【医療業界動向コラム】第4回 女性活躍推進法の改正と医療機関でも求められる対応

2022.07.26

2016年から施行されている「女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」。常時雇用する社員が101人以上の企業や医療法人等では、女性労働者の活躍に関する現況と課題の分析、数値目標を盛り込んだ行動計画(一般事業主行動計画)の策定と公表、都道府県労働局への届出、女性労働者の活躍に関する情報の公表が義務付けられている。実は、もともとは301人以上の企業等が対象だったが、令和4年4月より101人以上の企業等へと対象が拡大されたところ(図1)。なお、101人以下の場合は努力義務ということになっているものの、今後も段階的に対象を拡大にしていくことになることが考えられる(我が国における女性の世界の先進諸国と比べたジェンダーギャップ指数をみると、146か国中で116位「NHK:ジェンダーギャップ指数 116位 国内の反応は」より)。そう考えると、101人以上の企業等は経過措置期間にあると考え、いつ制度改正があってもよいように備えをしておくことが重要だといえる。

女性活躍推進法における一般事業主が行うべき取組の流れ
図1 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!(パンフレット)・厚生労働省

そして、令和4年7月8日には常時雇用する社員301人以上の企業等(医療法人等も該当します)に対して、男女の賃金差異についても情報公表の対象とすることが義務付けられることとなった。今回は初回ということもあり、施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表することになっている(図2)。

女性活躍推進法に関する制度改正のお知らせ
図2 女性の活躍に関する「情報公表」が変わります(周知リーフレット)・厚生労働省

ところで、この「公表」というのは自院のホームページもよいこととされているが、「女性の活躍推進企業データベース」への掲載でもよいこととなっている。このデータベースには、医療機関・介護事業所での取組事例も掲載されており参考になるので、確認しておきたいところだ。自院のホームページだけではなく、ポータルサイトも利用して自院の情報を積極的に発信していくことで、職員の採用活動にも大きく貢献できることが期待される。

医療・介護の現場は女性の職員が多いので、こうした取組は対象となる医療機関においては当然として努力義務の対象となる医療機関であっても積極的に取り組んでいくことが大切だ。そのためにも、男性の働き方に合わせるようなものではなく、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)などを十分に踏まえた職員の受入れや勤務体制なども意識して作ることが重要だ。

先進諸国の中でも早く高齢社会を迎えると言われている日本だからこそ、世界の注目が集まり、日本流の医療・介護がお手本になることも考えられる。女性活躍推進法とは、そうしたグローバルに医療・介護を展開していく、そして患者・利用者・医療従事者に選ばれるための職場環境整備として必要不可欠な取組だともいえる。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

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