居宅介護支援のモニタリングとは?実施内容やモニタリング表の書き方を解説

2023.02.15

居宅介護支援のケアマネジャーの業務には、ケアプランの作成があります。ケアプランは作成して終わりではなく、利用者の身体状況・健康状態に合わせて修正を繰り返していかなければなりません。そのために必要なのが、モニタリングです。

この記事では、居宅介護支援におけるモニタリングの実施内容や、モニタリング表の書き方を詳しく解説します。居宅介護支援でモニタリングを実施するケアマネジャーの方は、ぜひ最後までお読みください。

居宅介護支援のモニタリングとは

居宅介護支援のモニタリングは、以下のように定義されています。

「介護支援専門員は居宅サービス計画の作成後、居宅サービス計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む)を行ない、必要に応じて居宅サービス計画の変更、指定居宅サービス事業者等との連絡調整そのほかの便宜の提供を行なうものとする」

(※)引用:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第十三条 十三

居宅介護支援のモニタリングの目的

居宅介護支援のモニタリングの目的として、以下の3つが挙げられます。なお、モニタリングを行うことで利用者の問題を把握・解決するために関係の構築を図ることを目的とする共通点があります。

利用者とご家族の理解

最初のアセスメントでは分からなかった問題や、状況の背景を把握することができます。

利用者との信頼関係を築く

利用者やご家族の声に耳を傾けることで信頼関係が深まり、利用者固有の問題把握が容易になります。

ケアチームの関係効果

モニタリングを行い、ケアチーム全体で課題解決に取り組むことで、チームの関係が強化されます。

居宅介護支援のモニタリングを行う頻度

モニタリングの頻度については、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第十三条 十三」で以下のように定められています。

  • 要介護者   1か月に1回以上
  • 要支援者   3か月に1回以上

面談後はモニタリング結果を記録しておく必要があります。モニタリング訪問・面談・記録を実施しなかった月の間は運営基準減算の対象となるため、注意が必要です。

なお、下記のような特別な事情がある場合は減算対象となりません。

  • 月の間中、利用者が入院中の場合
  • 入院していた利用者が月末ぎりぎりに退院した場合
  • 月の間中、利用者がショートステイを利用した場合
  • 利用者が退院直後に直接ショートステイを利用した場合
  • 利用者が感染症に罹患したため、訪問できなかった場合
  • 利用者の居宅が被災したため、利用者宅に訪問できなかった場合
  • 利用者が旅行などの理由で不在だった場合
  • 利用者が月の途中で死去した場合

その一方で新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から、厚生労働省より運営基準の一時的引き下げの通知が出されました。

これに伴い、利用者の事情に応じて電話やメールによるモニタリングが認められるようになりました。

居宅介護支援のモニタリングで行うこと

居宅介護支援のモニタリングで行うこと

モニタリングの具体的な実施内容について解説します。

ケアプランに沿ったサービスが提供されているか確認する

利用者の居宅を訪問し、以下の観点でサービスの提供状況を確認します。

  • 利用者のニーズに対する充足度はどうか
  • ほかに必要なサービスはないか
  • 利用者本人やご家族の要望に変化はないか
  • 目標は達成できているか
  • 利用者やご家族との信頼関係が築けているか

援助目標の達成状況を確認する

次にサービス提供事業所からの情報をもとに、目標の達成状況を確認します。

達成できなかった場合は、進捗状況を確認して目標を継続するか変更するかを検討します。達成できた場合は新たな目標を設定したうえで、利用者およびご家族に提案を行います。

利用者およびご家族へヒアリングを行う

介護サービスの提供を開始した当初のモニタリングでは、利用者やご家族の不安が特に大きいものです。ケアプランの評価だけでなく利用者やご家族の声に耳を傾け、信頼関係を築くことが何よりも重要です。

