サ高住のサービス内容は?安否確認の頻度や基準について解説
2023.02.13
サ高住(サービス付き高齢者住宅)のサービスとは、どういったものかご存じでしょうか。
介護施設と同様のサービスを期待し、事前説明をよく聞かずに契約したご家族と後々トラブルが起きるケースは少なくありません。サ高住の入居前にサービス内容を理解しておくことは、働く職員にとってもご両親を預けるご家族にとっても非常に重要です。
この記事では、サ高住のサービス内容について詳しく解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
そもそもサ高住(サービス付き付高齢者向け住宅)とは
サ高住とは、高齢者が安心して生活できるように必要なサービスを受けられるバリアフリー構造の賃貸住宅のことです。
少子高齢化が進む一方で、高齢者は保証人の確保が難しかったり、一人で亡くなるリスクも高かったりするため、一般の賃貸物件に入居しにくい問題がありました。
サ高住は、高齢者の住まいの問題を解消するために設立された高齢者向けの賃貸住宅です。生活面で自由度の高い特徴があり、外出・外泊の際に届け出が必要な住宅型有料老人ホームなどの介護施設とは異なります。
以前は、高専賃(高齢者専用賃貸住宅)と呼ばれていましたが、平成23年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の改正法が施行されて以降、サ高住に名称が統一されました。
サ高住の概要については、下記をご参照ください。
関連記事:「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?入居条件や設備の特徴、サービス内容を解説」
サ高住のサービス内容とは
サ高住で受けられるサービスには、法律で定められた基本的なサービスのほか、別料金を支払うことで追加できるオプションのサービスがあります。
基本的なサービス内容
サ高住の基本的なサービス内容としては、生活相談と安否確認があります。
サ高住では自立した方や介護度の比較的低い方を入居対象としているため、入浴介助や洗濯・掃除、食事準備などの介護サービスは基本サービスに含まれていません。
なお、介護サービスはオプション扱いとなり、利用には追加料金が必要です。
生活相談
生活相談サービスは、生活するうえでちょっとした困りごとや悩みごとを職員に相談ができるサービスです。
健康上の不安に関する相談はもちろん、以下のような相談にも応じてもらえます。
- スマートフォンの使いかたが分からない
- 買い物に出かけたいが、交通手段が分からない
- 隣の部屋のテレビの音がうるさくて眠れない など
一人暮らしの高齢者に付きまとうのが、困ったときに頼ったり相談したりする相手がいない問題です。そのような場合に生活相談サービスを利用することで、問題を解決することができます。
安否確認
安否確認サービスとは、ケアの専門職員が定期的に利用者の部屋を訪問して健康状態に異常がないか確認するサービスのことです。
一人暮らしの高齢者の体調変化や事故は、発見が遅れやすい傾向にあるため、万一の場合を考えると安否確認が欠かせません。もしもの時に医療機関と連携してもらえることで、利用者だけでなく離れて暮らすご家族も安心して過ごすことができます。
なお、基本的なサービスは資格を持ったケアの専門職員によって行うことが定められています。
ケアの専門職とは下記の職種を指します。
- 社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員
- 医師
- 看護師
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 介護支援専門員
- 介護職員初任者研修課程修了者
オプションで追加可能なサービス内容
サ高住には、要介護度の低い方を対象とした「一般型」と要介護度の高い方が対象の「介護型」の2種類があります。
介護型のサ高住では、基本サービスとは別にオプションで介護や看護サービスを追加できます。具体的には、洗濯・掃除・食事提供といった生活支援サービスや健康チェックや、医療的ケアが受けられる医療サービスなどがあります。
一般型のサ高住でもオプションサービスを追加できることがありますが、基本的に自立または介護度の軽い方を入居対象としているため、多額の費用が必要です。
なお、上記のオプションのサービスを受けるためには条件があり、介護認定の申請を行い、要介護度の判定を受ける必要があります。介護認定の申請は、市区町村の高齢者窓口または地域包括支援センターで手続きできます。
介護度認定の結果、自立(非該当)と判定された方はサ高住への入居自体は可能ですが、介護サービスを受けることはできません。介護度認定を受けたあと、自治体で選んだ居宅介護支援事業所との契約が必要です。
