サ高住経営とは?失敗しない経営のポイントやメリット・デメリットを解説

2023.05.18

サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」と称する)は経営面で税率優遇のほか、収益性の高さから注目されており、登録件数は増加傾向にあります。しかし、税制の優遇措置や補助金の申請には厳正な条件があり、経営にはリスクが伴うことを認識しておくことが必要です。

この記事では、サ高住を経営する際のメリット・デメリットのほか、失敗しない経営のポイントを解説します。サ高住の経営について問題をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。

サ高住経営の基準

サ高住を経営するために必要な資格はありません。ただし建設補助金や税金の減額措置を受けるには、都道府県から登録を受ける必要があります。サ高住の登録には以下の要件を満たす必要があります。

設備要件
1戸当たりの床面積は原則25㎡以上
(浴室やキッチンなどを強要する場合は18㎡以上)
居室内に水洗便所・洗面台完備
バリアフリー構造
トイレ、浴室に手すり設置
トイレ、浴室に手すり設置
提供サービス
生活相談
居室内に水洗便所・洗面台完備
ケアの専門家による安否確認
(社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所等の職員または医師、看護師、介護福祉士、介護支援専門員、ヘルパー2級以上の資格を有する者)
※専門家が常駐しない場合、緊急通報装置の設置が必要
契約
書面による契約であること
居住部分が明記された契約であること
権利金やその他の金銭を受領しない契約であること
入居者が入院または入居者の心身の状況の変化を理由として、入居者の同意を得ずに居住部分の変更や契約解除を行わないこと
サ高住の工事完了前に、敷金及び家賃等の前払金を受領しないこと
(※)参考:サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要

また、サ高住について詳しく知りたい方は、下記のページをご参照ください。

関連記事:「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?入居条件や設備の特徴、サービス内容を解説

サ高住の4種類の経営方式

サ高住の経営方式は大きく分けると4種類あります。それぞれの方式について解説します。

①一括借り上げ方式(サブリース)

一括借り上げ方式とは、土地のオーナーが建てた建物を事業者に貸し出し、賃料として収益を得る方式です。一括借り上げ方式には以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】

  • ノウハウのある事業者が経営に関わるため、撤退や廃業のリスクを軽減できる
  • 賃料として毎月安定した収入が得られる

【デメリット】

  • 賃料収入の20%を手数料として事業所に支払う必要がある
  • 大規模な修繕費用や固定資産税を負担する必要がある
  • ほかの経営方式と比べて収益性が低い

②テナント方式

テナント方式とは介護サービスのみを事業者に任せ、入居者募集や契約、メンテナンスは土地のオーナーが行う方式です。入居者から賃料、事業者からはテナント料が得られます。テナント方式には以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】

  • 収益性や利回りが非常に高い
  • 入居率が高ければ収益が上がる

【デメリット】

  • 空室リスクを負うため、経営能力が求められる
  • 業者の選定を慎重に行う必要がある

③委託方式

委託方式とは、介護サービスだけを事業所に任せ、入居者募集や契約、メンテナンスを土地のオーナーが行う点はテナント方式と同じです。入居者からの賃料と介護サービス費用の収益が得られますが、事業者に手数料を支払う必要があります。委託方式には以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】

  • 入居者数に比例して収益が上がる

【デメリット】

  • 空室が増えると収益が下がる
  • テナント方式と比べると、収益が安定しづらい

④自営方式

自営方式とは、その名の通りサ高住の経営に関するすべての業務を土地のオーナー自ら行う方式です。自営方式には以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】

  • 成功すれば最も高い収益を得られる可能性がある

【デメリット】

  • 収益性が最も高い反面、リスクも最も高い傾向がある
  • マーケティングや経営能力など、人並み外れたセンスや努力が必要

サ高住を経営するメリット

サ高住を経営するメリットは4つあります。

  • 将来性がある
  • 固定資産税の減税措置がある
  • 不動産取得税の軽減措置がある
  • 国から補助金を受けられる

サ高住を経営するメリットについて、一つずつ解説します。

需要が伸びており将来性がある

近年、サ高住の需要が高まっており、将来性が見込めることはメリットといえるでしょう。

実際にサ高住の需要の伸びを示す根拠として、グラフを紹介します。

高齢者向け住まい・施設の利用者数

 (※)出典:国土交通省ウェブサイト「高齢者向け住まい・施設の利用者数

ほかの施設形態と比べると、創設されてからサ高住の利用者数が急増していることがグラフから読み取れます。

利用者数の増加の背景に考えられるのは、以下の理由です。

  • 低価格な特別養護老人ホームに空きがない
  • 自宅に近い住宅環境で生活の自由度が高い
  • 入居条件が比較的緩やか
  • 初期費用が比較的安い
  • 必要なサービスを選択できる

固定資産税の減額措置がある

固定資産税の減額措置を受けられる点も、メリットの一つです。サ高住を新築後5年間のみ、建物にかかる固定資産税が減額されます。軽減率は50%から83%までで、各自治体によって異なります。

固定資産税の減額を受けるには以下の条件を満たす必要があります。

  • 1戸当たりの床面積30㎡以上180㎡以下(共有部分を含む)
  • 戸数は10戸以上
  • 主要構造部が耐火もしくは準耐火構造
  • 建設費補助を国もしくは地方公共団体から受けていること

不動産取得税の減額措置がある

固定資産税に加えて、不動産取得税の減額措置もあります。不動産所得税は家屋と土地の税制優遇が適用されます。家屋は戸数×1,200万円が課税標準から控除され、土地は以下のいずれかのうち大きい方が減額されます。

