2023.01.19
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【小濱道博の介護戦略塾】介護保険部会意見の検証(3)

3,居宅介護支援の予防ケアプラン直接契約と介護助手

地域包括支援センターの役割を分析した時、令和3年度からスタートした重層的支援体制整備事業による8050問題の相談窓口など、総合相談支援機能に特に力を入れるべきされました。そうした時に、地域包括支援センターの業務の中で大きな負担になっているのが予防ケアプランです。今予防ケアプランは多くの場合、地域包括で受注して地域の居宅介護支援事業所に外部委託している状況です。今回、予防ケアプランを居宅介護支援事業所支援に指定を拡大して、居宅介護支援事業所が、直接に予防ケアプランを受注できることが確定しました。また、予防ケアマネジメントAについては、利用者の状態が大きな変化がない場合に限って簡素化を可能とするということで負担を軽減するという方向が出されています。

次に、タスクシェア・タスクシフティングが今回の大きなキーワットとして 浮上しています。タスク=仕事、シフティング=移していく、移譲するということです。特に介護施設の介護職員は、本来の介護の仕事以外に多様な仕事をしています。いわゆる雑務です。ベッドメイキング、掃除、配膳の手伝い、食器洗いなど、このような仕事をやりながら、本来の介護職員の業務である入浴介助、排泄介助、食事介助もやっている。結果として、介護職員が何人いても足りないということになるわけです。今、介護職員がやっている間接的な仕事を切り分けして、役割分担を明確にして介護助手に移していきましょうということです。介護職員は、本来の介護職員の業務に集中いただく。今まで介護職がやっていた、掃除とかベッドメイキング、配膳の手伝いといった業務は介護助手、すなわち地域の元気な高齢者や子育てが終わった主婦層に移管していきましょう、役割分担しましょう。そして、介護職員の負担を減らしていきましょうということです。この介護助手という名称については高齢者とか子育てが終わった主婦層からの積極的な参画が促されるように、名称についても引き続き検討していくということです。老健とか特養の介護施設を中心にモデル事業としての臨床実験が行われ、来るべき令和6年度改正で、人員配置の緩和措置や加算の算定要件に含める方向が出されています。また、介護助手の人材確保については、今後は社会福祉協議会やシルバー人材センターなどと提携しながら柔軟に対応していくということです。本格的にこの介護助手制度がスタートします。当初は介護施設を中心ですが、デイサービスやグループホーム等についても活用が可能です。

ケアプランの作成におけるAIの活用もポイントとなります。ケアプラン作成において、AIを活用する方向をさらに促進されます。ここにもLIFEが絡んでくることになります。厚生労働省主導のICT化はさらに加速していくでしょう。来年度からは、ケアプランデータ連携システムが始まります。さらにケアマネジャーの資格者証については 今後マイナンバーカードに位置づけていくという方向も出されています。

介護助手については、介護助手ではなく介護職員として地域の高齢者など雇用すれば良いという声も聞こえますが全然違います。介護という仕事は、向き不滅の適性があります。いくら優秀な方でも介護の仕事が向かない方が多くいらっしゃいます。介護の仕事というのは人と人とのコミュニケーション能力が大事です。人との付き合いが好きな方でないと務まらない仕事です。人との付き合いが苦手な方は介護の仕事についても1、2週間でやめてしまいます。介護の仕事はとても適性があり、誰でも良いというわけではありません。ただ人付き合いが苦手で、コミュニケーションが不得手の方であっても、ベッドメイクとか掃除とか配膳などは出来ます。介護助手として雇用した方が介護職員として適正があると判断できれば、介護職員に引き上げていけばいいわけです。介護職員の確保策としても看護助手というのはとても重要なキーワードになります。介護助手制度が、どのような形で人員基準の緩和などの介護保険制度に絡んでくるのか。これも来年の介護報酬改定審議の中で明らかになります。

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表 株式会社ベストワン 取締役 一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事 C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。
全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。

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