2020.04.08
お知らせ

IT導入支援に係る補助金のポイント整理

Q1地域共生社会の実現に向けたICT基盤整備の位置づけは?

「科学的介護」の実現に向けて、人材確保や生産性向上に寄与するICT基盤の整備が推進されています。介護事業者は社会資源となる介護データを取扱う重要性を再認識しなければなりません。

2025年まで残り5年と迫り、地域包括ケアシステムの構築などが順調に進む中、今般では2040年に着目した制度改革へとシフトしてきた点に留意しなければなりません。地域包括ケアシステムの構築は「地域共生社会」の実現に向けた重要な通過点であると理解することがポイントであり、2021年度の介護保険制度改革に向けて各テーマが設定されています(下図)。

2020年度の「地域医療介護総合確保基金(以下、基金に略)」における予算配分では、介護予防や地域づくりの制度化が進められる中、介護現場の課題である人材確保や生産性向上について、引き続き重点化される点が特徴的となっています。介護事業所等では「科学的介護」の実現に向けて、人材確保や生産性向上に寄与するICT基盤の整備が推進されている点を再認識し、準備や対策を練っていくことが大切です。

2020年度の基金の予算において、ICT導入や介護ロボットの導入支援が拡充された理由は、「科学的介護」を実現するうえで介護現場にICT基盤を普及させていくことが必要になっているからです。整備では、介護に関するサービス・状態等を収集するデータベースを構築し、介護事業所のパフォーマンスを示すアウトカムを介護報酬上で評価しつつ、保険者に対する評価(財政的インセンティブ)に反映させていく計画となっています。データ解析の結果次第では、介護報酬上の評価のみならず、例えば人員基準の緩和など、基準の見直しを図る裏付けとして将来的に用いられる可能性がある点も押さえておきたいポイントです。

また、「科学的介護」の実現では、介護ロボットの開発による深刻な人手不足を補うことが期待され、人材確保の取り組みと並行して戦略的に導入検討を進めていくことが大切です。そして、介護事業者におけるICT化対応の取り組みは、利用者のQOLに直結し、社会資源となる介護データを取扱う重要性を再認識しなければなりません。

介護のICT化やロボット等の導入は、単なるシステムや機器の選定で片付けられる話ではなく、介護現場の生産性向上や働き方改革の推進の一翼として活用できるかという点も考慮しながら、導入を判断するとよいでしょう。

出所:厚労省「全国厚生労働関係部局長会議(2020.01.17)」老健局資料より引用、一部編集可能

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ワイズマン編集部

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