2023.01.11
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【名南経営の人事労務コラム】第13回 LGBT職員への配慮

多様性というキーワードを見聞きすることが増えてきましたが、医療機関・福祉施設における雇用管理の現場においても今や当たり前のように用いられるようになってきました。

 最近は、採用時において応募してくる人材の中に、履歴書に貼付されている写真と性別が違うというケースもあり、面接時に話を聞くとLGBTであるということがわかることがあります。

 LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字ですが、性自認がわからないクエスチョニング(Questioning)のQや肯定的かつ包括的に自身をマイノリティであることを指すクィア(Queer)のQを含めてLGBTQ等ということもあります。

 最近は社会全体がLGBTに関して非常に寛容になってきていることもあり、応募者自身が隠し通すというよりも、自己のありのままを出し、面接時にも自らその旨を伝えるケースが増えていますが、2020年に実施された電通ダイバーシティ・ラボ調査では、国民の約1割がLGBTであるといった調査結果もあり、一定数の方が存在するというのが実態です。

 さて、雇用管理という点においては、いろいろと配慮が必要となります。特に、性同一性障害の方にとっては、トイレや更衣室は大変な苦痛となるといわれておりますが、無制限に要望等を受け入れれば現場が混乱をするということも考えられます。例えば、身体は男性であるものの心は女性、といったようなケースにおいて、更衣室を女性職員と同室にするということは、一部の女性職員から大きな反発が生じることもあり、トイレの使用についても同様です。

 従って、まずはトイレについては、使用頻度の少ない一部のトイレからまず使用を認めていくといった運用から進める方法が無難であり、更衣室についてもあまり使用しない部屋の使用を認めるといったことも検討していく必要があります。

 また、採用時から本人がLGBTである旨を公言していれば上記のような配慮が考えられますが、既に働いている職員が自身のLGBTについて上司や先輩、同僚等に告白するということも想定されます。この場合、今や世の中全体でLGBTに寛容になってきたとはいえ、依然として差別的意識を有する方も一定数存在し、部下等からの告知を周りに言い振らしてしまうということも有り得ます。このように本人が望まない周りへの言いふらしは、アウティングといわれていますが、本人に極めて深刻な精神的なダメージを与えますので注意をしなければなりません。

 以上のような様々な問題を発生させないためには、管理職や職員に対してLGBTに対しての研修等を行うことが効果的です。一定数存在しており、様々な角度からの配慮を考えるきかっけにもなります。また、企業等によってはアライという取り組みを行っているところもあり、このアライ(ally)というのは味方という意味であり、LGBTの性の多様性をシンボルとする虹色を基調にしたシール等を名札に貼ったり、ネックストラップを用いたりすることで「大丈夫、安心して」というメッセージを投げかけることができます。こうした取り組みによって職場全体でLGBTについて配慮をする風土ができあがりますので、アライについて取り組んでみてもよいでしょう。

服部 英治氏

社会保険労務士法人名南経営 ゼネラルマネージャー

株式会社名南経営コンサルティング 取締役

保有資格:社会保険労務士