有料老人ホームとは?入居条件や設備の特徴、サービス内容を解説

2023.02.13

有料老人ホームは、高齢者が快適に暮らせるように整えられた住まいのことです。「介護付」「住宅型」「健康型」の3タイプがあり、提供するサービス内容や費用もそれぞれ異なります。また、利用者の身体状況等によって利用できる施設が変わります。

この記事では、有料老人ホームの概要や、基本的な種類や特徴、入居条件や費用、受けられる主なサービス、利用するメリット・デメリット、働くメリット・デメリットなどを解説します。

有料老人ホームとは?

有料老人ホームは、高齢者向けに以下のサービスを提供している住まいのことです。利用者が自分の心身の状況に合わせた生活が維持できるよう配慮されています。

  • 食事の提供
  • 介護(食事、入浴、排せつなど)の提供
  • 家事(居室の清掃など)の供与
  • 健康管理

(※)参考:有料老人ホームの概要

有料老人ホームの種類

有料老人ホームは、「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3タイプに分類されます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

介護付有料老人ホーム

介護付有料老人ホームは、介護サービスが付いた高齢者向け施設です。介護を必要とする高齢者が、介護や機能訓練、生活支援等を受けながら生活します。

「介護付」と表示するためには都道府県等から「特定施設入居者生活介護」の指定を受ける必要があります。また、指定を受けることで介護保険の対象となります。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームとは、高齢者が生活支援等のサービスを受けながら生活をする施設です。比較的自立した生活ができる方を対象としているため、基本的には介護サービスの提供はありませんが、介護が必要になった場合は利用者の選択によって外部の介護サービスを利用できます。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームは、身の回りのことは自分でできる高齢者が対象の居住施設です。健康な方が対象となっており、介護が必要になった場合には退去する必要があります。家事や食事などのサービスが付いており、中にはスポーツジムなどのレジャー施設を併設しているところもあります。

有料老人ホームの施設の特徴

有料老人ホームの設備は種類によって異なりますが、基本的には居室、食堂、リビング、浴室、トイレといった日常生活を自宅と同じように快適に過ごすための設備が整っています。居室の広さについては基準が設けられており、上記3タイプのいずれにおいても入居者一人あたりの床面積が13平方メートル以上であることが求められています。

また、介護付有料老人ホームは全室が個室であることや居室を地下に設けないこと、バリアフリーであることなどの基準があるのが特徴です。住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームでは自立した生活ができる方が多いため、健康増進やレクリエーションのためのカラオケルームやプール、シアタールームなどが併設されているところもあります。

有料老人ホームの入居条件

有料老人ホームの入居条件は、種類に応じて以下のように決められています。

介護付有料老人ホーム住宅型有料老人ホーム健康型有料老人ホーム
入居条件原則65歳以上でありかつ、以下のいずれに該当する方
l  要介護1~要介護5(介護専用型)
l  自立~要介護5(混合型)
原則60歳以上であり、自立~軽度の要介護の方原則60歳以上であり、自立した生活ができる方

介護保険法の介護保険サービスは、65歳以上の介護保険第一号被保険者であれば、特定の原因を問わず介護が必要となった際に受けられます。また、特定の疾病の影響で介護が必要になった介護保険第二号被保険者の方も受けられます。

なお、介護保険施設ではない住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームでは、60歳(あるいはそれ以下)からでも入居可能としているところがあります。

介護付有料老人ホームは「介護専用型」と「混合型」「自立型」に分けられます。介護専用型は、要介護1以上である必要があり、混合型・自立型は自立している方でも入居が可能です。

有料老人ホームの入居費用

有料老人ホームの入居費用の目安は、施設の種類ごとにそれぞれ以下のようになっています。

施設別入居一時金月額費用
介護付有料老人ホーム0円〜数百万円15〜35万円
住宅型有料老人ホーム0円〜数百万円15〜30万円
健康型有料老人ホーム0円~数千万円15~40万円

