電子カルテとは
医療のIT化を語る上で欠かせない「電子カルテ」。医療ドラマや健康番組などをご覧になっている方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
医療業界では、患者様の診察内容や診断結果、処方薬や経過について記載したものをカルテと呼びます。そのカルテをパソコンなどを用いて作成し、電子的なデータとして保存できるものが「電子カルテ」です。
データはデータベースに保存される為、紙のカルテのように「保管スペースが年々増えていく」といった心配がありません。
今でも「紙のほうが書きやすい」という医療者も多く、紙カルテの風習が根強く残っている病院も少なくありませんが、電子カルテの普及は年々広がっています。
その背景には、「紙カルテによって生じる業務課題」と「医療の進化」という2つの側面があります。紙での運用は医師とスタッフの情報共有に時間が掛かることはもちろん、手書きの文字がわからず読めない、読み間違えしまうなど様々な課題を抱えています。
また、CTやMRI検査といった画像データが増えている時代背景も相まって、業務の効率化や業務品質の向上を実現する電子カルテの必要性がますます強まっているのです。
電子カルテの普及率や現状はどうなのか
2020年の電子カルテの導入病院数は、一般病院は、2017年から増加し7,179件、普及率は2017年と比較して、10.5%増の57.2%と年々増加しています。
また、厚生労働省の調べによると、病床数が400床以上の大病院では91.2%と高い導入率となり、ほとんどの大病院が電子カルテを導入している結果となっています。その一方、200床未満の中小規模病院では、48.8%とあまり浸透していません。同様に一般診療所の導入数も、49.9%とあまり浸透していません。
大病院と中小規模病院の導入率に格差ができてしまう要因として、コスト負担が大きいことが挙げられます。実際に電子カルテ導入をする場合、数千万円の費用が掛かるため、中小規模の病院にとって大きな負担となっているのです。
当社は、今後も資金面をはじめとした導入までのハードルを解決し、療養型・ケアミックス病院の業務効率化や品質向上のお役に立てればと考えています。
紙カルテから電子カルテに切り替える上での課題やポイント
紙カルテから電子カルテへ移行する際の重要な課題とポイントをご紹介します。
1.溜まった紙カルテの移行
対策としては、再診の患者様の場合は、紙カルテを参照しながら電子カルテに記録します。新規の患者様については、最初から電子カルテに記録します。
最初は手間に感じますが、慣れてくれば半年~1年でほぼ全ての患者様を電子カルテで診療できるようになります。他にも患者様の数が少ない病院であれば、紙カルテをすべてスキャンして、電子カルテに取り込むという方法もあります。
2.導入費用の発生
電子カルテへの切り替えに伴い、導入費用は必ず発生します。導入費用は、システムの価格に加えて、初期設定や操作説明の費用、月々の運用コストなどが発生します。また、設定するパソコンの購入費用やネットワークインフラの準備費用も発生します。
このように、多額の費用が必要となるため、少しでも安価で導入効果が高いシステムを選ぶことが重要です。
3.システム操作の習得
電子カルテは多くの機能があり、システム操作に慣れるまで多くの時間を要します。これまで紙カルテに慣れていた病院やパソコンに抵抗感を感じているスタッフが多い病院などは習得までにかなりの時間を要してしまうかもしれません。
自分にとって使いやすく、画面が見やすいかどうかだけでなく、スタッフ全員が使うことを想定して選定することが重要です。
課題を乗り越えた先にある電子カルテの効果をご紹介
医療の質が向上
医療事故の防止
紙カルテに比べ、文字が正確に読むことができ、指示の伝達ミスや投薬ミスが減ります。
円滑な情報共有
病院のスタッフ間や外部の医療機関など、患者情報の共有が可能になり、医療の質が向上します。
効率的な医療の実現
他科の診察状況や検査結 果も参照できるため、医師の診断から治療までの体制がより正確かつ、効率的になります。
患者サービスの向上
外来診療の待ち時間短縮
スムーズなオーダーの確認・実施や、事務作業の効率化が可能。外来診療の待ち時間短縮につながります。
検査結果や処方の待ち時間短縮
検査や薬剤処方のデータも、検査結果から検査室、診察室から薬剤部へと直接送信され、検査結果や処方の待ち時間が短縮されます。待ち時間が短縮された結果、患者様が病院内で過ごす時間が減り、満足度向上に繋がっています。
経済効果
人件費の削減
紙カルテの管理・搬送業務を行う人材を削減することが可能。また、関係各所への情報提供書類の作成・発行が短縮されます。
業務ミスによる損失の減少
カルテの転記ミスによる再作成や読み間違えによる請求漏れなどがなくなり、無駄な費用が削減できます。