有料老人ホームの職種とは?人員配置や役割、平均給与などを解説

2023.02.13

有料老人ホームでは、介護職員をはじめとしてさまざまな職種の方が働いています。職種によってそれぞれ役割が異なり、チームとして利用者のケアに取り組むためにお互いの連携が欠かせません。

ほかの職種の方とスムーズな連携を取ることでミスやトラブルを防ぎ、有料老人ホームの利用者に安心・安全な生活を提供できます。そのためにも異なる職種の役割について理解しておくことが大切です。そこで有料老人ホームで働く人の職種と役割、人員配置基準、平均給与について解説します。

有料老人ホームとは

【入居条件】

  1. 65歳以上または40歳以上で特定疾病により介護が必要であると認定を受けていること(※)
  2. 要介護認定を受けていること
  3. 医療処置を必要としていること
  4. 保証人・身元引受人がいること
  5. 年金収入や資産が十分にあること

(※)住宅型有料老人ホームは、65歳未満の方も入居可能です。

設備に関しても以下の基準が定められています。

【設備基準】

設備基準
全体構造耐火建築物又は準耐火建築物
廊下幅介護付の場合:片廊下:1.8m、中廊下:2.7m・住宅型の場合:身体が不自由な者(車いす利用者)の通行の妨げにならない幅
エレベーター2階以上aの場合は設置すること・十分な広さを有すること・ストレッチャー対応が望ましい
居室個室で入居者一人当たり13㎡以上(※)(夫婦相部屋等の場合は26㎡以上)
食堂及び機能訓練室・介護付:一人当たり3㎡程度
・住宅型:一人当たり2㎡程度
浴室入居者10名につき、おおむね1箇所設置すること・身体が不自由な者が入浴するのに適したものとすること
トイレ共用設備として設置する場合は、入居者5名につきおおむね1箇所を各階に設置すること

有料老人ホームの利用者は、食事提供や入浴介助、洗濯や掃除などの家事、健康管理のサービスを受けることができます。

詳細については下記の記事をご参照ください。

関連記事:「有料老人ホームとは?入居条件や設備の特徴、サービス内容を解説

有料老人ホームの人員配置

有料老人ホームの人員配置基準は下表のように定められています。

なお、有料老人ホームには介護付・住宅型・健康型の3つのタイプがあります。

職種配置人数
管理者1名(兼務可)
生活相談員要介護者:生活相談員=100:1
看護・介護職員要支援者:看護・介護職員=10:1
要介護者:看護・介護職員=3:1
機能訓練指導員1人以上(兼務可)
計画作成担当者介護支援専門員1人以上(兼務可)

(*1)サービス提供時間に応じ、単位ごとに専従である必要がある

上記の決まりを踏まえると、例えば利用者の数が25人になった場合、15人を10人超えるので10✕0.2+1=3となり、3人以上の配置が必要となります。

有料老人ホームで働く人の職種

それでは有料老人ホームで働く人の職種について順に見ていきましょう。

介護職員

介護職員は食事・入浴・排泄などの介助を行い、交代勤務を取りながら24時間体制で利用者のケアを担当します。ほかの職種と比べて利用者と接する場面が多いため、利用者の身体・健康状態の変化に気付く能力が問われます。

資格を持っていなくても働くことはできますが、利用者の身体に直接触れる介助を行うには、初任者研修(旧ヘルパー2級)資格が必要です。

看護職員

看護職員は利用者の健康管理を担い、医師や医療機関との連絡調整を行いながら医療面で利用者を支援します。業務には服薬管理やケガや病気の処置が含まれるため、高齢者が生活する有料老人ホームには欠かせない存在です。

なお、医療行為を行うことができるのは看護師だけです。看護師として勤務するためには、看護師資格が必要となります。

管理者

管理者は施設の責任者であり、有料老人ホーム全体の管理・運営及びスタッフの管理を行います。マネジメントが主な業務となりますが、必要に応じて介護業務を兼ねる場合もあります。

管理者になるために特に必要な資格や経験はありませんが、マネジメントスキルや経営管理スキルが必須といえるでしょう。

生活相談員

生活相談員の業務は対外・対内ともに多岐にわたります。

  • 施設見学や入居相談対応
  • ケアマネジャーや関係機関への連絡調整
  • 行政手続き
  • 施設利用契約手続き
  • 利用者やご家族の相談・苦情窓口
  • 職員との内部調整

生活相談員になるには社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかが必要です。なお、自治体によっては、実務経験があれば無資格でもなれる場合があります。

ケアマネジャー

ケアマネジャーはサービス提供の目的・指針を示すケアプランの作成を行います。作成したケアプランの達成状況について、介護事業所からヒアリングを行ったうえでサービスの実施状況を確認し、必要に応じてプランの見直しを行います。

ケアマネジャーになるには、居宅支援専門員資格が必要です。

機能訓練指導員

自立支援に必要な機能を改善・維持するため、機能訓練計画書に基づいて利用者一人ひとりにリハビリテーションの支援を行います。また、日常生活でできるリハビリテーションの方法を介護職員や利用者に対して助言する役割を担います。

機能訓練指導員は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの資格保持者が担当することが一般的です。

管理栄養士

管理栄養士は利用者の健康管理のため栄養バランスだけではなく、利用者の嚥下状態や持病を配慮した介護食や治療食を提供します。普段の献立だけでなく、誕生日会や敬老の日など行事やイベントに合わせた特別メニューを立案して出すこともあります。

検食簿に記載された職員や利用者からの意見をもとに、食事の味付けや硬さの調整を行うのも管理栄養士の業務の一つです。

なお、栄養管理士になるには管理栄養士国家試験に合格する必要があります。

有料老人ホームで働く人の平均給与

有料老人ホームで働く職員の給与は職種ごとに異なります。

ただし、職種別の給与は自治体や事業所によって差があるため、ここでは特定処遇改善加算を取得済みの事業所における令和3年9月時点の介護従事者の平均給与額を下表に示します。

職種平均給与
介護職員323,190円
看護職員371,340円
生活相談員・支援相談員344,790円
理学療法士・作業療法士言語聴覚士・機能訓練指導員351,110円
介護支援専門員(ケアマネジャー)356,310円
管理栄養士・栄養士311,400円

※)参照:厚生労働省令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

有料老人ホームで働く介護職員の1日の流れ

有料老人ホームで働く介護職員の1日の流れの例を挙げます。事業所によって、時間は多少左右する場合があります。

時間業務業務内容
6:00利用者の起床介助排泄・更衣・整容の介助
7:00朝食配膳・食事介助・服薬介助・口腔ケア
9:00デイサービス送迎利用者の荷物・昼食後の薬の準備
9:30朝礼夜勤者から日勤職員への申し送り
10:00入浴介助入浴準備・入浴介助・後片付け
11:30昼食配膳・食事介助・服薬介助・口腔ケア
14:00レクリエーション準備、利用者の誘導、後片付け
15:00おやつ配膳および食事介助、後片付け
16:00夕礼日勤職員から夜勤者への申し送り
17:00夕食配膳・食事介助・服薬介助
19:00就寝介助更衣・排泄・口腔ケア介助
21:00巡回安否確認、排泄・服薬介助

そのほか、空き時間に利用者の観察記録や洗濯物の片付けを行います。

有料老人ホームは未経験・無資格でも働ける?

介護職員の求人で「未経験・無資格歓迎」と記載された広告をよく目にします。実際のところ、未経験・無資格でも採用されるのかという疑問があるのではないでしょうか。

結論からいうと、未経験・無資格の人材を採用している介護事業所は存在します。ただし、未経験・無資格者は仕事内容が制限されるうえに仕事内容が合わず早期離職するリスクを抱えています。

無資格で採用された方は、介護の仕事を続けていくのであれば働きながら資格を取得することが最優先事項となります。

有料老人ホームで働くのに役立つ資格

無資格の方はもちろん、すでに有料老人ホームで働いている方に役立つ資格をいくつか紹介します。

介護職員初任者研修

介護職員に必要な基本的知識・技術を習得するための資格です。カリキュラムは合計で130時間あり、受講にはおよそ2~3ヵ月かかります。無資格者のために助成金制度を設けている事業所もあります。

資格を取得するには試験に合格しなければなりません。介護初任研修を取得することで、身体介助ができるようになります。

実務者研修

実務者研修は、介護初任者研修の上位資格で介護福祉士の受験要件となっている資格です。毎年1月に実施される介護福祉士試験を受験するには、前年の12月までに実務者研修を修了しておくことが条件です。

合計で450時間のカリキュラムがありますが、保有資格によって免除される科目があります。したがって受講に要する期間や費用は保有資格ごとに異なります。ただし、医療的ケアの実習が必修となるため、保有資格に関わらずスクーリングが必要です。

介護福祉士

介護福祉士は国家資格で介護職員の最上位資格です。介護福祉士は国家試験に合格する必要があり、受験するためには「実務経験3年以上」かつ「実務者研修修了」の条件を満たす必要があります。

また、介護福祉士の人数は特定事業所加算の算定要件となるため、資格を取っておくと転職する際にも有利です。人材確保のために事業所が資格手当を支給することが一般的であるため、給与面に反映されます。

2015年12月には介護福祉士の上位資格として、民間資格の認定介護福祉士が誕生しています。

社会福祉士

社会福祉士は、身体や精神上の疾患によって日常生活に困難がある方の相談に助言や支援を行ったり、福祉サービスや関連機関に連絡したりすることで問題の解決を図ります。

資格要件として、4年制の福祉系学部の大学を卒業するか、2年制・3年制の福祉系短大・専門学校の卒業後に1年間または2年間の実務経験を積むかのいずれかが必要です。

社会福祉士になるには、国家試験に合格する必要があります。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員は、利用者が適切なケアを受けられるようにケアプランを作成します。短期目標が未達成に終わった場合は、必要に応じてケアプランの見直しを行います。

ケアプランをもとに介護・看護・リハビリテーションなどの事業者がサービス提供を行うため、要の存在といえるでしょう。

ケアマネジャーになるには、介護支専門員実務研修受講試験に合格し、介護支援専門員証を取得する必要があります。

まとめ

さまざまな職種が働いている有料老人ホームでは、事業所全体でいかにして利用者の契約情報の共有・管理を図るかがカギとなります。

また、利用者に関わる職種が多いことで毎月の請求業務も煩雑になりがちですが、「ワイズマンの介護ソフト」をお使いいただくことで、利用者の契約情報の閲覧・一括管理が可能となり、介護給付費明細書の自動作成も簡単にできます。

もし、今働いている事業所に介護ソフトが導入されていないなら、業務効率化を図れるように担当者に導入を相談してみてください。これから有料老人ホームの職員として働くのであれば、事業所に介護ソフトが導入されているかチェックされることをおすすめします。

介護ソフトの資料請求や、デモンストレーションをご希望の方はこちらから簡単にお問い合わせいただけます。

有料老人ホーム向け介護ソフト(有料老人ホーム管理システムSP)

有料老人ホームに関連するコラム

資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら
検討に役立つ資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら