【医療業界動向コラム】第199回 急性期拠点機能を担う病院の現状を把握する~急性期一般入院料1から急性期病院B一般入院料への移行は148病院(令和8年6月1日時点)~

2026.08.20

◆◇◆-------------------------------------------◆◇◆

このたびの令和8年熊本地震及び千葉豪雨により被災された皆様、ならびにご家族・関係者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

◆◇◆-------------------------------------------◆◇◆

新たな地域医療構想では、本年10月から11月の間に医療機関機能報告(図1)を求める予定となっている。注目されるのが、急性期拠点機能を担う病院についてだ。令和8年度診療報酬改定で新設された急性期病院一般入院基本料の届出のある病院が急性期拠点機能を表すと考えられている。

図1 医療機関機能報告と診療報酬の関連性
HCナレッジ合同会社 作成(クリックして拡大表示)

急性期病院一般入院基本料とは、従来の急性期一般入院料1の体制に加えて、救急搬送の受入れ実績が年間2,000件以上かつ全身麻酔手術による手術の実績が年間1,200件以上あるなどの実績を有する急性期病院A一般入院料と該当患者割合は急性期一般入院料1を満たしながらも急性期一般入院料2-6の体制(10:1)に加えて、救急搬送の受入れ実績等が所定の実績を満たしている急性期病院B一般入院料の2種となっている。急性期病院A一般入院料は、主に病床規模の大きな急性期病院がイメージされる一方で、急性期病院B一般入院料は医療資源が限られた地域における拠点的な機能を評価するイメージだと言えるだろう。 令和8年6月1日時点の届出情報を確認してみると、急性期病院A一般入院料の届出数は619病院あることが確認できた(図2)。届出をしている病院のほとんどは400床規模以上の公立・公的医療機関といえる。今後、新たな地域医療構想が進展し、各地で急性期入院機能の集約化が進んでいくことを考えると、届出はさらに増えることも考えられる。

図2 急性期病院A一般入院料の状況   
HCナレッジ合同会社 作成(クリックして拡大表示)

急性期病院B一般入院料の届出は244病院あることが確認できている(図3)。医療資源が限られた地域だけではなく、都心部などでも届出がある。傾向としては、公立・公的病院も多いが、民間病院も多く、200床未満規模の病院、また特定の領域に専門特化した100床未満の病院も確認できている。


図3 急性期病院B一般入院料の状況
HCナレッジ合同会社 作成(クリックして拡大表示)

さらに、令和8年5月1日時点で急性期一般入院料1だった病院から急性期病院B一般入院料に移行した病院数(東海北陸地方のみ令和8年4月1日時点からの移行数)を確認すると、148病院ある。約6割が旧急性期一般入院料1ということになる。また、急性期病院B一般入院料では看護・多職種協働加算2の算定が可能になっている。244病院中220病院での届出が確認できている。急性期一般入院料1からの移行が148病院なので、それらの病院は看護師で要件を満たしていると考えられ、残りの72病院については、看護師以外の職種で要件を満たしていると考えられる。

人口減少が進む多くの地域では救急搬送の受入れ実績等を高めることには限界があることから、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟への転換を視野に入れた高齢者救急・地域急性期拠点機能を目指すという選択肢も考えておく必要がある。人口減少は患者数の減少だけではなく、医療従事者の減少も意味する。業務効率化・職場環境の改善は、職員の定着率を高めると共に、新たな人材獲得にもつながる。病院そのものの機能の見直しと合わせて、人材確保・定着を目的とした医療DXの取組を進めていくためにも、早い意思決定が必要になってくるだろう。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

連載記事に関連するコラム

資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら
検討に役立つ資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら