。ただし、先にお伝えしているように療養病棟入院基本料は15病院の取下げがあったことを考慮しておく必要がある。

経腸栄養管理加算について確認してみよう。図4は令和8年5月1日時点と9月1日時点の届出状況の推移である。前回調査した7月1日時点から9月1日時点の推移をカウントしてみると、1病院の増加にとどまっていた。ただし、療養病棟入院基本料の届出が減少しているため、届出割合で見ると37.3%となっている。

図4 経腸栄養管理加算の届出状況(HCナレッジ合同会社にて調査・集計)(クリックして拡大表示)

経腸栄養管理加算の実績の積み上げが摂食嚥下機能回復体制加算3にも関わってくることになる。訪問看護付き高齢者住宅とは異なる、療養病棟入院基本料ならではの対応をさらに強化していくことで、共存していく道を探していくことを続けたい。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

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