【医療業界動向コラム】第25回 全世代型社会保障構築会議の報告のポイント、そして臨時の診療報酬改定について

2022.12.27

令和4年12月16日、これまで議論されてきた「全世代型社会保障構築会議」での報告書が公表された。子育て支援、働き方改革、医療提供体制と介護保険制度改革など医療業界だけではなく、あらゆる業界・領域での生活を支えるためのこれからの整備となっている。医療経営に係るポイントに絞って内容を確認したい。

〇かかりつけ医機能について

かかりつけ医機能についてはこれまでの社会保障審議会等の審議と同様に、登録・認定は行わず、地域住民に対するわかりやすい情報提供と地域医療構想調整会議等を通じた複数医療機関での連携を通じた地域の穴埋めを行っていく方針が示されている。なお、複数の疾患を有する高齢者などに対しては、単独でかかりつけ医機能を有する医療機関については別途届出・情報提供できることを考えているようだ。これは機能強化加算などが該当するではないかと思われる。かかりつけ医機能にも、単独で機能を満たす施設と機能を小分けして持つ施設の2パターンとなることになるだろう。回復期機能及び慢性期機能を有する病院としては、患者の退院後も関係を維持継続し、レスパイト入院や緊急時対応で選ばれるための取組として、機能強化加算の届出は前向きに検討しておきたいところだ。ただし、地域でかかりつけ医機能を担う診療所との関係性については注意をしておきたい。患者の状況、地理的状況などを鑑みた役割分担などを調整しておく必要があるだろう。

さて、ここで注目したいのは「地域医療連携推進法人を活用」という文言があることだ。春の建議ではEDRGの導入について検討することを、骨太方針2022では地域医療連携推進法人の見直しについて記載があったところ。EDRGとは、外来検査~入院~退院後の経過観察の一連の施設をまたいだ連携を包括して評価するもの。すでに令和4年度診療報酬改定では「二次性骨折予防継続管理料」というEDRGをイメージしたような診療報酬項目が創設されているが、次回の同時改定では疾病別に類似の項目が新設されることなど想定される。現在、新類型の地域医療連携推進法人について検討されている(図1)が、かかりつけ医機能との関連性も踏まえ、注目しておきたい。

図1:新類型の地域医療連携推進法人のイメージ

〇医療DXの推進について

オンライン資格確認を基盤とした全国医療情報プラットフォームの設立が改めて記載されている。患者自身による健康管理については、患者の頑張りだけでは限界がある。そこで、かかりつけ医機能を有する医療機関、かかりつけ薬局を加えた3者連携が重要となる。

ところで、令和4年12月21日の「中央社会保険医療協議会 総会(第534回)」にて、オンライン資格臨時の診療報酬改定の諮問が行われ、年内にも答申される見通しとなった(図2)。

図2:臨時の診療報酬改定に関する諮問

令和5年4月から12月の期間を限定したものとなる見通し。
令和5年4月からオンライン資格確認体制の原則義務化で医療機関側の体制はある程度整う見通しだが、肝心のマイナ保険証の普及が思うように進んでいない。さらに、利用実績も少ない。そこで、患者負担を見直し、マイナ保険証の取得と利用を促すこととなった。内容は、マイナ保険証を利用しない受診の場合は、患者負担が上がる(診療報酬で加算)こととなる。
また、これまでは初診のみが評価の対象だったが、再診も対象に加える見通しだ(図3)。

図3:「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の見直しのポイント

〇地域共生社会作りについて

地域に根付き、支援できる人材育成として、様々な領域の橋渡し役となるソーシャルワーカーの育成に言及されている。また、以前から議論されていた既存の専門職者による他の医療・介護・福祉の専門資格の早期取得に向けた共通基礎教育など明記されている。昨今のリスキリングブームもあって、改めて前向きに検討が進んでいくことを期待したい。

今後の社会保障の在り方を示した今回の報告書、今後の道しるべとして、改革への対応を先んじて行っていきたい。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

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