ケアプランにおける課題分析の結果の重要性|書き方と例文を徹底解説

2024.12.24

利用者一人ひとりに最適なケアプランを作成するためには、課題分析が不可欠です。
課題分析の結果を適切に活用するなら、さまざまなポイントを意識する必要があります。

本記事では、ケアプランにおける課題分析の結果の重要性や手順・アセスメントとの違いなどについて解説します。
第1表・第2表における具体的な書き方や例文についても説明するので、ぜひ参考にしてください。

ケアプラン作成における課題分析の結果の重要性

課題分析の目的は、利用者の自立支援と生活の質の向上です。

課題分析は アセスメントで把握した利用者の現状を分析することにより、その人が抱える問題点を明確化します。
問題点が明らかになれば、解決するための具体的な支援策をケアプランに盛り込めます。

つまり、利用者の状況を改善する有効的なケアプランを作成できるのです。

課題分析の結果は、自立に向けた具体的な目標設定や、より豊かな生活を送るための支援策の検討につながります。
そのため、ケアマネージャーは利用者の意向を尊重し、本当に望む生活を実現するための指針となるよう課題分析を行う必要があります。

アセスメントと課題分析の違い

ケアプラン作成において、アセスメントと課題分析は密接に関連していますが、それぞれ異なる目的と手順で行われます。

アセスメントとは、利用者の身体状況・精神状況・社会状況など、多角的な視点から現状を把握するためのプロセスです。
集めた情報を分析し、利用者のニーズや問題点を客観的に明らかにすることがアセスメントの役目です。

対して、課題分析ではアセスメント結果を元に、解決すべき課題を特定します。

課題分析は、アセスメントで得られた情報を分析し、利用者の自立支援や生活の質の向上を阻害している問題点を特定するプロセスです。
単に問題点を列挙するだけでなく、課題が発生する原因を分析し、解決策を検討しなければなりません。

課題分析の手順

課題分析は、アセスメント結果を基に行われますが、その手順は以下のとおりです。

  • アセスメント情報の整理
  • 課題の抽出
  • 課題の優先順位付け
  • 課題の分析
  • 目標設定
  • 支援策の検討

それぞれの手順について、順番に解説します。

アセスメント情報の整理

まずは、アセスメント情報を整理しましょう。
身体機能・精神状態・認知機能・社会状況など、アセスメントで得られた情報を整理し、一覧表を作成します。

課題の抽出

整理した情報から、利用者の生活に支障をきたしている可能性のある課題を抽出します。
例えば、「食事摂取量の減少」「外出機会の減少」「コミュニケーション不足」などです。

課題の優先順位付け

抽出された課題は、特に緊急性が高いものから優先順位を付けていきます。
優先順位は利用者の状態や意向を考慮して決定します。

課題の分析

各課題について、その原因や背景を分析します。
原因や背景を分析することは、適切な支援策を検討するうえで不可欠です。

例えば、食事摂取量の減少の原因が「歯の痛み」にあるのか、「食欲不振」にあるのかなどを分析します。
原因が明確にあれば、有効的な支援を実施できます。

目標設定

分析結果に基づいて、各課題に対する具体的な目標を設定しましょう。
目標は、SMARTの原則(Specific・Measurable・Achievable・Relevant・Time-bound)に基づいて設定することが重要です。

SMARTの頭文字となっている単語は、それぞれ具体的・測定可能・実現可能・関連性・期限を意味します。
5つの要素を意識して分析すれば、より具体的な支援の設定が可能です。

支援の検討

目標達成のための具体的な支援を検討します。
具体的なサービス内容・担当者・実施頻度などを明確に記述します。

なお、一連の手順は一過性のものではありません。
定期的なモニタリングを通じて得た知見を基に、必要があれば難度も修正・更新を行う必要があります。

ケアプラン様式における課題分析の書き方【第1表・第2表】

本章では第1表と第2表の課題分析の書き方について解説します。
例文も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

第1表の課題分析欄の書き方

ケアプランの第1表は、「利用者および家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」を記載する欄です。
本人・家族の意向を具体的に、かつ本人の言葉で記載しましょう。

第1表の例文

歩行困難となった利用者の課題分析をする場合、第1表の例文は以下のとおりです。

【本人】

  • 令和5年5月から筋力の低下で歩行が困難になった。
  • 以前のように1人で買い物に行きたい。
  • 階段の上り下りやお風呂などで家族に負担をかけたくない。

【家族】

  • 気を使ってほしくないが、少しでも前みたいに歩けるようになりたい本人の気持ちを尊重したい。
  • 歩行困難になってから気落ちしているので、前より元気になってほしい。
  • 無理はさせず、本人のペースでやらせてあげたい。

【総合的な支援の方針】

  • 身体機能の低下(歩行困難、筋力低下)により、買い物などの外出が困難。
  • 本人のできる範囲を把握し、できるところから支援する。
  • 安全な外出を確保しつつ、本人の意向に沿って歩行能力の回復を目指す。

第2表の課題分析欄の書き方

第2表の課題分析欄では、第1表で記述した課題を基に、短期目標と長期目標を設定し、達成するための具体的な支援を記述します。 
第2表は単に課題を列挙するのではなく、目標達成のために必要な支援を論理的に記述することが求められます。