居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成したケアプランに沿ってサービスを受けるため、サービス提供事業者と契約を結ぶことでサービスの提供が開始されます。
なお、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の改正により、2022年9月から一定条件を満たすことでサ高住の日中の職員常駐は不要となりました。
- 居室内の緊急通報装置設置
- 1日1回以上の現地訪問による状況把握
- 電話などによる生活相談サービスの提供
(※)参考:全国賃貸住宅新聞
サ高住の安否確認の基準
サ高住の安否確認サービスは1日1回という以外に明確な定義が存在せず、運営会社によって基準はまちまちです。そこで、安否確認サービスの基準について一例を挙げて解説します。
安否確認の頻度
サ高住は高齢者の住まいという性質上、毎日の安否確認が昼夜問わず必要なのは言わずもがなです。実際、法律では1日1回の安否確認が義務付けられています。
しかし、日中に関しては職員の数も動きも多いため、安否確認を行っている運営会社はそれほど多くありません。そのため、サ高住の安否確認は夜間帯がメインとなります。
とはいえ、入居当初は自立されていた方も年数と共に要介護状態までレベル低下によって体調の悪化や事故につながるケースが多いことから、安否確認が1日1回だけというのは現実的ではありません。
特に終末期を迎えた利用者が居られる場合、見回りの頻度が増えるのは必然です。
人的な安否確認
安否確認の実施方法には、人が行う方法とシステムを使う方法の2種類があります。
人的な安否確認は以下の方法で実施します。
- 毎日決まった時刻に訪問する
- 食事ごとに見守りを実施する
- 電話で安否を確認する
- 夜間に居室を訪問して目視で確認する
- 夜間に居室を訪問して呼吸を確認する
特に夜間は部屋の電気が消えていることが多いため、入念な確認が必要です。
人的な安否確認のメリットは、自分で安否の確認を行うため間違いがない点です。その一方で、全ての居室の見回りに加えて観察記録を書くなどの業務負担が増えてしまうデメリットがあります。
システム的な安否確認
人的な安否確認のほか、IoT設備などを使ったシステム的な安否確認を実施する運営会社もあります。なぜなら人的な安否確認では、居室を訪問しなければ入居者の安否確認が取れないためです。
システム的な安否確認は、以下の方法で実施します。
- 居室に感知センサーを設置し、アラートで検知する
- 居室に監視カメラを設置する
- 夜間の緊急時用に緊急通報システムを設置する
ただし、居室に監視カメラを設置する方法は個人のプライバシーを侵害する問題のほか、入居者のQOLを低下させる恐れがあるため、事前に入居者やご家族の同意が必要です。
システム的な安否確認のメリットは、訪問する必要がなくなることで業務負担の軽減につながる点です。
自立している方や介護度が比較的低い方は、普段通りの生活をするだけで良いのもメリットといえるでしょう。
その反面、アラートが頻繁に鳴ると訪問回数が増えたり、認知症患者の方や呼吸停止・意識消失した方は緊急通報システムを使えなかったりするデメリットがあります。
設備投資に多額の資金が必要なことから、システム的な安否確認を実施している運営会社はまだまだ少数派です。
まとめ
サ高住に入居される方は自立または介護度の低い方が多く、法律上は夜間に職員を常駐させる義務はありません。
介護度の低い入居者は、夜間の見回りによって目が覚めてしまうことを理由に安否確認を拒否される方も居られます。システム的な安否確認にしても、監視されていると思ったら入居者も息が詰まってしまいます。
しかし、サ高住の安否確認の実施は法律で定められているため、必ず行わなければなりません。2019年には高齢者施設で安否確認を怠ったことが原因で、死後2週間後に入居者の孤独死が発覚した事例もあります。
1日1回の安否確認を怠った運営会社には、補助金の返還だけでなく、最悪の場合には登録取り消しの処分を受ける可能性があります。
(※)参考:サンテレビNEWS
このような事例から、サ高住における安否確認は欠かすことができません。そういった場合、「ワイズマンのサ高住向け介護ソフト」をお使いいただくことで、システム内の情報を記録に取り込むことで職員の業務負担を軽減するだけでなく、安否確認のシステム化によって入居者の睡眠を妨げる心配もありません。
サ高住の安否確認の方法は運営会社によって異なります。もし、今働いている運営会社に介護ソフトが導入されていないなら、業務効率化を図れるように担当者に導入を相談してみてください。これからサ高住の職員として働くのであれば、運営会社に介護ソフトが導入されているかチェックされることをおすすめします。
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