入居一時金は、施設に一定期間入居することを前提に支払う家賃の前払い的性質があり、施設の立地場所や設備内容によって大きく異なります。一方、月額利用料は毎月支払うべき利用料で、食費や施設管理費などが含まれています。

有料老人ホームのサービス内容

有料老人ホームのサービス内容は、施設の種類ごとにそれぞれ以下のようになっています。

介護付有料老人ホーム住宅型有料老人ホーム健康型有料老人ホーム
主なサービス内容・介護サービス
・生活支援
(⾷事、掃除、洗濯、見守り、生活相談など)
・健康管理
・医療ケア
・リハビリ
・レクリエーション
・生活支援
(⾷事、掃除、洗濯、見守り、生活相談など)
・健康管理
・必要に応じた外部の介護サービス
・レクリエーション
・生活支援
(⾷事、掃除、洗濯、見守り、生活相談など)
・健康管理

施設内で介護サービスが提供されるのは介護付有料老人ホームだけです。介護付有料老人ホームでは介護スタッフが昼夜問わず常駐しており、緊急を要するときでも迅速な対応が可能です。

【入居者向け】有料老人ホームを利用するメリット

【入居者向け】有料老人ホームを利用するメリット

有料老人ホームを利用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?有料老人ホームの入居を検討している方だけでなく、これから働く方やすでに働いている方も知っておくべきメリットを紹介します。

質が高い介護サービスを受けられる

有料老人ホームは利用者が快適に暮らせるように環境を整えられた住まいで、質の高いサービスが受けられます。住まいと介護サービスが一体的に提供されるため、利用者だけでなく家族の安心感にもつながるでしょう。在宅ケアでは難しい、快適で安全な介護を受けられることは、有料老人ホームならではのメリットといえます。

入居者やスタッフとの交流がある

入居者やスタッフなど家族以外の方とも交流ができ、新しい人間関係を築けることも、有料老人ホームの大きなメリットといえます。このように外部の方とつながることは、在宅ケアでは難しいものです。また、定期的に行われるレクリエーションなどをほかの入居者と楽しむことで、生きがいや新たな趣味の発見につながることもあるでしょう。

【入居者向け】有料老人ホームを利用するときの注意点

集団生活を苦手とする人にとって、有料老人ホームの生活はストレスに感じることがあります。有料老人ホームに入居すると外出が制限され、家族とも離れ離れになって寂しい思いをすることもあるでしょう。入所後に後悔しないためにも、施設選びの段階で家族としっかり話し合い、できる限り本人の希望を尊重することが大切です。

また、有料老人ホームはさまざまなサービスを提供してくれますが、そのぶんかかる費用は高くなります。毎月の費用を払い続けられるかどうか、入居前のシミュレーションが大切です。費用を払い続けるのが難しい場合には退去を求められることもあるので、少しでも不安があればケアマネジャーに相談してみましょう。

【介護士向け】有料老人ホームで働くメリット

ここからは少し視点を変えて、有料老人ホームで働くメリットについて見ていきましょう。

福利厚生が整っている

有料老人ホームの多くは民間企業が運営しており、福利厚生がしっかり整っているところが多くなっています。福利厚生の例として、資格取得支援制度があります。介護の仕事を続けていくうえで資格取得は非常に重要であり、働きながら資格取得制度を利用できることはスキルアップを目指す方にとって大きなメリットとなるでしょう。

給与が高い施設もある

有料老人ホームの中には、介護職員の給与を高く設定している施設もあります。給与を高く設定することで仕事へのモチベーションを高め、早期の離職を食い止めようとする狙いがあります。また、資格を取得したり役職に就いたりすることでも給与アップを狙うことが可能です。

介護の実務経験を積める

介護職の国家資格である介護福祉士の資格を取得するためには受験資格として「介護の実務経験が3年あること」が求められますが、介護付有料老人ホームであれば介護の実務経験を多く積むことができます。実務経験を積み介護の国家資格を取ることで、さらなる仕事のモチベーションアップや給与アップにつながるでしょう。

【介護士向け】有料老人ホームで働くときの注意点

有料老人ホームでは夜勤対応があります。人員不足のために一人体制でシフトに入る施設もあり、何かあったときには自分だけで重要な判断をする必要があるでしょう。経験年数の浅いうちからこのようなプレッシャーを抱えながら仕事をしなくてはいけません。

ただし、最近では緊急時に看護師に連絡ができる「オンコールシステム」を導入している施設が増えてきており、夜勤勤務者の負担軽減を図る動きもみられます。

有料老人ホームとその他の施設の違いとは?

