デイサービス(通所介護)の送迎はどこまで必須?注意点や必要な資格を解説

2022.12.12

デイサービスでは利用者の送迎を行うことが多いです。
送迎業務にあたる際は、デイサービスを利用する方が安心して快適に通所できるように安全面の配慮が必要です。

デイサービスの送迎はどのような仕事で、どのような資格が必要なのか気になる方もいるでしょう。

この記事ではデイサービスの送迎業務の概要や、必要な資格、基本的なルール、送迎するうえでの注意点について解説します。
送迎の仕事について理解を深めて、職場選びや自分に合った働き方を見つけてください。

デイサービスの送迎業務とは?

デイサービスの送迎サービスは、利用者を自宅からデイサービスまで送迎する仕事です。
具体的な仕事内容は、以下のとおりです。

  • 福祉車両を運転し利用者の送迎をする
  • 送迎ルートの提案
  • 福祉車両の管理
  • 走行記録の作成
  • 緊急時の連絡対応

送迎の仕事は、ただ利用者を自宅から事業所まで送り届けるだけではありません。
利用者の乗降介助や、利用者の家族とのコミュニケーションを取り、介護職員に情報共有をすることも大切な仕事の一つです。

なお、デイサービスの送迎範囲は施設ごとに区域が分かれており、長距離の送迎にならないように配慮されています。

デイサービスの送迎サービスはどこまで?

デイサービスの送迎は義務付けられているものではありませんが、送迎を行わない際には送迎減算が発生します。

送迎減算が発生すると事業所の報酬が減るため、職員の給与が下がることにもつながります。

通所介護の送迎減算とは、デイサービスにおいて利用者が自ら介護事業所に通う場合や介護事業所が送迎を行わない場合に、片道「マイナス47単位/日」・往復「マイナス94単位/日」の単位数で介護報酬が減算されることです。

しかし「事業所と同一の建物に居住する利用者、または同一建物から通う利用者に通所介護を提供する場合」が減算の対象となっている事業所は、送迎減算は適用されません。

デイサービスの送迎業務に必要な資格

デイサービスの送迎業務をするには、「普通自動車第一種免許」が必要です。

しかし、事業所によってはバスで送迎をするケースもあるので、必要に応じて中型・大型の自動車免許の取得が必要です。

送迎業務をするだけなら自動車免許でよいのですが、先ほど解説したようにデイサービスの送迎業務には利用者の降車介助を必要とするケースもありますので、介護資格(介護福祉士、介護職員初任者研修など)があると重宝されます

デイサービスの送迎業務に必要な資格をまとめると、次のとおりです。

資格の種類具体的な資格
送迎車を運転する資格・普通自動車第一種免許
・中型普通自動車運転免許
・大型普通自動車運転免許
介護業務に必要な資格・介護福祉士
・介護職員初任者研修

応募条件を介護資格の保有としている事業所もあるため、時間に余裕がある方は介護資格を取得しておましょう。

送迎車を運転する資格

デイサービスの送迎車を運転するための資格がなければ、利用者を自宅から事業所まで届けられません。
道路運送法では、デイサービスの送迎は自家輸送扱いなので、普通自動車第一種免許を取得しておけば運転は可能です。

また、事業所の規模が大きく、複数人をまとめて送迎する場合はバスや大型車を運転する必要があります。
運転する車種によっては、中型普通自動車運転免許や大型普通自動車運転免許が必要なので、事業所によっては資格保有者をドライバーとして雇っているケースもあります。

介護業務に必要な資格

送迎業務中に乗降介助が必要となるケースも多いため、介護福祉士や介護職員初任者研修など介護業務に必要な資格を保有していると安心です。

利用者が車椅子を使用している場合、適切な方法で乗降介助するための知識とスキルがなければ、安心して送迎を利用できません。

介護職員初任者研修の資格は、2週間から3カ月程度で取得できるため、デイサービスで送迎業務に携われるよう取得しておきましょう。
また介護資格を保有している場合は、送迎時に居宅内介助サービスも提供できます

デイサービスの送迎における基本的なルール

デイサービスの送迎における基本的なルールは、以下のとおりです。

  • 送迎の範囲は自宅から施設まで
  • 送迎できる距離・時間は事業所によって異なる
  • 送迎記録を付ける

上記について掘り下げて解説していきます。

送迎の範囲は自宅から施設まで

デイサービスの送迎の範囲は、基本的に自宅から施設までになります。

「自宅の玄関」のような場所ではなく、「自宅に帰って、そのうえで安全な状態と認められるまで」になります。

送迎業務は利用者を車で送り届けるだけの業務ではありません。
車両の乗り降りや屋外歩行の介助をして移動させるなど、施設の介護業務の一環とされています。

そのため、利用者が安全だと判断される場所まで送り届ける必要があるのです。

利用者の身体機能によっては、玄関から居室に移動する際に転倒をしてしまうようなケースもあります。
その場合は、利用者の居室まで介助をする必要があるため、介護資格を保有していなければなりません。