定期的にモニタリングを重ねることにより、利用者やご家族から新しい要望や悩みが出てくる場合があります。その際にはケアプランへの反映を検討します。

モニタリング表を記載する

モニタリング表はアセスメントやケアプランと違い、定められた様式がありません。そのため事業所によって異なります。しかし、記録が必要な項目があるのは事実です。

サービス提供担当者からの情報をもとに、利用者の身体状況の変化やサービス実施状況について詳細に記入します。

モニタリングの書き方については次章で詳しく解説します。

居宅介護支援モニタリング表の書き方

居宅介護支援のモニタリング表には、以下の項目に関してヒアリングによる詳細内容と評価を記録します。

  • 利用者およびご家族の状態・変化
  • サービスの実施状況
  • 援助目標の達成状況
  • サービスの見直し

①利用者およびご家族の状態・変化

利用者の身体状況や健康状態の変化はもちろんですが、ご家族の気持ちの変化や利用者とご家族との関係性の変化にも注視する必要があります。

利用者とご家族の双方に対するヒアリングを行い、利用者およびご家族から新たな要望があればモニタリング表に記録します。

記載例)
家族「最近、以前のような活気が見られず意欲低下が気になっている」

「デイサービスを利用したいと考えている」

②サービスの実施状況

ケアプランに沿ってサービスの提供が実施できているかだけでなく、提供しているサービスが計画や目標に合っているかを評価します。その際、自立支援や重度化防止の観点から検討することが大切です。

現在のプラン内容のまま継続で良いか、変更が必要かを判断するため、作成当初のケアプラン内容と利用者やご家族の現在のニーズにズレが生じていないかの評価が必要です。

記載例)

サービス内容:通所介護で週2回、下肢の筋力トレーニングを行う。

 (実践されている・実践されていないことがある・実践されていない)

③援助目標の達成状況

「サービスの実施状況」で確認した内容をもとに評価を行います。仮に目標が未達成であったとしても、達成に近づいていると判断されれば、達成するまで同じ目標を継続することも可能です。

ほとんど進捗が見られない場合は、設定した目標が高すぎたと考えられるため、目標を修正する必要があります。その場合、どの段階まで達成できていたのか過去にさかのぼって記録を確認し、目標を検討し直すと良いでしょう。

記載例)

短期目標:転倒する以前のように近所の理容室まで歩いて行くことができる

・たまにふらつくことがあるが、転ぶことなく歩けている。

④サービスの見直し

高齢である利用者の身体状況・健康状態は絶えず変化します。

身体状況や健康状態、利用者・ご家族のニーズに合っていないサービス提供を続けることは、ケアマネージャ・利用者双方にとってデメリットでしかありません。①から③のチェックを終えたあと、ケアマネジャーは必要に応じてサービスの見直しを実施する必要があります。

記載例)

評価:計画どおりにサービス提供ができており、意欲も戻りつつあるため自立支援の観点から有効とみなし、プラン継続とする。

①から④までの一連の流れを記録することで、モニタリング完了となります。

居宅介護支援モニタリング表の記入例

居宅介護支援モニタリング表の記入例

居宅介護支援モニタリング表は保管義務がある

居宅介護支援のアセスメントとモニタリングに関する記録は2年間の保存義務があるため、管理が重要です。

モニタリングが終了しても、2年間はしっかり保存しておきましょう。

(※)参考:サービス提供記録等の保存義務

まとめ

居宅介護支援のモニタリングは、ケアマネジメントにおけるPDCAサイクルのC(Check)に相当し、改善を行い軌道修正する目的があります。また、ケアプラン通りにサービスが提供されているかを確認するためにも非常に重要です。

モニタリングを行うには利用者ごとに月1回の居宅訪問が必要なため、勤務時間内のうち外出・移動時間が占める割合が高くなります。加えて居宅介護支援では、訪問先や移動中の記録入力や情報参照が必要になるシーンが数多く考えられます。

また、モニタリング時に記入するモニタリング表は2年間の保存義務があり、各事業所には管理能力が問われます。モニタリング表を紙媒体で保存した場合、紛失・消失・データ改ざんのリスクが伴い、セキュリティ面の不安があったり、外出の多い居宅介護支援にとって管理は非常に手間がかかったりします。

このような場合に「ワイズマンの介護ソフト」をお使いいただくと、アセスメントからモニタリング・評価までの一連の流れをスムーズに支援できるため、業務効率化につながります。もし、今働いている事業所に介護ソフトが導入されていないなら、業務効率化を図れるように担当者に導入を相談することをおすすめします。

また、これから居宅介護支援のケアマネジャーとして働くのであれば、事業所の雰囲気だけではなく、介護ソフトが導入されているかもチェックしましょう。

介護ソフトの資料請求や、デモンストレーションをご希望の方はこちらから簡単にお問い合わせいただけます。>>「居宅介護支援事業所向け介護ソフト(在宅ケアマネジメント支援システムSP)」

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