第2表の課題分析欄の例文

さきほど例文に出した歩行困難の利用者の場合、第2表の課題分析欄の例文は以下のとおりです。

目標課題支援
【短期目標】
歩行器を用いて5m歩行できるようになる
筋力不足バランス感覚の低下不安感理学療法士による筋力トレーニングバランス訓練の実施/精神科医によるカウンセリング
【長期目標】
自立歩行が可能になる
持続的な筋力維持/転倒予防自信の獲得継続的なリハビリテーション/自宅環境の整備家族への指導

課題分析の結果を活用する際の4つのポイント

より良いケアプランを作成するなら、課題分析の結果を適切に活用する必要があります。
課題分析の結果を適切に活用するためにも、以下のポイントを意識しましょう。

  • アセスメントの実施後に行う
  • わかりやすい用語で具体的に記載する
  • 必要があれば修正する
  • 課題分析を効率的に運用する体制を整える

それぞれについて、順番に詳しく解説します。

アセスメントの実施後に行う

ケアプランにおける課題分析は、アセスメント結果に基づいて行われるため、アセスメントの実施後に行うのが一般的です。

課題分析を実施する際は、アセスメントで得られた情報を整理・分析するための時間を十分に確保しましょう。
焦って課題分析を進めると、重要な課題を見落としたり、不正確な分析結果となったりする可能性があります。

時間をかけて丁寧に分析することで、正確で効果的な課題分析を実施でき、より良い結果を得られます。

わかりやすい用語で具体的に記載する

課題分析を記載する際は、わかりやすい用語を使いつつ、具体的に記載するように心がけましょう。
課題分析の結果を曖昧な表現で記載すると、利用者や家族の意向を把握できなくなります。

その結果、支援の内容が不十分になり、課題を解決できなくなる恐れがあります。
もちろん、記載する際は利用者の事情や心情に配慮した文言を使用してください。

また、わかりやすい用語で記載することも重要です。

専門用語を多用すると内容が煩雑になり、共有する際に認識の齟齬が発生するリスクが高まります。
他職種で共有することも踏まえ、わかりやすい表現を意識しましょう。

必要があれば修正する

モニタリングの結果、当初の課題分析に修正が必要な場合、ケアプラン全体の見直しとともに課題分析も修正する必要があります。
ケアプラン作成後も、ケアマネージャーは定期的なモニタリングを実施しますが、その際に利用者の状態や課題の変化が生じる場合があります。

例えば、歩行困難が主な課題であった利用者が、リハビリテーションによって歩行能力が向上した場合、以前の課題分析は流用できません。

課題分析を修正し、「外出機会の増加」などのような新たな目標を設定する必要があります。
モニタリング結果を課題分析に反映すれば、ケアプランは常に最適な状態に保たれます。

課題分析の結果を効率的に運用する体制を整える

課題分析の結果を効率的に運用する体制を整えることも、ケアプラン作成において重要なポイントです。
課題分析はただ作成するだけでなく、必要があれば何度も修正する必要があります。

しかし、課題分析を紙媒体の書類に記載している場合、作成はもちろん、過去の課題分析を調べたり、共有したりする際にも手間がかかります。

効率的に課題分析を運用するなら、記録の電子化を進めましょう。

適切な介護ソフトを導入し、課題分析をパソコンやタブレットなどで作業できるようになれば、書類を作成する手間を大幅に減らせます。
また、データでやり取りができるようになれば、課題分析の共有や確認もスムーズにできるため、事務作業の負担削減も可能です。

課題分析の結果を適切に活用するなら「すぐろくケアマネ」を導入しよう

効率的な課題分析を実施するなら、弊社ワイズマンのすぐろくケアマネの導入をご検討ください。
すぐろくケアマネは居宅介護支援事業所向けに開発された記録支援タブレットであり、アセスメントなどの作成を効率化する機能を備えています。

情報の共有もスムーズになるため、課題分析の結果を活用するうえでも便利です。

すぐろくケアマネは、ケアマネージャーの業務を効率化し、より良いサービスを提供するうえで有用なツールです。
より具体的な機能について知りたい方は、ぜひ無料でご覧いただける「製品パンフレット」をダウンロードしてください。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

高齢者のケアプランを作成する際、何らかの能力低下を招いている要因(課題)は複数存在していることが多いでしょう。課題分析は、こうした能力低下の要因のあぶり出しと、解決すべき優先順位をつけることでもあります。この優先順位を決定することはケアマネとしての腕の見せ所でもあります。ここを見誤ると、利用者の支援も困難になってしまう可能性があります。この分析力は、間違いなくケアマネの真骨頂でしょう。一方で、分析結果を具体的に落とし込む作業に関しては、もはやAIには敵わないかもしれません。それほどまでに、AIは進化しています。無料で試せるものも多いので、ぜひ一度AIを使用し、短期目標などを作成してみることをお勧めいたします。自分自身では、どうやっても捻り出せない素晴らしい目標に出会えるかもしれません。

課題分析の結果を活用して最適なケアプランを作成しよう

課題分析はアセスメントで得た情報を分析し、利用者の課題の原因や有効な支援などを明確化するプロセスです。
課題分析の結果を適切に落とし込むことで、利用者の自立や生活の質の向上を実現するケアプランを実現できます。

課題分析を記載する際は、利用者や家族の意向を具体的に記述したり、モニタリングの結果に応じて修正したりするなど、いくつかのポイントを意識しましょう。

また、すぐろくケアマネのような優れたツールを活用すれば、効率的に課題分析を作成・運用できます。
より良いサービスの提供にもつながるため、ぜひ無料でダウンロードできる資料をご覧ください。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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