また、利用者が通院している病院への送迎など、特例も存在します。

送迎できる距離・時間は事業所によって異なる

利用者の送迎の距離や時間は事業所によって異なります
施設から5分ぐらいで到着することもあれば、30分の時間を要することもあります。

送迎範囲について施設ごとに区間が決められているので、1時間ほどの場所に送迎することはなかなかありません。

しかし地区によっては一つしか介護施設がないケースもありますので、その場合は長時間の送迎になることもあります。

送迎記録を付ける

送迎減算が創設されたことで、一人一人の利用者の送迎について記録が義務付けられています

送迎記録を残さずに送迎を行った場合は、減算の対象になってしまうので、漏れなく記録しておきましょう。

送迎に限らず、介護保険は記録が重要です。
記録にない仕事は「仕事をしていない」と扱われてしまって、加算を受けられなくなってしまいます。

具体的には、下記のような情報を記録してください。

  • 送迎した利用者の氏名・住所・連絡先
  • 送迎をした時間の記載
  • 出発時間と到着時間
  • 運転者の氏名
  • 使用した車両の車種・ナンバー

出発時間や到着時間だけでなく、運転者の氏名や使用した車種の情報も必要です。

デイサービスの送迎を行う際の注意点

デイサービスの送迎を行う際の注意点は、以下のとおりです。

  • 時間に余裕を持って行動する
  • 福祉車両の操作確認を行う
  • 利用者やご家族との円満なコミュニケーション
  • 乗降時の利用者のサポート

それぞれの注意点を押さえて、利用者やご家族が安心して送迎サービスを利用できるよう、サービスの質を向上させてください。

時間に余裕をもって行動する

送迎ルートの確認や送迎の準備はできるだけ早めに対応しましょう
余裕を持った送迎は、利用者の安心安全につながるため非常に重要です。

焦りが出ると、運転が荒くなったり事故の発生にもつながるので、時間に余裕を持って行動するよう心がけましょう。

福祉車両の操作確認を行う

デイサービスの送迎では、福祉車両を運転するのが一般的です。

福祉車両は車椅子のまま乗車ができたり、乗降シートが付属していたりと、ご高齢者が移動しやすい機能が備わっています。

福祉車両の場合、普通の自動車にはない操作が必要になるため、事前に操作確認を行っておきましょう。
事前に操作を確認すれば、スムーズな介助や安全確認を実現できます。

利用者やご家族との円滑なコミュニケーションが必要

自宅に送迎をする仕事の関係上、利用者のご家族と関わる機会が多いです。

利用時の様子や体調を家族に伝えるだけではなく、自宅での様子を伺うために、日ごろからコミュニケーションを取り合う関係性づくりが必要です。

送迎業務には、施設側とご家族側の橋渡しとしての役割も求められているので、利用者やご家族との円滑なコミュニケーションを心がけてください。

乗降時は利用者をサポートする

足腰が弱い利用者からすると、車の乗り降りも大きな負担になる可能性があります。

実際に、乗降時に送迎車のステップを踏み外し転倒をするなどの事故も起こってしまうので、乗降時には細心の注意を払いましょう。

乗降介助の知識やスキルを磨いて、利用者が安心して身体を任せられる信頼関係を築くことが大切です。

斉藤 圭一氏
斉藤 圭一氏

デイサービスの送迎は、単なる移動手段ではなく、利用者が安心して施設を利用できるよう支援する重要な業務の一つです。送迎時には、安全運転を徹底するだけでなく、利用者の体調や状態を適切に把握し、施設スタッフとご家族に共有する役割も求められます。特に、乗降時の転倒リスクや車内での急変に備えるためには、介護の知識が不可欠です。送迎スタッフが介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格を持つことで、より安全かつ円滑な対応が可能になります。また、送迎記録の正確な記入も重要であり、利用者の安全管理や施設の運営上の適正な報酬算定に直結します。デイサービスの送迎は、利用者にとって施設の第一印象を左右する重要な機会でもあります。安全で快適な送迎を提供することで、利用者やご家族の信頼を得られるよう、送迎業務の質を高めていきましょう。

デイサービスの送迎業務は運転だけでなく介助や関係性づくりが必要な大切な仕事!

デイサービスの送迎は複数の利用者の送迎を行う必要があり、なおかつ人の命を車に乗せるため、非常に責任が大きな仕事です。
利用者やご家族が安心して送迎サービスを利用できるよう、安心安全には細心の注意を払う必要があります。

送迎の仕事には、ただ利用者を送り迎えするだけでなく、送迎記録の作成や各利用者の状態の共有などの仕事もあります。

乗降介助や利用者家族との信頼性構築なども送迎業務に含まれているため、送迎記録や情報共有を効率化する介護ソフトの導入がおすすめです。

介護ソフトを導入すれば、送迎だけではなく介護スタッフも記録が効率化されることで、利用者へのケアに時間を充てられるため、利用者の満足度向上にもつながります。

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監修:斉藤 圭一

主任介護支援専門員、MBA(経営学修士)

神奈川県藤沢市出身。1988年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業後、第一生命保険相互会社(現・第一生命保険株式会社)に入社。その後、1999年に在宅介護業界大手の株式会社やさしい手へ転職。2007年には立教大学大学院(MBA)を卒業。 以降、高齢者や障がい者向けのさまざまなサービスの立ち上げや運営に携わる。具体的には、訪問介護・居宅介護支援・通所介護・訪問入浴などの在宅サービスや、有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅といった居住系サービス、さらには障がい者向けの生活介護・居宅介護・入所施設の運営を手がける。 また、本社事業部長、有料老人ホーム支配人、介護事業本部長、障害サービス事業部長、経営企画部長など、経営やマネジメントの要職を歴任。現在は、株式会社スターフィッシュを起業し、介護・福祉分野の専門家として活動する傍ら、雑誌や書籍の執筆、講演会なども多数行っている。

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