デイサービスソフトの導入効果とは?比較検討のポイントを解説

2023.10.03

日本の高齢化を背景に、デイサービスの利用者数も増加しています。
一方で、会計検査院の報告書によると、2016年の時点ですでにデイサービスの供給過多が問題視されていました。

その指摘の通り、介護事業者の倒産も年々増加しており、事業者同士の競争も激化しています。
現場に目を移してみると、利用者やご家族のニーズが多様化したことで、業務負担が課題になっています。

デイサービスソフトの導入は、業務フローの効率化を促進するだけでなく、人件費最適化や経営判断のサポートなど、多方面でメリットがあると言えます。

新規導入によって、業務環境を見直したい事業者はぜひ参考にしてみてください。

デイサービスソフトとは?導入効果はいかに!?

これまで紙やエクセルでのアナログ管理に慣れている事業者の場合、デイサービスソフトの導入がどれだけ費用対効果のあるものか気になるところだと思います。

ここでは、導入前の業務がソフト導入によってどれだけ変化するのかを解説します。
自施設の現状の業務環境をイメージしながら読んでみてください。

ソフト導入前の業務

デイサービス事業にはサービス提供に付帯する業務が数多く存在しています。
主な業務としては以下の通りです。

  • アセスメント評価・分析
  • 通所介護計画書の作成
  • 介護記録
  • スタッフのシフト管理
  • 利用者のスケジュール管理
  • LIFE換算・提出
  • 請求 など

これだけ業務が多岐にわたると、必要な書類の数も膨大になります。
扱う情報量や書類が多くなれば、必然的に管理も煩雑になり、業務時間を圧迫します。

その結果、人件費が増加するだけでなく、ヒューマンエラーの発生率が高まります。

手作業と目視による入力・確認・管理には限界があることを認識して、自動化・効率化できる部分は置き換えることが現実的な選択だと言えるでしょう。

ソフト導入後に業務はこんなに変わる

では、ソフト導入によってどの程度業務状況の改善が期待できるのでしょうか。
厚生労働省老健局「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ」のデータを見ると、業務のICT化がどれだけ介護事業を運営する現場の負担軽減と、利用者のサービス向上に貢献しているのかがよくわかります。

出典:厚生労働省老健局「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ」

報告書のデータによると、特に「間接業務の時間が削減された」「業務上の単純ミスが減った」という項目で変化が大きいことがわかります。
そして「直接ケアにあたる時間が増加した」「支援の質が上がった」という項目でポジティブな変化があり、総合すると、ICT化が業務環境にプラスに作用していることがわかります。

デイサービス事業者では、サービス提供時のバイタル等の「各種記録業務」、業務日誌や介護記録などの「書類作成」、そして請求期間の「請求業務」が最も業務負担の大きい分野だと思います。
デイサービスソフトの導入でこれらの業務が効率化されれば、浮いた時間を直接ケアに充てたり、従業員満足度(ES)の向上にも繋げることができるでしょう。

デイサービスソフトの標準機能

ひとことにデイサービスソフトと言っても、機能は様々です。
ここでは、どのメーカーのソフトにも比較的搭載されていることが多い標準機能について解説します。

スケジュール作成・確認

スタッフのシフト管理から、利用者の来所スケジュールの調整まで、リアルタイムで柔軟に対応できるのがデイサービスソフトの便利なところです。
効率的に事業運営していくためには、デイサービスとタイムマネジメントは切り離せない関係にあると言えます。

例えば、エクセルでスケジュールを管理していた場合には、同時に編集できる人数が限られたり、編集ミスが起きやすいリスクがあります。
その点、デイサービスソフトは、複数人で管理できる、入力支援機能でヒューマンエラーを抑制できるといった利点があります。

介護記録

デイサービスソフトは従来に比べて介護記録がつけやすいのも特徴です。
紙ベースで運用している場合などは、まとめて記載する時間と環境の確保が必要でした。当然、サービス提供をしながら書き留めることは困難です。

