居宅介護支援の入院時情報連携加算とは?算定要件・単位数を解説

2024.04.08

介護ケアサービスを提供する事業所は、介護報酬を正確に計算するため加算・減算について理解しておく必要があります。
中でも居宅介護支援を提供している場合は、入院時情報連携加算について理解しておくことが大切です。

この記事では、入院時情報連携加算の算定要件と単位数について詳しく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。

入院時情報連携加算とは?

入院時情報連携加算とは、居宅介護支援事業所を利用していた要介護者が病院へ入院する際に、医療機関へ利用者情報を共有することで基本報酬に加算される加算算定です。
居宅介護支援事業所が保有している利用者情報を医療機関へ共有しないと、利用者が入院した際のケアサービスやサポート内容を正確に判断できません。

入院してまた一から利用者の容態や健康状態・介護事業所で行ってきたケア内容をヒアリングするより、居宅介護支援事業所から情報を共有した方がスムーズに医療サービスを提供できます。
なお入院時情報連携加算には、入院する際の情報共有をスムーズに行うだけでなく、日頃から介護施設と医療施設で情報を共有することが目的です。

介護事業所は利用者の情報を医療機関へ伝えることで、スムーズな治療を実現して基本報酬への加算算定ができます。
事業所の利益と医療機関の負担・利用者の健康状態を守るために、入院時情報連携は重要な加算項目です。

入院時情報連携加算の算定要件

入院時情報連携加算を行うために、加算対象となる算定要件を把握しておきましょう。
入院時情報連携加算の内容には、主に次の2種類があります。

  • 入院時情報連携加算(Ⅰ)
  • 入院時情報連携加算(Ⅱ)

厚生労働省が2023年11月6日に公表した「居宅介護支援・介護予防支援(改定の方向性)」によると、入院時情報連携加算の算定要件は次のとおりです。

種類要件
入院時情報連携加算(Ⅰ)入院後3日以内に情報提供(提供方法は問わない)
入院時情報連携加算(Ⅱ)入院後4〜7日以内に情報提供(提供方法は問わない)
参照|厚生労働省「居宅介護支援・介護予防支援(改定の方向性)」

なお、以前までは(Ⅰ)の状況では医療機関を訪問して情報共有、(Ⅱ)の連携を行う際には訪問以外の方法で情報共有と連携方法が定められていました。

しかし、法改正が行われてから、FAX・訪問・メールなど情報の連携方法を問われなくなりました。

入院時情報連携加算の単位数

入院時情報連携加算を行った際に、加算される単位数は次のとおりです。

入院時情報連携加算の種類単位数
入院時情報連携加算(Ⅰ)200
入院時情報連携加算(Ⅱ)100
参照|厚生労働省「居宅介護支援・介護予防支援(改定の方向性)」

なお上記の数値は、1ヶ月あたりの単位数です。

入院時情報連携加算の算定率

入院時情報連携加算の単位数だけでなく、算定率を把握しておくことが大切です。
厚生労働省が公表している、入院時情報連携加算の算定率を含む2022年3月度の算定状況は、次のとおりです。

入院時情報連携加算の種類入院時情報連携加算(Ⅰ)入院時情報連携加算(Ⅱ)
算定単位数(千単位)9,423552
割合(単位数ベース)0.2%0.0%
件数(件)44,4065,240
算定率(件数ベース)1.6%0.2%
請求した事業所の数16,7334,197
算定率(事業所ベース)44.3%11.1%
参照|厚生労働省「居宅介護支援・介護予防支援(改定の方向性)」

2022年3月度の入院時情報連携加算の算定率は、(Ⅰ)で44.3%、(Ⅱ)で11.1%でした。

【注意】入院時情報連携加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は併用不可

加算の算定率(Ⅰ)と加算の算定率(Ⅱ)は併用できない点に注意が必要です。
入院時情報連携加算は、利用者1人につき1ヶ月で1回の利用が上限です。

つまり、入院時情報連携加算の(Ⅰ)か(Ⅱ)のどちらかを利用した月には、同一の利用者を対象にもう片方の加算項目を併用できません。
介護報酬を算定する際には、入院時情報連携加算の(Ⅰ)と(Ⅱ)を併用しないよう注意しましょう。

加算算定を正確に実施するには、請求ソフトなどの活用が効果的です。
所定のフォーマットに従って入力するだけで、加算を算定できます。

入院時情報連携加算のよくある質問

正しく介護報酬を計算できるよう、入院時情報連携加算に関するよくある質問を確認しておくことが大切です。
入院時情報連携加算のよくある質問として、次のような内容が挙げられます。

  • 入院時情報連携加算を算定するために必要な情報とは?
  • 入院時情報連携加算の期間計算方法とは?

それぞれの質問に対する回答を確認して、正確に加算できるよう介護報酬を算定する際の参考にしてください。

入院時情報連携加算を算定するために必要な情報とは?

入院時情報連携加算を算定するために、医療機関へ共有しておくべき必要情報は次のとおりです。

  • 利用者が入院した日
  • 利用者の心身の健康状態
  • 生活環境
  • 介護サービスの利用状況

具体的には、利用者の疾病の有無や病歴・既往症の有無や家族構成・介護方法など、介護ケアサービスを提供する際に確認しておくべき内容を伝えます。

入院時情報連携加算の期間計算方法とは?

