【医療業界動向コラム】第77回 受診頻度の適正化とかかりつけ医機能報告制度を見据え、病院として考えておくことは?

2024.01.30

※このコラムは2024年1月25日時点の情報をもとにしております。

かかりつけ医機能報告制度は令和7年度からの開始だが、令和6年度診療報酬改定では先んじて環境整備をするかのようにかかりつけ医機能及び慢性疾患の患者に関する対する評価の在り方を見直すことになる。かかりつけ医機能については、地域包括診療料/地域包括診療加算の要件に介護支援専門員との相談の時間を確保することなど、より患者の日常生活に接近するかのような内容となる見通しだ。一方で、慢性疾患の患者に関する評価についてだが、生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料の住み分け、比較的病状が安定している患者に対するリフィル処方を含めた長期処方に対する評価の拡充と薬局薬剤師による服薬フォローがポイントになるだろう。

今回の診療報酬改定では、「生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の 再編等の効率化・適正化」がキーワードの一つとなっている。慢性疾患の患者に対する評価である生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料の再編ということだ。これらの管理料は、一般病床200床未満の病院及び診療所で算定できるものだ(図1)。

図1_慢性疾患の患者の管理に関する評価

一般病床200床以上及び紹介受診重点医療機関は専門領域や重症度・緊急性の高い患者の対応を、一般病床200床未満の病院・診療所はかかりつけ医機能及び慢性疾患の継続診療を、という大まかな役割分担が示されている(地域によっては医療資源が限られており、病院が全て担うことなどもあるので、必ずしも一般病床200床未満となるのが良い戦略だとは言い切れないことをご理解ください)(図2)。これは、外来診療における医師の負担軽減のための取組でもある。

図2_紹介受診重点医療機関、かかりつけ医機能

先日、N県にある250床を超えるI病院が本年4月に199床に病床を削減する、という報道があった。I病院のある当該地域の人口が減り、病床稼働率が低下し、新型コロナ感染拡大の影響で患者の戻りが鈍い状況が続いていることからの決断だ。今後、一般病床200床~300床規模の病院では同様の意思決定が迫られてくる時期がやってくる。一般病床200床未満となることで、令和6年度診療報酬改定でさらに厳しくなるであろう重症度、医療・看護必要度における重症者割合を引き上げること(入院患者の分母が下がる)で入院料を維持しつつ病棟に配置していた看護師等の医療従事者を在宅医療部門を新設するなどして異動したり、既存の病床機能の転換を目的に手厚い配置(高齢患者急性期対応の10:1看護配置など)にすることができる。そして、在宅療養支援病院及び地域包括診療料の届出、先に述べた生活習慣病管理料等外来におけるかかりつけ医機能や慢性疾患対応に関する評価の算定も可能となり、まさに患者の自宅までを病床と見立てた地域への接近となる。

そこで今後、地域に接近する病院に期待されるのは、かかりつけ医機能を有する医療機関や慢性疾患の患者を継続的に治療する医療機関のバックアップ体制、すなわち緊急往診等の対応を含む在宅医療への対応だ。地域内で競合/競争の関係になるのではなく、協業/共創となるような関係であることが理想だ。令和7年度からのかかりつけ医機能報告制度では、5つのかかりつけ機能それぞれを地域内でどの医療機関が有しているかを明らかにし、話し合い、地域住民に医療情報ネット(医療機能情報提供制度)を利用して発信することで、地域住民に選んでもらうことを目指すことになっている(図3)。

図3_かかりつけ医機能とは?

地域医療構想の進展、度重なる重症度、医療・看護必要度の見直しで病床は着実に減少し、患者が療養する場所としての在宅という選択肢は間違いなく増えてきている。令和6年度診療報酬改定では、かかりつけ医機能報告制度に向けた環境整備を行い、軽症者・病状が安定した患者の受診頻度を見直す機会として、外来医師の負担軽減・慢性腎臓病等の重症者の対応のための時間を創出することが目的といえる。

そこで注意をしたいのが、受診頻度が下がることになる患者の重症化への対応をすべく、「必要に応じた服薬フォロー」を実施する薬局薬剤師の協力を引き出し、患者の状況を把握・必要に応じた受診勧奨をしてもらうための連携を促進していくことが重要になってくる。連携先となる薬局にとってのインセンティブにもなることを理解して、役割分担の促進、医療情報連携ネットワーク等を利用した情報共有の整備に努めていくことが重要だ。

病床機能の見直しや病床削減は地域の他の医療機関、地域住民にも何らの影響を及ぼすことになる。地域の理解と安心を得るための取組も合わせて取組んでいく必要がある。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。

https://www.hckn.work

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