有料老人ホームの人員配置基準|夜勤での配置人数とは?

2024.04.30

有料老人ホーム事業者の頭を悩ませる問題が、人員配置基準です。
特に夜勤については、対応可能なスタッフが限られていたり、多くの負担がかかったりすることで、スタッフから敬遠されます。

また、多くの介護施設では、人員の確保が大きな問題となっており、シフト作成に悩む事業者も少なくないでしょう。

本記事では、有料老人ホームの人員配置基準について、夜勤の配置人数や事業者が把握すべき問題点などを解説します。
施設職員がより働きやすく、またより良いサービスを提供できるよう、本記事を参考にしてください。

【基礎知識】3種類の有料老人ホーム

有料老人ホームとは、高齢者の心身の健康を保ち、生活を安定させることを目的とした施設の総称です。
利用者は有料老人ホームに入居して、食事や家事、健康管理などのサポートを受けながら生活します。

ひとえに有料老人ホームといっても、主に3種類に分けられます。
種類によって人員の配置基準が異なるため、注意が必要です。

ここでは、有料老人ホームの種類をおさらいします。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、老人ホームのなかでもっとも手厚いサポートを提供する施設です。
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設のみが「介護付き」と表示できます。

指定を受けるには、一定の設備や人員基準、運営基準をクリアしていなければなりません。
食事や洗濯、掃除などの生活に関する支援や、排泄や入浴など身の回りの世話、機能訓練の実施がサービスに含まれます。

また、レクリエーションやサークル活動なども行われます。
健康管理が必要な場合や、介護度が重い場合でも入居可能なほど、施設によって入居要件の幅が広い点が特徴です。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、自立可能な方から軽度の要介護者までが利用できる施設です。
設備などは、介護付き有料老人ホームとほとんど同様ですが、介護サービスを提供しない点が大きな違いと言えます。

介護サービスが不要な方も入居ができ、介護が必要になってからも提携する介護事業所と契約することでサービスを受けられます。
実際に、指定の取得の関係で、実質的に介護付き有料老人ホームと同等のサービス内容を提供している住宅型有料老人ホームも見られます。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームは、自立可能もしくは要支援までの利用者が入居可能な施設です。
要介護になると退去する流れが一般的で、あくまで食事の提供や掃除、洗濯などの家事サービスが中心です。

施設によって設備が異なり、なかには理美容室や図書館、温泉、ジム、プールなどがついている施設もあります。

有料老人ホームのなかでは、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの施設数が大半を占めています。
上記2つの有料老人ホームに比べると利用者数が少ないため、入居も比較的スムーズです。

関連記事:「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?入居条件や設備の特徴、サービス内容を解説

有料老人ホームの人員基準

3種類の有料老人ホームのうち、人員基準が定められているのは、介護付き有料老人ホームのみです。
介護付き有料老人ホームにおける人員基準は、要介護者3人に対して看護師または介護職員が1人配置すると規定されています。

このほか、介護付有料老人ホームにおける主な人員基準は以下のとおりです。

職種配置基準
管理者1人
生活相談員要介護者:生活相談員=100:1
看護・介護職員要支援者:看護・介護職員=10:1
要介護者:看護・介護職員=3:1
機能訓練指導員1人以上
計画作成担当者(介護支援専門員)1人以上

参照:特定施設入居者生活介護|厚生労働省

住宅型・健康型有料老人ホームは配置基準が定められていない

住宅型有料老人ホームと健康型有料老人ホームにおける人員基準は特に定めがありません。
しかし、厚生労働省の「特定施設入居者生活介護」には、入居者の数や提供サービスに応じて、管理者、生活相談員、栄養士、調理員を配置すること、と示されています。

なお、住宅型有料老人ホームの入居者に介護サービスを行うのは、施設職員ではなく外部委託された訪問介護事業所の職員であるため、特に記載はありません。
実際には、併設されている介護事業所から入居者の希望に応じて個別で介護サービスが提供されている場合もあります。

