医療法人社団淀さんせん会 金井病院 様
理事長 金井 伸行先生
金井病院は2008年の夏より電子カルテシステム導入の検討を始めました。同病院は100 床規模ながら23 科という非常に多くの診療科を標榜し、10診体制で外来業務をこなしていたため、紙によるオーダーや紙カルテの移動など煩雑な業務により、診察終了から会計まで1 時間近くかかっていました。そこで電子カルテ化を見据えつつも、まずはオーダリングシステムの導入を検討しました。
「当時は医師以外、電子カルテやオーダリングシステムがどんなものか知る職員はほとんどなく、何を議論していいのかわからない状況で、システム化に向けた院内の気運が、なかなか盛り上がりませんでした。また、7社の提案やデモを受けましたが、イメージに合うパッケージシステムがなかったことや提案されたシステムが予算に合わなかったため、約1 年間かけて検討したものの、導入はいったん凍結しました。」(金井先生)
金井病院は、病院、クリニック、訪問看護ステーションなど複数の施設間で情報共有やシステムが利用できることや、病院とクリニックで電子カルテの必要な情報を相互に参照できること、クリニックから病院の検査予約ができることをシステムの機能として求めました。そこで医事会計システムが2011年3月にリースアップするタイミングで電子カルテを導入しようと、2010年に再びプロジェクトを進めました。
2010年末、2ヵ月間の集中的な検討を経て、ほぼ決まりかけていた他のベンダー製品を覆してワイズマンの電子カルテを中心としたシステムを正式に採用しました。
「従来、病院の医事会計のための患者ID 、先行導入していたクリニックの電子カルテの患者ID、健診システムの受診者IDと、すべて個別に運用されていました。施設間で情報共有したいという強い要望を実現するためには、まず各施設で利用していたこれらのIDを統合することが必要。その課題に対して、積極的なシステム化提案をしてくれたのがワイズマンでした。加えて、複数の検査を同一日に予約する際の機能について当初は実装されていませんでしたが、一覧画面で予約できるよう機能追加するという提案も評価しました。また、導入検討時のデモで、ワイズマン製電子カルテの画面構成のわかりやすさ、操作性の良さなどに対して、多くの職員の印象が良かったことも選定に大きく影響しました。」(金井先生)
電子カルテシステムER、病棟看護支援システムER、臨床検査システムER、医療事務管理システム、リハビリテーション支援システムと、すでに運用されていたPACS、RIS、読影リポートなど放射線部門システム、健診システムなどとの連携を実現し、約6ヵ月半という短期間で全システムの本稼働を実現しました。
外来・病棟、健診、在宅医療の各部門で1患者1IDを実現した「患者ID統一」が、大きな効果を生みました。職員の事務作業の軽減はもちろん、患者の診療や健康保持・増進など、予防医療にも役立てられるようになりました。
「在宅医療に移行する際には、病院の主治医・看護師と往診を担当する医師、訪問看護師、訪問服薬指導する薬剤師、ケアマネジャーなど、様々な職種のスタッフが退院前カンフアレンスで情報を共有する必要があります。現在は施設間で事前に診療情報を参照できるため、よりスムーズな在宅移行が可能になりました。また、在宅患者が病院を受診するときは、往診時の経過記録を病院の端末で参照できるので、より適切な診療が可能になります。」(金井先生)
「また、画像検査など複数の検査予約を一元管理できる機能を実装したことで、新設した予約センターでの検査予約業務を、効率よく実施できるようになりました。これまでの検査予約は、各部門で管理されている検査予約を電話などで確認しながら、患者の都合と調整するという煩雑な業務で、特に1日で複数検査する患者の調整では大変な作業でした。現在は、医師は検査指示するだけで、診察後に予約センターで患者の予定を聞きながら、予約管理一覧画面で簡単に予約ができ、複数の検査予約も簡単になりました。これまで30分~1時間だった会計までの待ち時間が、10分前後へ短縮されています。」(金井先生)
「これまで医師の所見や検査データを見るときは、いちいち紙カルテにあたったり、電話で問い合わせたりしなければなりませんでした。今は端末で病棟記録を見ながらカルテ情報も参照できます。看護師カンファレンスの際も、カルテや看護記録、栄養状況など各部署の情報を横断的に参照できるようになりました。カンファレンスの質も上がったと思っています。」(看護副部長 奥邨志保美さん)
「最適な運用に向けて改善要求を出しながら対応してもらっています。システム選定時に期待した小回りの利くサポートを発揮してくれて、迅速で的確な対応をしてくれています。」(情報センター課長 森口健吾さん)
金井病院は、クリニックの電子カルテシステム刷新と同時に、訪問診療時にiPadで電子カルテにVPN接続して情報を参照できるようにしました。また、訪問看護師や訪問薬剤師、介護スタッフと在宅患者の情報を共有する環境を、クラウドサービスの利用で実現しています。現在、常勤医全員と幹部職員にiPhoneを配布し、その他の職員とも携帯メールをコミュニケーションに活用しています。
「スマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイス活用が、病院内でも有効だと思っています。モバイル端末でのカルテ情報へのアクセス、病棟看護師によるバイタルデータの入力など、業務利用へと活用を拡大していきたいと考えています。」(金井先生)
電子カルテシステムER / タックリハビリテーション支援システム / 病棟看護支援システムER / メディカル介護システム / 臨床検査システムER /
※掲載内容は取材当時のものです
京都市伏見区の医療法人社団淀さんせん会金井病院は、ケアミックスで健診部門を持つ本院と在宅療養支援診療所、訪問看護ステーション、デイサービスセンターなど、グループ全体で地域の急性期医療・在宅医療・予防医療を支えています。電子カルテを中心とした病院情報システムの構築により、グループでの情報共有を実現し、効率のよい質の高いサービス提供をしています。
施設 | 中小規模病院 |
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所在地 | 京都府京都市伏見区淀木津町612-12 |
URL | http://www.kanaihospital.jp/ |
施設種別 | 内科/神経内科/呼吸器科/消化器科/循環器科/リウマチ科/小児科/外科/整形外科/形成外科/脳神経外科/皮膚科/泌尿器科/肛門科/婦人科/眼科/耳鼻咽喉科/リハビリテーション科/放射線科/漢方外来/もの忘れ外来/禁煙外来/生活習慣病外来/女性外来 |