  • 45,000円
  • 家屋の床面積×2(200㎡/戸が上限)×1㎡あたりの家屋の評価額×1/2×3%

なお、不動産取得税の減額を受ける条件は、固定資産税の減額条件と同じです。

国から補助金が出る

建設や改修の費用に対して、国の補助金を受けられることもメリットの一つです。サ高住を新たに建設したり、改修を行ったりする場合には高額の資金が必要となります。

補助金の額は建物が新築か改修かによって上限が定められており、建設費用の10分の1と以下の表の限度額のいずれか低い金額が補助されます。

新築補助率限度額
夫婦型1/10135万円/戸
一般型(床面積30㎡以上)1/10135万円/戸
一般型(床面積25㎡以上)1/10120万円/戸
一般型(床面積25㎡未満)1/1070万円/戸
改修補助率限度額
既存ストック型1/3195万円/戸
夫婦型1/3195万円/戸
一般型(床面積30㎡以上)1/3195万円/戸
一般型(床面積25㎡以上)1/3195万円/戸
一般型(床面積25㎡未満)1/3195万円/戸

ただし、支給される補助金は10年間登録運営することが条件です。10年に満たずに廃業する場合は、受け取った補助金を返却しなければなりません。

サ高住を経営するリスク

サ高住の経営にはメリットが多い一方、リスクもあります。サ高住を経営するうえでのリスクには、以下の項目が挙げられます。

  • 投資金額が大きい
  • 建物の転用が困難
  • 法改正・制度改正に対応する必要がある

サ高住を経営するリスクについて、一つずつ解説します。

投資する額が大きい

前述したとおり、サ高住の登録を行うには設備要件を満たす必要があり、一般的なマンションなどの賃貸住宅より投資額が高くなるリスクがあります。

収益を上げるには、入居稼働率を上げて長期的に家賃収入を上げる必要があります。しかし、サ高住の性質上、不確定要素が多い点がネックになる可能性があります。

建物の転用が難しい

そのほか、サ高住向けに建てられた建物の転用が難しいというリスクがあります。何らかの事情により、運営者が事業撤退した場合に建物だけが残ります。

サ高住は高齢者が生活するための構造となっているため、一般的な賃貸住宅として転用することは現実的ではありません。高齢者向けに建てられた建物だけに、汎用性に乏しいといえます。

新しい介護事業者が見つかるまで、無収益の状態でローンの返済や固定資産税の支払いをしなければなりません。

法改正や制度改正で経営状況に影響が出る可能性がある

法改正や制度改正があった場合には、今順調に経営ができていたとしても、その後の経営状況に影響が出る可能性も考えられます。

実際に税制優遇や助成金を受けるための要件は改定されており、今後もいつ改定されるか分かりません。サ高住を経営するうえで、今後の動向を追うことは必須です。

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失敗しないサ高住経営のポイント

失敗しないサ高住経営のポイント

税制優遇の手続きを済ませ、いざ開設したものの経営が思うようにいかず、失敗に終わるケースもあります。サ高住を開設する前に押さえておくべきポイントを、しっかり確認しておきましょう。

  • 保険に加入する
  • 実績のある事業者と契約する
  • 情報収集を徹底する
  • 人材を確保する

保険に加入しておく

サ高住の経営において、保険加入は絶対条件です。不慮の事故が発生した場合に、ご家族から損害賠償を求められる恐れがあるからです。事故は起きるものという前提で保険に加入しておくことで、施設も介護職員も守れます。

加入が望ましい保険としては、以下の保険があります。

  • 生物賠償責任保険(食事が原因による賠償請求に備える保険)
  • 委託事業者賠償責任保険(介護サービスが原因による賠償請求に備える保険)

適切な介護事業者と契約する

サ高住の経営で失敗を避けるには、介護事業所選びを慎重に行う必要があります。特に新規参入してきた事業者は、サ高住運営のノウハウが乏しい恐れがあります。

事業撤退のリスクを避けるには、過去にサ高住経営の実績がある事業者と契約するのがベストでしょう。

情報収集を徹底する

税制優遇や補助金を受けるための要件についてはもちろん、開業資金の調達窓口など、開業前に情報収集を入念に行うことが失敗しないためのカギとなります。

補助金の支給要件について詳しく知りたい方は、下記のページをご参照ください。

関連記事:「【令和4年度】サ高住の補助金とは?支給要件や申請期限、支給されないケースも解説

人材不足を防ぐ

サ高住の経営するうえで、人材確保は重要な問題です。介護型のサ高住では、介護職員を常駐させる必要があります。しかし、介護職員の人手不足は今現在においても解消されておらず、人員確保は容易ではありません。人材を確保するには、収益を上げて社員にしっかりと還元していく必要があります。

関連記事:「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の職種とは?人員配置や役割、平均給与などを解説

まとめ

将来的な需要増加の見込みや税制面の優遇から、サ高住の経営は非常に魅力的であるといえます。そのため、参入する事業者はさらに増えていくことが予想されます。事業者はメリットだけでなく、法改正や運営事業者の能力など、事業継続のリスクについても十分理解しておくことが重要です。サ高住の経営を成功させるには、提携する介護事業者の力量が大きく影響します。

サービス付き高齢者住宅向けの「介護ソフト」を導入すると、入居稼働率を把握して収益の安定化や向上につなげることができます。これからサ高住を経営をされる方は、導入を検討いただくことをおすすめします。

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