【医療業界動向コラム】第183回 審議中の健康保険法等改正案、医療機関における業務効率化の推進を明記へ

2026.04.17

前回、健康保険法改正案が審議されることをご紹介した。主に患者の自己負担割合や保険料率の見直しに関する内容に焦点を当てて解説したが、今回の改正案では医療機関における業務効率化を推進するための見直しも盛り込まれている。

積極的なICT機器の導入等で業務効率化を

医療法上、医療機関の管理者は医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に取り組む措置を講ずるよう努めることとなっている。今回の健康保険法等改正案では、業務効率化にも取り組むよう努める旨を明確化する。また、保険医療機関の責務として、業務効率化・勤務環境改善に取り組むよう努める旨も明確化する(図1)。

今後、業務効率化への取組を推進するべく、積極的にICT機器等を導入するなど業務効率化に取り組む病院に対して、新たな認定制度を設けるなど行う予定となっている(図1)。人材採用・確保の面でメリットが出てくることになるだろう。

図1 医療機関の業務効率化・勤務環境改善への支援(クリックして拡大表示)

なお、こうした業務効率化の実現にはICT機器の積極的な導入が必要になってくる。そこで、令和7年度補正予算における医療分野の生産性向上に対する支援を利活用することになるだろう。厚生労働省のホームページに「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業について」のページが設けられており、本年5月から申請受付が始まり、7月以降に選定結果が出ることが示されている。令和8年度中に生じる経費の4/5が補助されるが、1年目の計画終了時、2・3 年目の計画途中及び3年目の計画終了時に報告が必要となり、そこで成果が認められない場合、補助金の返還が求められる場合も有り得る点に注意したい。なお、ベースアップ評価料を届出していることが必須となる。

看護職員の配置基準緩和の概要を確認する

令和8年度診療報酬改定では、深刻化する人手不足への対策として、ICTを活用して業務効率化を実現している病棟に対し、看護職員の配置基準を1割以内の範囲で柔軟化できる規定が新設された。この新たな規定の運用においては、看護業務の質の低下を防ぐことを目的に以下の3種類のICT機器をすべて導入することが必須条件とされている(図2)。

図2 3種類のICT機器(Medi care wel 制作資料より)(クリックして拡大表示)

また、人員配置の柔軟化を適用するためには、機器の導入だけでなく、労働環境の改善(超過勤務時間の管理など)や定期的な評価も求められる。対象となるのは急性期一般入院料1~6、急性期病院一般入院料AB 、7対1入院基本料、10対1入院基本料、地域包括医療病棟入院料1・2、小児入院医療管理料1~4、特殊疾患病棟入院料1・2、緩和ケア病棟入院料1・2となる。

 

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

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