2023.01.13
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【斉藤正行のはなまる介護】「2023年介護業界の注目ポイントと展望」

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。2023年の幕が上がりました。2023年は我々、介護業界にとっては大切な1年間となります。2024年診療報酬・介護報酬・障害福祉等サービス報酬の同時改定に向けた議論が、いよいよ本年3月ごろより介護給付費分科会において具体的な議論が進められることとなります。秋ごろには全体改定率が決定されることとなり、プラス改定となるのか?マイナス改定となるのか?介護業界にとっては最も関心の高まる事案です。更には、年内中には、サービスごとの論点に基づく議論も概ね終了し、各種加算、基準の見直しの中身もほとんど決定されることになります。3年ごとに行われる介護保険法改正・介護報酬改定のタームにおいて、本年は最も大切な1年であり、報酬改定に向けた議論の進展が都度発信されるので、情報アンテナをしっかりと張り巡らしておく必要があります。

また、この報酬改定の議論にも影響を及ぼすことになる関心事象が2点あります。1つは新型コロナウイルス感染症の感染拡大と収束に向けた議論の動向であり、もう1つは、物価高騰の状況です。この2点については、今年も継続して介護業界に厳しい影響をもたらすことが予測されます。一方で、業界の誰もがこの2点については早期の収束を切望しているところでありますが、報酬改定の観点のみで鑑みると、影響が長期化すれば、秋ごろに決定される改定率において考慮されることとなり、マイナス改定の決断は打ち出し難くなり、逆にそれぞれが収束に近い状況となっていればマイナス改定の可能性が高まってくると予測されます。

それでは、この2点の収束に向けた状況予測ですが、これは誰にも見通しは立てにくい状況であります。しかしながら、コロナ禍の状況の方が比較的早期に収束の動きがすでに見られています。もちろんウイルスが無くなるわけではありませんが、感染症分類の「2類相当」から「5類相当」への引下げは年内中に実現される可能性は高く、世間的な関心事からは薄まっていく可能性は高いと言えると思います。とは言え、介護現場においては感染拡大防止に向けた取組みを継続していく必要があることは言う前でもないことです。一方で、物価高騰の状況は海外情勢・戦争の情勢に大きく影響されることですが、現在のところ、長期化の様相を呈しており、物価高騰が収まるどころか、更なる高騰に繋がる可能性の方が残念ながら高いと言えるのではないかと思います。サービスの質を低下させることなく生産性向上や、業者との交渉・選定先の見直しなどを通じたコストコントロールの重要性が一層求められることとなります。

そして、介護保険法改正についてですが、昨年末に介護保険部会においてとりまとめられた「介護保険制度の見直しに関する意見」を基に、改正介護保険法案が年内に国会で審議されることになると思いますが、議論が先送りされた「利用者負担割合の対象拡大」については、今年夏ごろの結論が想定されており、今後の議論に注目していきたいと思います。

更には、新サービスとなる「訪問介護+通所介護」の複合型サービスの詳細を含めて、「科学的介護の推進」「自立支援・重度化防止の推進」「生産性向上に伴う要件緩和」「処遇改善関連加算の1本化」のゆくえなどが、介護給付費分科会における報酬改定での注目テーマとなります。引き続き、本コラムにおいて、これら注目テーマの最新情報を都度お知らせしていきたいと思いますので、本年もどうぞよろしくお願い致します。

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

  • 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
  • 株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループ 代表取締役
  • 一般社団法人日本デイサービス協会 名誉顧問
  • 一般社団法人日本在宅介護協会東京支部 監査
  • 一般社団法人全日本業界活性化団体連合会 専務理事
  • その他、介護関連企業・団体の要職を歴任
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