介護保険外サービス立ち上げ完全ガイド|事業者が知っておきたい種類・料金相場から起業・事例まで徹底解説
2026.05.21
既存の公的介護保険サービスだけでは、多様化する利用者のニーズに応えきれないと感じることはありませんか。収益の柱を増やし、事業の安定化を図りたいと考える介護事業所の経営者や管理者にとって、介護保険外サービスは検討すべき重要なテーマです。
公的介護保険の枠組みを超えたサービスは、利用者の細やかな希望を叶えるだけでなく、自施設にとっても新たな収益源となり得ます。
この記事では、介護保険外サービスの全体像から具体的なサービス内容、事業として始めるためのステップまでを詳しく解説します。新規参入や既存事業との連携を考えている経営者の方々が、具体的な事業構想を描き、次の一歩を踏み出すための参考にしてください。
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目次
【基本】介護保険外サービスとは?公的介護保険との違いを3分で理解

介護保険外サービスは公的な介護保険制度の対象外となるサービスの総称です。介護事業所を運営していく中で、利用者から「保険の範囲外でお願いできないか」と相談を受ける機会も多いのではないでしょうか。
公的介護保険は全国一律で最低限の生活を保障する仕組みであるため、利用制限や細かなルールが定められています。一方で、介護保険外サービスはそうした制約がなく、事業者が独自に内容や料金を設定できるのが特徴です。
ここでは、介護保険外サービスの基本的な定義や公的介護保険との違いについて整理します。事業の幅を広げるための基礎知識として、なぜ今このサービスが社会的に求められているのかを確認してみてください。

引用:経済産業省「高齢者・介護関連サービス産業振興 に関する戦略検討会 取りまとめ」
介護保険外サービスの定義と目的 -「生活の質(QOL)」を高める選択肢

公的介護保険サービスは、要介護者や要支援者の日常生活を維持するための最低限の支援を目的としています。そのため、生命や生活の維持に直結しないサービスは原則として提供できません。
これに対し、介護保険外サービスは利用者の「生活の質(QOL)」を向上させることを主な目的としています。利用者の個人的な趣味や嗜好に合わせたサービスを自由に選択できる点が大きな特徴です。
また、要介護認定を受けていない高齢者でも利用できるため、幅広い層をターゲットにすることが可能です。介護事業者にとっては、制度の枠組みに縛られず、目の前の利用者が本当に必要としている支援を提供できるという意義があります。
利用者の満足度を高めつつ事業所のサービスラインナップを拡充するための有効な選択肢となります。
公的な介護保険で「できること」「できないこと」の具体的な境界線
公的介護保険と介護保険外サービスの境界線を明確にすることは事業展開において非常に重要です。
公的介護保険では「本人以外の家族のための家事」や「日常生活に支障がない範囲の行為」は対象外とされています。
以下の表は、訪問介護などの場面でよくある「できること」と「できないこと」の具体例です。
| サービス分類 | 介護保険サービスで「できること」 | 介護保険外サービスとなる「できないこと」の例 |
|---|---|---|
| 家事援助 | 本人の食事準備、本人の部屋の掃除、日常的な洗濯 | 家族分の食事準備、来客対応、庭の草むしり、窓拭き、大掃除、ペットの世話 |
| 外出支援 | 通院の付き添い、日用品の買い物同行 | 趣味のための外出、冠婚葬祭の付き添い、お墓参り、デパートでの買い物同行 |
| 身体介護 | 入浴介助、排泄介助、食事介助 | 指定時間を超える長時間の見守りや介護、散歩の付き添い |
このように、利用者の生活を豊かにするためのちょっとした支援の多くが公的介護保険の対象外となります。現場のスタッフが「やってあげたいけれど制度上できない」とジレンマを抱えやすい部分でもあります。この境界線を正しく理解し、保険でカバーできない部分を自費サービスとしてどう事業化するかを考えることが重要です。
なぜ今注目?市場規模と2040年問題から見る将来性
介護保険外サービスが注目されている背景には、日本の急激な高齢化と社会構造の変化があります。経済産業省の予測によると、介護保険外サービスの市場規模は2020年から2050年にかけて成長すると見込まれています。
また、団塊ジュニア世代が高齢者となる「2040年問題」では介護人材の深刻な不足が懸念されています。公的制度だけでは増え続ける介護ニーズに対応しきれなくなるのは明らかです。
