【医療業界動向コラム】第178回 令和8年度診療報酬改定における地域医療連携に対する評価のポイント
2026.03.10
令和8年2月13日に公表された令和8年度診療報酬改定の個別改定項目から、地域医療連携の観点からポイントを確認する。
DPCの見直しで求められる早期退院と再入院防止対策の連携
DPCのルールの見直しの一つとして、再転棟は期間を問わず、原則として一連の入院として扱うこととなったことがあげられる。また、入院期間Ⅱをさらに前倒しすることとなった。すなわち、早期退院を促しつつ、再入院予防対策を地域医療連携を通じて行っていくことが求められるということだ。
今回、心不全再入院予防継続管理料が新設された(図1)。これは、その文字の通り、心不全患者が再入院とならないよう、退院後も継続してリハビリテーション、外来における経過観察をおこなっていくものだ。二次性骨折予防継続管理料と同じ目的の項目といえ、地域医療連携クリニカルパスを活用した地域内での疾病管理を行っていく。本年1月より報告が始まっているかかりつけ医機能報告では、一次診療対応可能な領域を明確にし、報告が終了している医療機関から随時医療情報ネット(ナビイ)に掲載されている。一次診療対応可能な領域には、心不全も選択肢の一つとなっていることから、今後、心不全再入院予防継続管理料を地域で算定するために連携先を探すにあたって、医療情報ネット(ナビイ)を利用され、地域で連携が進んでいくことになるだろう。このように、かかりつけ医機能報告が推進されていくことで地域内での役割分担を通じた疾病管理を行う環境が整備され、再発・再入院を防ぐための連携の診療報酬での評価が多く出てくることが考えられる。

ポリファーマシー対策は地域連携の新たなテーマ
また、令和8年度診療報酬改定ではポリファーマシー対策の評価である薬剤総合評価調整加算が連携に関わる評価として見直されている。従来は、入院中のポリファーマシー対策の実践(内服薬6種類以上の患者に対して減薬の指導・対応を実施するもの)を評価するものだったが、退院時薬剤情報連携加算を廃止して、薬剤総合評価調整加算に統合し、転院先や退院後のかかりつけ医や薬局などに入院中に実施したポリファーマシー対策の取り組みを継続できるように連携することまでを要件とし、160点へと引き上げられた。薬剤総合評価調整加算はすべての病棟での算定が可能となっている上に、病棟薬剤業務実施加算1を算定する病棟では薬剤総合評価調整加算等の実績(本加算を直近3ヵ月で算定回数が10回以上及び直近3ヵ月における退院患者に対する退院時薬剤情報管理指導科の算定割合が4割以上)によって、評価が300点という新たな区分を算定できる。病棟薬剤師の採用と処遇改善に大きく寄与することになるだろう。
連携の観点で遠隔連携診療料の有用性を確認する
連携の観点で、遠隔連携診療料も確認しておきたい。従来の遠隔連携診療料は、指定難病とてんかんの患者に限定され、外来において日常診療を担当する医師が患者と一緒に、専門医からオンラインでコンサルテーションを受けるというもの。今回改定では対象となる患者を拡大するとともに、在宅診療と入院診療の場面でも実施することで評価されることとなった(図2)。入院診療の場面では、自院に該当する診療科を標榜していない場合に、同一地域内の他の医療機関と情報通信機器を用いて連携し、コンサルテーションを受ける、ということが可能となる。純化を極めていく中で、自院だけでなんとか対応するということではなく、地域内の医療資源を有効活用していくという視点が重要だ。

山口 聡 氏
HCナレッジ合同会社 代表社員
1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

