2022.12.28
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【小濱道博の介護戦略塾】介護事業者が注目すべきキーワード<第4回>外国人研修制度と介護助手〜慢性的な人材不足の解消策

小濱道博の介護戦略塾

【第4回】外国人研修制度と介護助手〜慢性的な人材不足の解消策

●外国人を研修生として5年間雇用できる仕組み

人材難に喘ぎ、人材確保の対応策が大きな課題としてのし掛かっている介護事業に於いて実績が高まっているのが、2017年11月の法改正で介護分野もその対象となった外国人技能実習制度です。制度の特徴は、監理団体を通して外国人を就労させることにあります。この監理団体は、多くは地域の協同組合などが請け負っています。日本に技能研修に来る外国人はまず、監理団体である協同組合などに入会して日本に到着後の二ヶ月間は監理団体が行う日本語の研修に費やします。研修の後に、受け入れ先の介護施設や通所サービス等において、半年間はいわゆる「見習い」として就労します。半年間の就労期間が終わると、研修生を受入れた施設では、介護職員の1人としてカウント出来る仕組みです。技能実習生は日本国内で5年の間、介護職員としての勤務することが可能ですので、人材不足に悩む、特に地方に拠点を持つ、人材不足が際立っている介護施設等の関心が高い制度です。しかし、3年前に発生したコロナ禍以降、外国人研修生の受入はストップしていました。今年の4月以降、受入が復活しており、積極的な受入が再開しています。

●外国人は優秀であることがデメリットとなることも

外国人の実習生は賃金が安くて低コストとの誤った認識も多いのですが、賃金は、日本人労働者が従事する場合に支払われる賃金と同等額以上の賃金を支払うことが定められていて、監理団体への報酬などもあるために、結果的には日本人職員よりも支払総額は高くなることが多いようです。しかし、介護職員1名不足しているだけで、介護報酬の人員基準欠如減算が適用され、介護報酬の請求総額の30%がカットされることを考えると背に腹はかえられないということになります。受入の人気国は、ベトナム、タイ、モンゴルなどです。特にモンゴルは、モンゴル語が日本語に近くて修得しやすく、容姿も日本人に近いために人気が高いようです。相撲界を見るとモンゴル出身の力士が多いことからも、これは頷けます。また、ベトナムの研修生も根強い人気があります。日本の介護事業を営む法人がアジア圏内に現地法人を設立して、日本語学校と介護施設を運営しながら、有能な人材を日本の介護施設に紹介する試みも行われています。問題は、外国人研修生の多くが能力的に優秀で、時間の経過とともに日本人職員が見下されるという意見も少なくありません。

●地域の元気な高齢者を介護助手として雇用する

令和6年度介護保険法改定において、介護助手という言葉が一気にクローズアップされてきました。介護施設では、介護職は入浴介助や排泄介助などの本来業務と共に、食事の配膳、清掃、シーツ交換、入浴後の髪へのドライヤー掛け、備品の補充など、多くの間接的な業務も担当していることが多くあります。これでは、介護職員が何人居ても足りません。このような間接的な業務を、地域の元気な高齢者や、子育てが終わった主婦層を介護助手として雇用して担当頂く事で明確な役割分担が実現し、介護職員は本来業務に集中出来るという考え方です。組織全体の職員の頭数を減らすのではなく、施設内で役割分担を明確にして、介護職員の負担を減らすのが目的です。この制度は、三重県が先行して実施しており、現在は、他の都道府県にも拡大しています。また、介護助手として雇用した職員の適性を見極めた上で、介護職員などにキャリアアップすることも可能で、職員確保の一手段となり得ます。しかし、批判的な意見を聞くこともあります。実際に、介護助手を雇用したが、仕事への取組にバラツキがあったり、短期間で辞めてしまったりと、良い印象が無いと言う声もあります。しかし、これらは、現在の介護職員の業務をしっかりとアセスメントして区分し、役割分担を明確にすることと、介護助手の業務マニュアルを整備して、事前研修を行うことで対応が可能です。介護助手という仕組みも、人材確保策として、大きな期待が高まっています。

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表

株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。
全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。