ここからは、有料老人ホームとよく比較されるその他の施設との違いについて見ていきます。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違い

有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との主な違いは以下のようになります。

有料老人ホームサービス付き高齢者向け住宅
契約方式利用権方式建物賃貸借方式
入居条件自立者〜要介護5までの方原則60歳以上の高齢者
または60歳未満で要介護認定を受けた方
主なサービス・介護サービス
・生活支援
・レクリエーション
・イベントなど
・安否確認
・生活相談など

有料老人ホームと一般的なサ高住を比較した場合、特徴的なのが契約方式の違いです。有料老人ホームの多くが利用権方式であるのに対して、サ高住は建物賃貸借方式となっています。

利用権方式とは、居住部分と介護や生活支援等のサービスの契約が一つのパッケージになっているものです。これに対し、居住部分と介護や生活支援等のサービスの契約が別個のものになっている契約方式を建物賃貸借方式といい、一般的なアパートの賃貸契約もこれに該当します。サ高住は「サービス付き高齢者向け住宅」という名前からもわかる通り、施設というよりは一般の賃貸住宅に近い施設といえるでしょう。

関連記事:「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?入居条件や設備の特徴、サービス内容を解説

特別養護老人ホーム(特養)との違い

有料老人ホームと特別養護老人ホーム(特養)との違いについても見ていきましょう。両者の主な違いは以下の通りです。

有料老人ホーム特別養護老人ホーム
運営主体民間企業自治体、社会福祉法人
入居条件自立者〜要介護5までの方原則、要介護3〜5の方
主なサービス・介護サービス
・生活支援
・レクリエーション
・イベントなど
・介護サービス
・生活支援
居室のタイプ個室が主個室と多床室

有料老人ホームと特養の大きな違いは、運営主体です。有料老人ホームは民間企業が運営しているのに対して、特養は自治体や社会福祉法人などが運営しています。そのため、営利を追求する民間運営の有料老人ホームのほうが特養に比べて費用が高くなる傾向にあります。

まとめ

有料老人ホームには主に3つのタイプがありますが、利用者の心身の状況に応じた施設を選ぶことが大切です。民間運営のため費用は高い傾向にありますが、そのぶん設備等は充実しており、快適な生活を送れます。介護の質も高く、家族以外とも交流があるので、利用者にとって良い刺激となるでしょう。

これから有料老人ホームで働こうと思っている方は、就職後のミスマッチをなくすためにも、事前リサーチをしっかり行いましょう。有料老人ホームなどの介護施設では現場の仕事だけでなく事務作業にも関わる必要がありますが、事務作業の効率を上げることは仕事をするうえで非常に重要です。最近では、業務効率化のために介護ソフトを取り入れている施設があります。

例えば、「ワイズマンの介護ソフト(有料老人ホーム管理システムSP)」は、請求や監査などの業務を総合的に支援することで事務作業の負担軽減に貢献します。事務作業を効率化できれば、施設の利用者にしっかり向き合う時間も増え、さらに信頼関係を高めることもできます。

介護ソフトの資料請求や、デモンストレーションをご希望の方はこちらから簡単にお問い合わせいただけます。
>>「有料老人ホーム向け介護ソフト(有料老人ホーム管理システムSP)

有料老人ホームで働くことを検討する際は、無駄な業務がなくスムーズに介護業務ができるかなどもふまえ、介護ソフトが導入されている施設かどうかチェックすることをおすすめします。また、すでに働いている方は、勤務先の施設に業務効率化ができる介護ソフトが導入されていないようであれば、担当者に導入の検討を依頼してみましょう。

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