介護保険外サービスは、多様化する個人の課題を解決するだけでなく、社会全体のセーフティネットを補完する役割を担います。介護事業者にとっては、成長市場にいち早く参入し、公的介護保険事業の枠を超えた経営基盤を構築する好機といえます。
参照: 経済産業省 新しい健康社会の実現に向けた「アクションプラン2023」
サービス種類と料金相場を一覧比較

出典:厚生労働省「今後の高齢化の進展 ~2025年の超高齢社会像~」P110(PDF P111)
介護保険外サービスには、生活援助から専門的なケアまで多種多様なメニューが存在します。経営者として参入を検討する際は、自施設の既存事業との相乗効果を生み出せる分野を見極めることが大切です。
ここからは、現在提供されている主な介護保険外サービスを4つのカテゴリーに分けて紹介します。それぞれの具体的なサービス内容と、一般的な料金相場もあわせて解説します。
生活援助サービス(大掃除・草むしり・ペットの世話など)
生活援助サービスは、日常の家事や生活の困りごとを幅広くサポートする分野です。公的介護保険では同居家族がいると家事援助を頼めないケースが多く、ここに大きなニーズが見込まれます。
具体的には、利用者の居室以外の場所(リビングや浴室)の掃除、家族分の食事作りや洗濯などが挙げられます。庭の草むしり、窓拭き、換気扇の大掃除といった日常の範囲を超える家事も人気のサービスです。
高齢で世話が難しくなったペットの散歩や餌やりを代行するサービスも需要が増加しています。家事代行に特化したスタッフを雇用したり、地域のボランティアと連携したりすることで、柔軟なサービス提供が可能です。
外出支援サービス(趣味の外出・旅行・冠婚葬祭の付き添い)
外出支援サービスは、利用者の「生きがい」や社会参加を促進するための重要なサポートです。公的介護保険では通院や日用品の買い物といった必要最低限の外出しか認められていません。
しかし、利用者には「友人とお茶をしたい」「観劇に行きたい」「お墓参りをしたい」といった潜在的な願いがあります。介護保険外サービスであれば、デパートへの買い物同行、旅行への付き添い、冠婚葬祭の参列サポートなど、目的に合わせた柔軟な対応が可能です。
外出先での移動介助やトイレ介助など、介護の専門スキルを持つスタッフが同行することで、家族も安心して送り出すことができます。利用者の生活の質向上に直結し、満足度が高まりやすい分野と言えます。
身体介護・見守りサービス(長時間の見守り・自費リハビリ)
公的介護保険の支給限度額を超えて、さらに手厚いケアを求める利用者向けのサービスです。たとえば、家族の仕事や急な用事に合わせた長時間の見守りや、夜間の付き添い介護などが該当します。
退院直後で集中的なリハビリが必要な方に対して、理学療法士などの専門職がマンツーマンで自費リハビリを提供するケースも増えています。これらは、家族の身体的・精神的な介護負担を大幅に軽減することにつながります。
医療・介護の専門的な資格を持つスタッフが在籍している事業所であれば、そのノウハウを直接活かすことができます。質の高いケアを提供することで、高所得層などの新たな顧客層を開拓するきっかけにもなります。
その他の専門サービス(訪問理美容・金銭管理サポートなど)
生活の質をさらに高めるための、ニッチで専門的なサービスも多数存在します。外出が困難な高齢者の自宅や施設に赴いてカットやカラーを行う訪問理美容は、利用者の気分転換につながります。
また、銀行での手続き代行や公共料金の支払い、スマートフォンの使い方サポートなど、細かな事務的支援も需要があります。遠方に住む家族に代わって定期的に訪問し、安否確認を行う見守りサービスも注目されています。他業種と連携することで、自施設だけでは提供できない専門的なメニューを揃えることも一つの戦略です。
介護保険外サービスの料金体系と相場
介護保険外サービスは全額自己負担となるため、料金設定は事業者が自由に決めることができます。
一般的な料金体系としては、サービス提供時間に応じた「時間単位制」、月額で決まった回数を利用できる「月額定額制」、作業内容ごとに料金が決まっている「成果報酬型」などがあります。
生活援助や外出支援の場合、1時間あたり2,000円〜4,000円程度が相場とされていますが、専門的な資格が必要な自費リハビリや、夜間の見守りサービスなどは、1時間あたり5,000円〜10,000円以上になることもあります。交通費や深夜割増料金が別途加算されるケースも一般的です。
ターゲット層の予算感や地域の相場を調査し、提供する価値に見合った適切な料金設定を行うことが重要です。
参考)
| SOMPOヘルスケア | ニチイ学館 | |
| 料金形態 | 朝、昼、夜などの時間帯で2,750円/30分〜設定されています。 | 年間スポットプラン:4,070円〜 スポットや定期プラン、エリアによって変動するため要確認。 |
| 引用元 | SOMPOヘルスケア料金形態 | ニチイライフプラン・料金 |
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【事業者向け】介護保険外サービスの始め方

ここからは、介護保険外サービスを事業として始めるための具体的なステップを解説します。「新たな収益源として興味はあるが、何から着手すべきかわからない」という経営者や管理者の方も多いでしょう。
介護保険外サービスは、公的介護保険の指定事業所を持たなくても展開できるため、個人事業主から小規模に開始することも可能です。
事業の立ち上げにあたっては、コンセプトの設計から必要な手続きまで、順を追って計画を進める必要があります。
自施設に合ったビジネスモデルを構築するためのロードマップをご確認ください。
ステップ1:事業コンセプトとサービス内容を決める
まずは、どのようなサービスを誰に向けて提供するのか、明確な事業コンセプトを定めます。地域の高齢化率や競合他社の状況を分析し、自施設が参入する余地のある市場を見極めることが重要です。
たとえば、「高所得層向けに高品質な自費リハビリを提供する」「単身高齢者向けに安否確認と家事代行をセットにする」など、ターゲットを絞り込みます。既存の介護事業を行っている場合は、自施設の強み(専門職の多さ、送迎車両の有無など)をどう活かせるかを考えます。
提供するサービスの内容があいまいだと、他の事業者との違いが出せず、集客に苦労することになります。利用者のどんな困りごとを解決するのかを軸に、魅力的なサービスを設計してください。
ステップ2:開業形態を選ぶ(個人事業主 vs 法人)
事業を開始するにあたり、個人事業主として始めるか、法人を設立するかを選択します。個人事業主は、税務署に開業届を提出するだけで簡単に始められ、初期費用や事務負担を抑えられるのがメリットです。まずは小規模にテストマーケティングを行いたい場合に適しています。
一方、法人(株式会社や合同会社など)は、設立に費用や手間がかかりますが、社会的信用度が高くなります。金融機関からの融資が受けやすくなり、スタッフの採用においても有利に働く傾向があります。将来的に介護保険事業(訪問介護やデイサービスなど)の指定を受ける予定がある場合は法人格が必須です。
事業の規模や中長期的なビジョンに合わせて、適切な形態を選んでください。
ステップ3:事業計画と資金調達
事業を安定して継続させるためには、精緻な事業計画書の作成が欠かせません。初期投資額(設備費、広告宣伝費など)と、月々の運営費用(人件費、交通費など)を算出し、具体的な収支計画を立てます。
価格設定と目標とする利用者数から、いつ黒字化できるのかを見通すことが重要です。自己資金だけで賄えない場合は、資金調達を検討します。
日本政策金融公庫の創業融資や、自治体・商工会議所が提供する補助金や助成金制度を活用できる場合があります。
十分に検討した事業計画があれば、金融機関からの融資もスムーズに進みやすくなります。
ステップ4:必要な手続き(許認可等)と運営規程の作成
事業を開始するための各種手続きと、ルールづくりを行います。個人事業主の場合は開業届を、法人の場合は登記手続きを済ませます。同時にサービス形態によっては許認可等が必要なケースがありますので確認を怠らないよう注意してください。
同時に、サービスを提供する上での「運営規程」を作成することが重要です。営業日や営業時間、サービス内容、利用料金、キャンセル規定などを明文化し、スタッフ間で共有します。
利用者との間で交わす契約書や重要事項説明書も事前に準備し、トラブルを防ぐ体制を整えます。特に、既存の介護保険サービスと併設して行う場合は、保険内と介護保険外のサービスを明確に区別する規程を設けなければなりません(混合介護)。
関連記事:混合介護(選択的介護モデル事業)とは?解禁はいつから?メリットや注意点を解説
あいまいな運用のままスタートすると、後日行政から指導を受けるリスクがあるため、慎重に準備を進めてください。
成功事例から学ぶビジネスモデルと収益化のコツ

介護保険外サービスの導入を検討する際、経営者が最も気になるのは「本当に収益につながるのか」という点でしょう。全額自己負担のサービスを継続して利用してもらうためには、独自の工夫が求められます。
ここでは、実際に介護保険外サービスを展開して成果を上げている事業者の成功事例を紹介します。
机上の空論ではなく、現場で実践されているビジネスモデルを分析することで、収益化のヒントが見えてきます。事業にどう組み込めるか、着想を得るための参考にしてください。
【事例1】地域の「今すぐ助けてほしいちょっとした困りごと」に特化した御用聞きサービス
東急グループが展開する「東急ベル」では、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、介護保険制度ではカバーしきれない多様な生活支援サービスを提供しています。
主なサービス内容は、ハウスクリーニング、家事代行、庭木の手入れ、買い物代行、さらには電球交換などの軽微な困りごとへの対応まで多岐にわたります。これらは公的介護保険の枠組みにとらわれないため、利用者の「今すぐ助けてほしい」という細かなニーズに対し、迅速かつ柔軟に応えられる点が強みです。
本事例の鍵は、地域インフラとしての信頼性と、専門スタッフ「ベルキャスト」による質の高い接客です。単なる作業提供にとどまらず、訪問時の対話を通じて高齢者の安否確認や異変の早期発見といった見守り機能も果たしています。
こうした介護保険外サービスの活用は介護保険サービスの補完だけでなく高齢者の生活の質(QOL)向上と地域コミュニティの維持に大きく貢献するモデルとして注目されています。
【事例2】「学習療法」による自立支援と生活の質(QOL)向上への貢献
株式会社公文教育研究会(学習療法センター)では、読み書き・計算という学習習慣を認知症の維持・改善につなげる「学習療法」を、介護保険外の独自サービスとして展開しています。
この取り組みは、脳科学理論に基づき、脳の活性化を促す適切な教材を用いるのが特徴です。介護保険サービス(デイサービス等)の枠内での提供にとどまらず、受講料を設定した独自の「学習教室」や、地域の自治体・企業と連携した「脳の健康教室」といった介護保険外サービスとしても広く普及しています。
単なる学習支援ではなく、スタッフや地域ボランティアとの積極的なコミュニケーションを重視することで、高齢者の社会的孤立を防止します。意欲の向上や周辺症状(BPSD)の改善、介護者の負担軽減につながるなど、生活の質(QOL)向上効果が確認されています。
介護保険サービスの補完を超え、科学的根拠に基づいた「自立支援型サービス」の確立により、持続可能な地域包括ケアシステムの構築に寄与する先進的なモデルとなっています。
参照:厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集」
収益性を高める料金設定と差別化戦略
単なる価格競争に巻き込まれないためには、付加価値を高める差別化戦略が必要です。たとえば、毎月定額で何度でも相談や簡単な手伝いを依頼できる「サブスクリプション(定額制)モデル」を導入することで、毎月の安定した収益基盤を作ることができます。
また、地元の配食サービスやタクシー会社、訪問理美容など、他の事業者と連携してパッケージプランを提案するのも有効です。「この事業者に依頼すれば生活の困りごとがすべて解決する」というポジションを築くことができれば、多少料金が高くても選ばれやすくなります。
ターゲット層のニーズを深く理解し、「価格」ではなく「価値」で勝負する料金設定を心がけてください。
これだけは押さえておきたい混合介護・消費税・法律のポイント

介護保険外サービスを提供するにあたり、法的なルールや税務の知識を正しく理解しておくことは不可欠です。
特に、公的介護保険サービスと同じ事業所で介護保険外サービスを提供する場合は、厳密なルールの遵守が求められます。
知らずに違反してしまうと、行政指導や指定取り消しといった重大なペナルティを受けるリスクがあります。ここでは、多くの経営者が疑問に抱きやすい「混合介護」の注意点や、消費税の取り扱い、必要な許認可について解説します。
厚生労働省の通知を解説|「混合介護」提供時の注意点
介護保険サービスと介護保険外サービスを組み合わせて、あるいは一体的に提供することを「混合介護」と呼びます。
厚生労働省の通知「介護保険サービスと介護保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」では、遵守すべきルールが明確に定められています。
最も重要なのは、介護保険サービスと介護保険外サービスを明確に区分することです。提供する時間帯やスタッフを分けるだけでなく、会計帳簿も明確に区分して管理する必要があります。
また、利用者に対してどこまでが保険適用でどこからが自費になるのかを事前に丁寧に説明し、同意を得ておくことが義務付けられています。
