【医療業界動向コラム】第192回 包括期と慢性期入院の推移、療養病棟入院基本料を有する病院は対前年比▲74病院
2026.06.19
前回診療報酬改定のあった令和6年度から、令和7年度までの主な施設基準情報の推移について集計をした。対象としたのは、急性期一般入院料・地域包括医療病棟入院料・協力対象施設入所者入院加算で、直近1年間だけになるが、在宅療養支援診療所/病院・在宅療養後方支援病院・精神病床の推移等についても整理している。今回は、包括期と慢性期入院の推移について確認し、今後の対応について考えてみたい。
目次
地域包括ケア病棟入院料等、全国的に頭打ちの状況
全国ではすでに新規の届出数は頭打ちの状況にある地域包括ケア病棟入院料等を有する病院。2,667病院から2,670病院という状況だ(図1)。

図1 地域包括ケア病棟入院料等の推移(HCナレッジ合同会社にて調査・集計)(クリックして拡大表示)
主な地域別の動向を見てみると、関東信越地方・中国地方では微減、近畿地方では6施設減、北海道・東海北陸・四国地方は現状維持という状況だが、九州地方は10病院増・東北地方は2病院増となっている。なお、地域一般入院料では、九州地方は11病院減・東北地方は6病院減となっている。
近畿地方では6施設減少しているが、地域包括医療病棟入院料を有する病院は12病院増加している。病床規模まではわからないが、地域包括医療病棟へ移行した病院が一定数あったと思われる。なお、九州地方では、地域包括医療病棟入院料を有する病院は近畿地方と同じく13病院の増加で、急性期一般入院料は直近1年で38病院減少しており、近畿地方よりも減少数は10病院多くなっている。
令和8年度診療報酬改定では地域包括医療病棟入院料の区分と要件が見直されたところ。地域包括医療病棟における在宅復帰率の計算対象外となる地域包括ケア病棟入院等を有する病院にどういった影響があるかを注視しておく必要がある。また、急性期医療に近い地域包括医療病棟入院料との差別化を図る意味で、レスパイト入院を評価する包括期充実体制加算の届出を目指していくことは重要だろう。そのためにも、退院時共同指導料の算定や外来での地域包括診療料の届出を目指し、かかりつけ医機能を発揮していく体制を整備していくことが必要だ。
協力対象施設入所者入院加算、増加基調が継続
令和8年度診療報酬改定では重症度、医療・看護必要度に救急患者応需係数が設定されたり、地域包括医療病棟入院料・地域包括ケア病棟入院料等で包括期充実体制加算が新設されることから、高齢患者の救急応需を積極的に取組むことが重要になる。そうした経緯もあってか、協力対象施設入所者入院加算は直近でも増加の基調が続いている(図2)。今後、さらに届出は増えると思われるが、複数ある医療機関の中から介護保険施設等にどうやって自院を優先的に選んでもらえるかが重要になる。最近、自院で救急車を導入する病院もある。

図2 協力対象施設入所者入院加算の推移(HCナレッジ合同会社にて調査・集計)(クリックして拡大表示)
療養病棟入院基本料、全体で2.6%(▲74病院)の減少。北海道では5.1%(▲9病院)の減少
療養病棟入院基本料は全体的に減少傾向(2,794→2,720、▲2.6%)にある。介護医療院等への転換など考えられる(図3)。

図3 療養病棟入院基本料の推移(HCナレッジ合同会社にて調査・集計)(クリックして拡大表示)
主な地域別の動向をみると、減少割合が最も高いのは北海道の▲5.11%(176→167)で、次いで近畿地方の▲3.3%(412→398)となっている。件数でみると九州地方の▲15施設が大きい。
在宅診療の進展が進むことで病床数も減少していると考えられている。また、ホスピス住宅などの影響もあるだろう。令和8年度診療報酬改定では、訪問看護や訪問診療の適正化も図られていることで環境も変わる可能性がある。レスパイト入院を含む医療的ケア児の受入れ、在宅では対応が難しく医療用麻薬等の利用が必要になる末期腎不全患者等の受入れなど、医療依存度の高い患者への対応力を高めていくこと、また外来・在宅機能にも着目して、自院で患者を確保していくための取組も中長期的に考えておくことが必要になるだろう。令和8年度診療報酬改定に向けた中医協の議論の中では、在宅復帰機能強化加算に関する見直しや、死亡退院が多い病院に対する指摘もあったことを考えると、次回の診療報酬改定に向けて入退院支援と地域連携への対応を考えておく必要がありそうだ。
山口 聡 氏
HCナレッジ合同会社 代表社員
1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