入院時情報連携加算は、利用者が入院してから3日目・7日目で(Ⅰ)と(Ⅱ)に、算定要件が切り替わります。
そのため、どの時点から1日目として捉えるのか、期間の計算方法を把握しておかなければなりません。

入院時情報連携加算の期間計算方法は、入院した日を1日目として計算します。
例えば、「12/1に入院した場合は12/3が3日目」であり、入院情報連携加算(Ⅱ)を算定する場合は「12/4〜12/7の間に12/1〜12/3まで」の利用者情報を共有しなければなりません。

ただし、自治体によっては期間計算方法が異なる可能性があるため、算定前に自治体へ確認するようにしてください。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

現在、国は病院のベッド数を減らす(これ以上増やさない)方向で進めています。超高齢化社会を迎える我が国に於いて、これ以上病院での看取りを増やすことなく、居宅(施設)・在宅での看取りを促進させようとしているのです。具体的には病院の在院日数を減らし、在宅復帰率を強化する方向で誘導しています。皆さんも体感的に利用者の退院が早まっているとお感じになる機会も増えたのではないでしょうか。入退院にまつわる加算が拡充の一途をたどっているのもこの一環となります。病院側にも診療報酬上の加算が算定できるので、双方にメリットがあり確実に算定したいところですが、紙媒体でのやり取りが多いことも本加算の算定率が伸び悩む要因のひとつです。医療・介護のシステム上での情報連携は今後確実に促進されるため早期導入していきましょう。

入院時情報連携加算の取得には「在宅ケアマネジメント支援システムSP」がおすすめ

入院時情報連携加算を取得する際には、ワイズマンが提供する「在宅ケアマネジメント支援システムSP」がおすすめです。
在宅ケアマネジメント支援システムSPを活用すれば、サービス提供事業所と医療機関の情報共有をスムーズにできます。

さらにシステム上で加算の算定を行うため、介護従事者の業務負担を軽減できます。
ここでは、ワイズマンの製品を活用するメリットを紹介します。

利用者の家族とのコミュニケーションをリモートで実施できる

在宅ケアマネジメント支援システムSPを活用すれば、利用者の家族とのコミュニケーションをリモートで実施できます。
システムを介して、利用者の家族とコミュニケーションを実現できるため、事業所と利用者の家族との間で必要な情報共有や連絡をスムーズにおこなえます。

利用者の家族を訪問してコミュニケーションを取る従来の方法では、訪問する時間や場所を考慮しなければなりません。
しかし在宅ケアマネジメント支援システムSPなら、時間や場所を気にせずに利用者の家族とコミュニケーションを取れるため、従業員の負担も軽減できます。

利用者ごとのケア進行状況を効率よく管理できる

在宅ケアマネジメント支援システムSPを活用すれば、利用者ごとのケア進行状況を効率よく管理できます。
システム上で利用者1人ひとりのケア進行状況を記帳・管理・更新できるため、業務の漏れを防いで適切なケアサービスを提供できます。

介護報酬の算定を行う際にも、「該当月に対象の利用者が入院時情報共有連携加算(Ⅰ)と(Ⅱ)を併用していないか」個々の情報を確認すれば、算定ミスを防ぐことも可能です。

訪問先でスムーズに利用者情報を確認できる

関連システムの「すぐろくケアマネ」は、ケアマネが利用者宅を訪問する際に便利です。
というのも、タブレット端末を使用すれば、利用者情報の参照やアセスメント業務ができるためです。

また、ヒアリングの結果、プラン内容に変更があればその場で反映できます
従来のような「事務所へ戻ってからヒアリング内容を反映する」といった手間がかかりません。

なお、訪問時に必要な資料を電子化すれば、タブレット端末での管理・保存が可能です。
端末1台で身軽に訪問できますし、手間のかかる紙資料の整理も不要になります。

事業所と医療機関での情報共有をスムーズにできる

ワイズマンの医療・介護連携サービスMeLL+(メルタス)も活用すれば、事業所と医療機関での情報共有をスムーズにできます。

Zoomとシステム連携すれば、オンライン介護に必要な予定作成や参加者へ会議開催の案内・当日の参加を、すべてシステム内で完結できます。

またシステム上で医療機関への情報共有ができるため、入院時情報連携加算の算定をスムーズに実施可能です。

まとめ

入院時情報連携加算は、居宅介護サービスを提供する事業者が利用者の入院時に算定するべき項目です。
入院時情報連携加算の算定要件と単位数を確認していても、計算ミスや(Ⅰ)と(Ⅱ)の併用など人的ミスに注意しなければなりません。

ワイズマンが提供する「在宅ケアマネジメント支援システムSP」を導入すれば、人的ミスを軽減してスムーズに入院時情報連携加算の算定を行なえます。
医療機関への情報共有をシステム上でスムーズに行えるため、より迅速な対応が可能です。

加算の算定作業を効率化したり、施設内の業務・情報連携を円滑化したい方におすすめです。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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