しかし、ソフトを活用することで、タブレット端末などでサービス提供中の合間に介護記録をつけることもできます。
入力も、選択肢から選んだり音声入力に対応していたりと、メーカーごとにさらに利便性が高いものもあります。

連絡帳

デイサービスソフトには連絡帳機能が搭載されていて、必要な情報を一覧でチェックすることができます。
体調などをアイコンで視覚的に把握できるものもあります。

複数のスタッフで事業所を運営している場合は、毎回固定された担当者が担当できない場合もあります。
そのため、わかりやすいフォーマットで連絡事項がまとめられていると、利用者の体調や機嫌、その他配慮すべき事項が事前にわかるので、業務効率が向上するでしょう。

帳票作成

デイサービスでは非常に多くの帳票を扱います。
デイサービスソフトは、国指定の法定帳票に限らず、事業所のニーズに応じて柔軟に帳票作成ができるようになっています。

入力補助機能も充実していて、簡単に帳票入力ができますし、PDF形式で保存もできるので、情報管理送付業務の観点でも便利です。

デイサービスソフトの導入メリット3選

では、デイサービスソフトを導入すると、具体的にどのようなメリットがあるのか、代表的な業務を例に解説します。

記録・報告業務が簡単

デイサービスの実施結果については、速やかな報告が求められます。
デイサービスソフトを導入すると、簡単に記録・報告が可能です。

ソフトの指示に従って入力することで、自動で連絡帳・業務日誌・介護記録が作成されますので、重複するような情報入力を各書類ごとに再度入力するなどの、業務のムダを省くことができます。
また、宛先を指定して簡単にデータ送付ができるので、リアルタイムで情報共有が可能です。

スピーディなバイタルチェック

デイサービスソフトでは、的確な指示でバイタル入力を簡略化してくれます。
ソフトによっては、バイタル計測機器と連動が可能で、計測後データが即データベースに反映されるものもあります。

バイタルチェックの時間を削減することで、直接ケアの時間を増やし、サービスの質の向上を目指せます。

請求業務を効率化

毎月発生する請求業務には、通常の介護報酬に加えて、機能訓練LIFE加算算定が必要な場合があります。
デイサービスソフトは、加算に必要とされるアセスメントの確認なども、自動化や入力サポート機能で支援してくれるので、従来に比べて対応時間が大幅に短縮可能です。

デイサービスソフト選びの3つのポイント

デイサービスソフトはフリーのものも合わせると、世の中に出回っている種類が多いです。
そのため、自施設にどのソフトが最も適切なのかを考えにくい場合もあると思います。

ここでは、デイサービスソフトを選ぶ際に大切なポイントをご紹介します。

自施設の業務フローに適しているか

デイサービスソフトの導入前には、必ず業務フローを明確化しましょう。
どれだけソフトの導入で作業効率がアップしても、全体の業務フローに適していなければ、ムダな作業が増えてしまって、思ったような導入効果が得られない場合があります。

サポート体制が充実しているか

デイサービスソフトの導入後には必ずどこかでサポートに問い合わせる必要が出てきます。
その際、窓口対応時間や、土日祝対応の有無、対応形式(電話、チャット、メール)、リモート操作の有無などは検討の重要なポイントです。

自施設の業務状況に応じて、必要なサポート体制にあたりをつけて、比較検討しましょう。

デモ・オリエンテーションの有無

サポート体制が充実していれば、不明点や疑問点が解消されると言っても、度々問い合わせていたのでは、業務効率が低下します。
大切なことは、デモやオリエンテーションが手厚く用意されていることです。

それらによって、導入後に簡単な操作方法などで問い合わせる機会が減ります。

【失敗しないために】デイサービスソフト導入時の注意点

利便性の高いデイサービスソフトの導入ですが、いくつか注意点もあります。
事前にこれらの注意点を理解していることで、導入後の費用対効果を引き上げたり、追加費用を抑制できたりしますので、ぜひ参考にしてみてください。

運用体制・教育体制はあらかじめ整備しておく

誰がどの業務を担当して記録・管理をしていくのか、またそのために操作方法や運用方法の教育をどう行っていくのかの検討は、運用開始前までに済ませておきましょう。
これを怠ると、不特定多数がデータに触れて正確性が脅かされる、指導方法が属人的になって人材教育が非効率になるといったリスクに直面する可能性が高まります。