事業所の運営規程においても、介護保険外サービスを実施する旨とその内容、料金を別途定めておく必要があります。
これらのルールを守らずにあいまいな運用をすると、不正請求を疑われる原因となるため、管理体制を徹底してください。
参照:厚生労働省『介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて』
関連記事:混合介護(選択的介護モデル事業)とは?解禁はいつから?メリットや注意点を解説
気をつけたい介護保険外サービス料金の消費税
介護保険サービスは、社会福祉を目的としているため原則として消費税が非課税となっています。しかし、介護保険外サービスは一般的な商取引とみなされるため、原則として消費税の課税対象です。家事代行や外出支援、自費リハビリなど、利用者が全額自己負担するサービスには消費税がかかると認識しておいてください。
料金表を作成する際は、利用者がわかりやすいように税込み価格(内税)で表示するなどの配慮が必要です。また、事業者の年間売上高が一定の基準を超えると、消費税の納税義務を持つ「課税事業者」となります。
介護保険サービスと介護保険外サービスの両方を提供している場合は、売上の区分経理がより複雑になるため、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
サービス提供に必要な資格や許認可
提供するサービスの内容によっては、関連する法律に基づいた資格や許認可が必要になる場合があります。一般的な掃除や買い物の代行といった家事援助であれば、特別な資格や許認可は必要ありません。
しかし、利用者を自施設の車に乗せて外出支援を行う場合は、道路運送法に基づく許可や登録(有償運送など)が必要になる可能性が高いです。また、自費サービスとしてマッサージや鍼灸を提供する場合は、あん摩マッサージ指圧師などの国家資格が必須です。
手作りのお弁当を提供する配食サービスを行うのであれば、保健所の飲食店営業許可や食品衛生責任者の配置が求められます。事業を計画する段階で、提供予定のサービスにどのような法的規制があるのかを必ず確認し、適切な手順を踏んでください。
なお、株式会社ワイズマンでは「医療・介護連携サービスMell+(メルタス)製品に関する情報をまとめた資料」を無料で配布中です。
法人内や地域での医療施設・介護事業所間の連携を実現できますので、ぜひご覧ください。
介護保険外サービスは、公的介護保険では対応しにくい生活支援や外出支援、見守り、自費リハビリなどを、利用者の希望や地域ニーズに応じて提供する選択肢です。利用者の生活の質を高めるとともに、事業者にとっては新たな収益源やサービスの差別化につながる可能性があります。一方で、介護保険サービスとの境界は、サービス内容だけで一律に判断できるものではなく、利用者の状態やケアプラン上の位置づけにより判断が分かれることがあります。事業化にあたっては、料金設定、契約書・重要事項説明書、運営規程、混合介護における区分管理、消費税や許認可の確認を丁寧に行うことが重要です。具体的な扱いは自治体や担当窓口に確認し、自事業所の強みを活かせる範囲から無理なく始める視点が求められます。
まとめ:介護保険外サービスで実現する、利用者と事業者のより良い未来

介護保険外サービスは、利用者にとっては「自分らしい豊かな生活」を送るための力強いサポートとなります。そして介護事業者にとっては、制度に依存しない新たな収益の柱を育て、事業を安定成長させるための大きなチャンスです。
公的介護保険だけでは対応できないニーズは今後さらに増え続け、市場の拡大は間違いありません。参入にあたっては、明確な事業コンセプトの策定や、混合介護のルール遵守といった越えるべきハードルはあります。
しかし、自施設の強みを活かした魅力的なサービスを構築できれば、他社との強力な差別化を図ることができます。
まずは地域でどのような困りごとがあるのか、利用者の声に耳を傾けることから始めてみてはいかがでしょうか。
監修:梅沢 佳裕
人材開発アドバイザー
介護福祉士養成校の助教員を経て、特養、在宅介護支援センター相談員を歴任。その後、デイサービスやグループホーム等の立ち上げに関わり、自らもケアマネジャー、施設長となる。2008年に介護コンサルティング事業を立ち上げ、介護職・生活相談員・ケアマネジャーなど実務者への人材育成に携わる。その後、日本福祉大学助教、健康科学大学 准教授を経て、ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表として多数の研修講師を務める。社会福祉士、介護支援専門員、アンガーマネジメント・ファシリテーターほか。