また、看護師の配置についても記載はないため、基本的には配置されていないことが多いです。
もし、配置していても非常勤や少人数なケースが一般的です。

なお健康型有料老人ホームでは、住宅型有料老人ホームよりもさらに職員数が少ないことがほとんどです。

参照:特定施設入居者生活介護|厚生労働省

人員基準とサービスの質について

要介護者3人に対して、介護士または看護師を1人以上の割合で配置することで、より手厚い介護サービスを提供する場合があります。
これは、同じ介護度であっても、より手厚いサポートを必要とする利用者に向けたサービスです。

この場合、上乗せ介護費を請求できるかどうかは、人員基準から見た人員配置がポイントです。
30人未満の有料老人ホームにおいて「上乗せ介護費」が請求できるのは、最低基準+2人と定められています。

例えば入居者(要介護者)が24人の場合、スタッフは最低8人必要です。
ここからさらに上乗せ介護費を請求できる「手厚いサポート」とするには、2人の介護スタッフを追加しなければいけません。

つまり、入居者24人に対して、10人の介護スタッフを配置することとなります。

また、30人以上の有料老人ホームにおいては、「2.5:1」の割合でスタッフを配置しなければいけません。
入居者(要介護者)が50人であれば、人員基準では14人の介護スタッフを配置します。

しかし「上乗せ介護費」を請求する場合には、20人の介護スタッフが必要です。

夜勤における介護付き有料老人ホームの人員基準

夜間帯には、施設で介護スタッフが1人以上配置とされています。

日勤帯においては「3:1」の人員配置ですが、夜間には多くの施設で職員数を減らしています。
ここでは夜間帯の介護付き有料老人ホームの人員基準をより詳しく見てみましょう。

夜間帯は3:1ではなく1名以上の配置が必要

前述したとおり、夜間帯には介護職員を1名以上の配置が必要です。
多くの施設では、日勤帯の人手が多い時間帯に、食事や入浴介助を行います。

そのぶん、夜間帯には職員数を減らして対応している施設がほとんどです。

少人数勤務で想定されるリスク

人員基準としては1人以上ですが、実際に職員数を大幅に減らすことにはリスクも伴います。

利用者の急変や転倒などの事故が起こることもあり、緊急事態が起きた場合には1人で対処しなけれなりません。
仮に数人の利用者が同時にトラブルがあった場合には、どちらかが後回しになってしまうなど、サービスの質が低下する恐れがあります。

また、1人体制の場合には、トラブルをすべて1人で対処しなければいけないという、大きなプレッシャーをスタッフに与えてしまうかもしれません。
休憩もままならず、夜間帯に気を抜けない状態では、夜勤スタッフの負担がかなり大きくなってしまうでしょう。

有料老人ホームでの夜勤に関する労基法の規定

管理者は夜勤シフトを作成するうえで、労働基準法で定められている規定を守らなければいけません。
そもそも、1日の労働時間は8時間と定められていますが、多くの有料老人ホームの夜勤は16時間勤務の2交代制を採用しています。

これは「変形労働時間制」が認められているためです。

変形労働制により、16時間の勤務が可能となりますが、連日16時間勤務を許可しているわけではありません。
特定のスタッフに連続で夜勤を任せてしまい、労基法違反とならないよう、夜勤に関する労基法の規定を把握しましょう。

夜勤の労働時間に関する決まり

介護施設において、夜勤で16時間勤務が可能なのは、「変形労働時間制」が認められているためです。
これは、労使協定または就業規則で定めることで、1週間あたりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲において、特定の日または週に法定時間以上の労働を許可するものです。

1週間あたりの労働時間を算出する単位は、1ヶ月単位、1年単位、1週間単位があります。

一定の期間内において、労働時間が1日8時間、週40時間を限度として変形労働時間制を取り入れることとなります。

しかしながら、夜勤に関してシフトの上限などは定められていません。
施設によっては、夜勤協定を締結し、1ヶ月あたりの上限数などを介護スタッフと管理長(シフト作成者)が決めている場合があります。

「2021年介護施設夜勤実態調査」では、2交代制を採用している場合の夜勤協定は、平均5.0回、もっとも多いのが4回となっていました。

参照:2021年介護施設夜勤実態調査|日本医療労働組合連合会

一部従業員の就業制限

変形労働時間制を認められていても、すべての職員に適用されるわけではありません。
以下の場合、深夜帯の勤務に制限がかかります。

  • 小学校就学前の子を養育する場合
  • 要介護状態の家族を介護する場合

上記のケースに該当し、なおかつ以下の条件を満たさない場合は、事業主へ深夜業制限請求を行うことができます。

  • 雇用期間が1年未満
  • 深夜に常態として子を保育(または家族を介護)できる同居家族がいる
  • 1週間あたりの所定労働日数が2日以下
  • 所定労働時間がすべて深夜にある
伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

2024年介護保険報酬改定において厚労省は、「見守り機器等のテクノロジーの複数活用」などを条件に、特定施設の人員配置基準を緩和することを決定しました。また、老人保健施設の夜間人員配置基準も、先に施行されていた老人福祉施設(特養)同様に、見守り機器等の導入を条件に緩和することが決定しています。深刻な人手不足が続き、その抜本的な解決策も見いだせない中、こういった一連の流れは今後も加速していくのは間違いない状況です。もちろん特定施設をはじめとした有料老人ホームも例外ではありません。『人』が担ってきた役割を少しでも『モノ(ICT)』へ移行していくことを国が主導し始めているのです。2024年度より「介護テクノロジー導入支援事業(仮称)」として現行制度も大幅に見直されます。積極的に活用していきましょう。

勤務者が少ない夜間の有料老人ホームではICTの活用がおすすめ

夜間帯の人員基準は、日勤帯ほど厳しくないことで、多くの事業所ではできるだけ少ない人員で夜勤シフトを回しています。
しかし、少ない職員で利用者の状態をタイムリーに把握したり、別室にいる利用者の動きを察知したりするのは困難です。

また、夜間帯に利用者の個室を巡回しながらの事務作業は、夜勤スタッフの負担にもなります。

夜勤スタッフの負担だけでなく、夜間の巡回によって利用者がプライバシーを守られていないと感じたり、就寝中に起きてしまったりと、利用者側も負担に感じてしまう恐れがあります。

夜勤スタッフや利用者双方の負担を軽減、サポートするには、ICT活用を検討してみるのもおすすめです。
夜間帯に活用しやすい介護現場でのICT活用例を見てみましょう。

見守りセンサー(ベッドセンサー・バイタル)と連携

有料老人ホーム向け管理システムとベッドセンサーやバイタルを連携して、別室にいながら、利用者の状態を把握することが可能です。
厚生労働省では、見守りセンサーの導入に対して、補助金を交付しています。

ワイズマンの提供する有料老人ホーム向け介護ソフト「有料老人ホーム管理システムSP」では、「見守りシステム連携オプション」で、ベッドセンサーなどと連携が可能です。
10社ものベッドセンサーやバイタル機器との連携でき、利用者の個室を巡回せずに、利用者の状態を把握できます。

また、センサーからの情報はそのままワイズマンシステムSPへ取り込まれるため、記録業務の負担軽減にもつながります。

スムーズな申し送りをサポート

日勤から夜勤への申し送り時に、正確な伝達ができない場合もあるでしょう。

老人ホーム向け管理システムを導入していれば、日勤帯の利用者の情報を正確に把握できます。
連絡帳などの機能があれば、勤務時間内に出てきた申し送り事項を都度、入力できるため、申し送りの際に伝達漏れを防ぐことができます。

利用者の急な体調変化があった場合でも、それまでの経過をすぐに確認できるため、より適切な対応をとれるでしょう。

人員配置基準を守り施設運営を行おう

有料老人ホームの夜勤における人員基準は、1人以上として、それほど厳しい基準ではありません。
しかし、夜勤にあたる介護スタッフの精神的・身体的な負担は大きく、夜勤の体制づくりに悩む事業者様は多くいます。

日勤のスタッフについても、介護サービスの提供から事務作業まで業務が広範囲にわたり、定時になってから事務作業をするといったことが常態化しているケースも多くあります。

夜勤の人員配置や勤務体制、それ以外にも有料老人ホームの運営において困りごとを抱えている場合は、事業所のICT化を検討するいい機会と言えるでしょう。
スタッフが働きやすく、より質の高いサービスの提供のために、有料老人ホーム向け管理システムの導入などを検討してみてはいかがでしょうか。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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