サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の問題点とは?現状と解決方法

2022.12.05

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、要介護度の低い比較的元気な高齢者の方向けの施設です。

高齢者にとって自由な生活には同時にリスクが伴います。居室内や廊下など、介護者の目が届かない場所での転倒や転落といった事故が起こりやすいのがその例です。そのため、サ高住の事業者は、設備や人員体制など施設におけるリスクを把握すると同時に対策を図る必要があります。


この記事ではサ高住に潜む問題点について明らかにするとともに、問題の解決方法について解説しています。

サ高住の現状

問題点について考えるうえで、サ高住の現状を知ることが大切です。はじめにサ高住の現状について解説します。

立地

サービス付き高齢者向け住宅の立地状況の調査によると、都市計画区域のうち、市街化区域に建設されているサ高住は全体の3分の2に留まっています。残りの3分の1は、自然環境を保つことを目的とした市街化調整区域を含む区域に建てられており、住宅用地としては不向きな場所に建てられていることが分かっています。

国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」

(※)参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」

施設数

サ高住の施設数は、超高齢社会の中で右肩上がりに増加を続けています。背景には、サ高住の新設時に、補助金の支給や税制面の優遇を受けられることが考えられます。

サービス付き高齢者向け住宅の登録状況(R4.7末時点)

(※)参考:サービス付き高齢者向け住宅の登録状況(R4.7末時点)

サービス内容

サ高住で提供するサービス内容は主に4つにわけられます。

安否確認

安否確認は義務付けられており、日中は介護・看護の書門職員が常駐しています。夜間は介護職員が定期的に巡回して安否の確認を行い、緊急時には医療機関と連携して対応します。

生活相談

生活上の困りごとを相談できるサービスで、これについても義務付けられています。「サービス付き」のサービスとは、安否確認と生活相談のサービスのことです。

食事の提供

食事提供は必要なサービスであることに違いありませんが、オプションのサービスとなります。

健康の維持増進

訪問リハビリテーションを受けたり、デイサービスを受けたりすることもできます。このサービスは介護保険を使って、必要に応じて利用できます。

サ高住の問題点とは?

前述のサ高住が持つ特徴は、入居者・事業者の双方にとって問題点でもあります。具体的には以下の問題点が挙げられます。

立地が良くない施設もある

サ高住の中には、公共交通機関や医療機関へのアクセスが良くない施設もあります。市街化調整地域に建てられたサ高住は、入居者のご家族や職員にとってはアクセスしづらく、敬遠されやすい傾向があります。

職員の体制が整っていない

サ高住の中には職員への負荷がかかり過ぎて、入居者に対するサービスが行き届いていない事業所もあります。これは入居者の受け入れに対応できる職員体制が整っていないのが原因です。

運営体制と入居者のニーズのズレ

生活の自由度が高いサ高住ですが、要介護度や認知症の進行によって従来のサービスではカバーできなかったり、寝たきり状態になることで月額費用が割高に感じたりする可能性があります。

介護サービスや看取り体制が不十分

サ高住には一般型と介護型の2種類があります。一般型のサ高住が割合のほとんどを占めており、一般型では介護サービスを必要としない高齢者の方を入居対象としています。そのため、介護サービスや看取り体制を希望する場合、人員基準が整った介護型のサ高住を選ばなければなりません。

見守り回数や生活相談の増加による職員の負担の重さ

前述の通り、サ高住では安否確認と生活相談のサービスが義務化されています。人員基準が定められていない一般型では人員が少なく、人員基準が定められた介護型では介護サービスを提供しながらこれらのサービスを行わなければなりません。職員1人当たりの負担は必然的に重くなります。

事業者ができるサ高住における問題点の解決方法

上記で述べた問題点の中には、事業者側で解決できるものもあります。それが以下の2点です。

サ高住を建設する際の立地を検討する

一つ目はサ高住の建設場所を市街化区域に限定することです。建設費用が高額になってしまいますが、求人応募者や入居希望者を集められなければ元も子もないからです。

登録基準が少ないうえに国から補助金を得られるサ高住は、今後さらに建設が進むことが予想されます。生存競争が激化するのは明らかで、競争力のない施設は将来的に淘汰されていくでしょう。

設備や人員体制を整える

二つ目は介護サービスを十分に提供できる設備や、人員体制を整えることです。入居者を受け入れる前に人員体制を整えることを優先します。

また、入居者の要介護度が上がった場合に備えて、介護福祉士・看護師・介護支援専門員・ヘルパー2級以上の有資格者を常駐させておくと安心です。

設備に関しては、以下の基準を満たしていることを確認します。

  • 居室面積が25㎡以上かつバリアフリー
  • 廊下幅78㎝以上(柱がある場合は75㎝以上)
  • 浴室(短辺120cm、面積1.8㎡以上)
  • エレベータ(3F建て以上の場合、出入口のある階に停止すること)
  • トイレや浴室に手すりがある

サ高住の整備等のあり方検討会とは?

サ高住の整備等のあり方検討会とは?

サ高住の整備などのあり方検討会とは、地域包括ケアシステムの構築等に向けたサービス付き高齢者向け住宅の質の向上や適正立地など、時代のニーズに合った施策を徹底して見直し、検討することを目的にした会のことです。

検討会の結果、サ高住の今後の方向性が以下の通りに定められました。

  • 日常生活圏域で、高齢者の住まいと医療・介護等のサービスが適切に提供される体制を実現する
  • 単なる住まいではなく、地域包括ケアを担う存在として捉え、まちづくり全体の中に位置づける

ほかにも下記のとりまとめがなされました。

適切な立地の推進、適切な医療・介護サービスを利用できる地域コミュニティの形成

【対応状況】

  • 新たに補助金を受ける物件について、市町村への意見聴取を義務化
  • 高齢者住まい法の改正により、市町村の高齢者居住安定確保計画を制度化
  • 都道府県・政令市高齢者住宅施策担当課長会議を開催、 関連する福祉施策も含めて情報提供

低所得者の高齢者の住まいの確保

【対応状況】

  • 空き家となった民間賃貸住宅を活用した新たな生活セーフティネット制度を開始(改正住宅セーフティネット法)
  • 全都道府県と22の市町村の計69の居住支援協議会を設立
  • 平成30年3月に居住支援全国サミット開催

空間の質の向上

【対応状況】

  • 既存ストック(市街地において整備されてきた住宅・施設)の改修によるサ高住への支援を拡充
  • 改正住宅セーフティネット法に基づき、高齢者や障碍者などの配慮を要する方の専用住宅(シェアハウス)の改修費を支援

サービスの質の確保・向上

【対応状況】

  • 安否確認は駆けつけ対応とセットでICTを活用することを検討する
  • 入居者の状況把握は、生活相談と同様に専門家による対応を検討する
  • 生活相談は、外部機関への電話相談や定期的に専門家による相談会を設ける
  • 生活相談は高齢者が望むタイミングで訪問できれば、必ずしも常駐する必要はない
  • 安否確認の際、生活相談を受けることが多いため、一括対応を検討する
  • 地域による見守りは、見守りを実施する主体と新たに契約が必要となり、サービスの対価を検討する
  • サ高住が地域にサービスを提供していく地域資源として、地域とつながりを持つ

適切な競争や選択がなされるような環境の実現

【対応状況】

  • 新たに補助金を受ける物件について、運営情報の提供を義務づけ
  • 改正住宅セーフティネット法の施行と合わせて、適正に家賃債務保証業を行う事業者の登録制度を創設

(※)参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」

まとめ

サ高住は、国からの補助金や税制優遇を受けることができるうえに入居条件が厳しくないという点で、事業者側・入居者側ともにメリットがあります。その反面、介護サービスが必要になった際の設備や人員体制の面で不安を抱えています。

介護現場にかける工数は削減できませんが、作業効率化を図ることで事務処理にかかる工数は削減させることが可能です。そういった場合に「ワイズマンの介護ソフト」をお使いいただくことで、請求・監査対策に関して総合的支援が受けられ、軽減税率に対応して複雑な計算もミスなく請求することができますので、作業効率化につながります。

もし、今働いている事業所に介護ソフトが導入されていないなら、業務効率化を図れるように担当者に導入を相談してみてください。これからサ高住の介護職員として働くのであれば、事業所に介護ソフトが導入されているかチェックされることをおすすめします。

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