「多機能=優れたソフト」ではない

一見すると、多機能なソフトが優秀だと思い込んでしまいがちです。
しかし、自施設にとってオーバースペックなソフトは、導入コストや教育コストがムダになりがちです。

また、複雑なソフトは現場への定着に時間がかかるため、運用開始までの期間が長くなります。
そのため、自施設の必要機能をもとに製品を比較し、適切なソフトを選ぶと良いでしょう。

既存の管理データ・システムとの連携を考慮する

デイサービスソフトの導入前に、別の手法で管理していたデータの移行に失敗するというトラブルは致命的です。
既存のデータをどうやって移行するのか、システム連携の可否はあらかじめ確認を徹底しましょう。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

2021年の介護報酬改定でデイサービスにも「科学的介護推体制加算」が創設されました。科学的介護元年といわれる本改定を象徴する加算といえます。これは国がデイサービスに求めるものは、いわゆる”お預かり機能”だけではなく、利用者のADL改善など“具体的な成果”も要求され始めたということです。科学的介護情報システム(LIFE)を活用する方向にデイサービスは誘導されています。恐らく今後はデイサービスの基本報酬を減算し、LIFE関連を含め加算が拡充されていくでしょう。つまり、こういった加算算定をしなければ、確実に事業所の売上が下がるということになります。こういった加算算定のためにもソフトの活用は必須といえるでしょう。自施設の状況に合わせて使いやすいソフトを今のうちに選定・活用していきましょう。

ワイズマン「すぐろくTablet」のご紹介

これまで、デイサービスソフトの導入メリット検討のポイントなどを解説してきました。
検討を進める上で、具体的にイメージがしやすいように、株式会社ワイズマンの「すぐろくTablet」を例にご説明したいと思います。

「すぐろくTablet」の特徴

「すぐろくTablet」は、訪問先ですぐに介護利用者の情報を参照したい場合や、サービス提供中や終了後にすぐに事業所内で共有したいことがある場合などに大変便利です。
PCでの操作に比べて、タブレットの場合はタッチ操作で直感的に利用できるので、デジタルツールでの抵抗感がある方にも馴染みやすいのが特徴です。

オプション機能も充実していて、バイタル連携や、送迎管理といった業務領域にも対応していますので、自施設の状況で必要な機能を追加できます。

「すぐろくTablet」の料金

導入時に必要なコストは、保守や法改正費用を含めた「5年使用権パック」の購入費用と、システム設定や操作説明に必要な「初期導入費用」のみです。
月額利用料金で割高ランニングコストを支払う、追加費用の支払いがわかりにくい、といったことがなく安心です。

「すぐろくTablet」導入の流れ

導入までの基本的な流れは以下の通りです。
オリエンテーションや操作説明が充実しているので、スムーズにソフトの運用が開始できます。

  1. お問合せ
  2. お客様の現状ヒアリングと導入プランのご提案
  3. お見積りとスケジュールのご案内
  4. 導入決定
  5. 納品とオリエンテーション
  6. 稼働支援・操作説明
  7. 本稼働

導入後のサポート体制も気になる方が多いと思います。
株式会社ワイズマンでは、運用開始後のトラブルや不明点の問い合わせにも柔軟に対応できるように、製品別のサポート窓口を開設しています。

また、ITの知識に自信がない方でも安心な遠隔操作によるサポートも利用可能なので、万全のサポート体制が整っていると言えます。

まとめ

本記事では、デイサービス運営事業者に向けて、デイサービスソフトの概要を解説しました。
導入までの過程や検討のポイントなど、わかりやすく具体的にイメージしやすい解説を心がけました。

事業者同士の競争が激化する中で、効率的な事業運営が業績拡大経営状況の改善に直結すると言えます。
そのためのひとつのアイデアとして、ぜひデイサービスソフトの導入を前向きに検討して頂ければ幸いです。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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