2022.10.19
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【小濱道博の介護戦略塾】新時代に生き残るための介護事業経営のススメ<第3回>介護報酬依存症からの脱却しよう

【第3回】介護報酬依存症からの脱却しよう

1.介護事業所のコンビニ化

介護事業所は、デイサービスだけでも、セブンイレブンとファミリーマートのコンビニ店舗数の合計を軽く上回っています。これがコンビニ化の一つの意味です。もう一つの意味は、ここまで事業所数が多いと、外から見ると皆同じに見えてしまうということです。外から見ると、事業所が余りにも多すぎて、事業所毎の違いは殆ど分からないのです。例えば、訪問介護はセブンイレブンに見えていて、通所介護はローソンに見えているという意味も含んでいます。要は、周りから観ると何処を使っても同じと思われている。ここに、介護事業所のブランディングと差別化の重要性があります。

2.経営のリスク分散を図る

経営リスクが高いのが、介護サービスだけを専門でやってます。という介護報酬依存体質の高い事業者で、かつ、ひとつのサービスに専業で取り組んでいる専業特化型の事業者です。理由は、制度改正や介護報酬改定の逆風をもろに受けるからです。仮に、デイサービスが制度改正で大きな打撃を受けたとしても、他に訪問介護や訪問看護、グループホームなどを手がけていたらどうでしょう。デイサービスが、一時的に経営が悪化しても、ほかのサービスの収益で支えることが出来ます。他のサービスで支えることでデイサービス事業も早期に立て直すことが出来ます。これを経営のリスク分散と言います。 介護事業に限らず、小規模な会社は取引先が一つか二つ程度の会社も多くあります。いわゆる下請けです。その会社は、取引先である親会社が、景気が良いときは売り上げをどんどん伸ばします。しかし、その取引会社の業績が落ち込んだときは大変です。さらに、その取引先が倒産などしたら一緒に倒産です。介護事業でいう親会社は国です。国が景気の良いときは順風満帆で事業が拡大しますが、財政が悪化して厳しい状態の時は真っ先に規制が強化されます。これからの介護事業の経営では、経営する事業規模の多角化、拡大策を取ることと、保険外サービスも提供する混合介護を進めることが大事です。

3.事業規模の多角化、拡大策

厚生労働省は介護職員の処遇改善に取り組んでいます。しかし、事業規模の大きな介護事業所は、給与や教育研修と言った処遇の問題は余りありません。問題は、事業者の過半数を占める小規模な事業所です。小規模な事業所は、利益率も小さく、給与面もランク的には下の方となり、職員の教育訓練に充分に資金を廻すことが出来ません。結果として職員の専門的な能力も低い状態が続いています。さらに職員数も限られているのでキャリアアップの余地も殆どありません。ここに介護事業経営の大規模化の必要性があります。 規模の拡大とともに取り組むべき課題が、事業の多角経営化です。訪問看護は医療系のサービスで、一般の営利法人にとっては看護職員の募集の困難さと相まって敷居の高いサービスと思われがちです。しかし、今後はさらに、在宅の重度者が増えることで医療行為のニーズが急増します。この在宅ニーズを見こした場合、訪問看護ステーションの併設は大きなチャンスです。デイサービスであれば、認知症対応デイサービスの併用によって、認知症を事業コンセプトに掲げた複合化が可能になります。さらにグループホームを併設することで、デイサービス〜認知症デイ〜グループホームという認知症対応の縦のラインが完成します。ここでのポイントは、対象となる利用者層を出来るだけ絞り込んで、提供するサービスラインを明確に構築することが大切です。

4.24時間サービスへの取り組みも考えるべき

地域包括ケアが進むと、重度の要介護者が病院には長期間の入院が出来ず、介護施設も中々入居できないために在宅で過ごすことが多くなります。今後は重度者が在宅で過ごす機会が増えるので、在宅サービスの利用者も重度化することになります。その場合、重度者は寝たきりの方が多いため、1日の中で定期的におむつ交換や体位交換、そして痰吸引などの医療行為を行う必要があります。この時に、在宅サービスも24時間化が急務になります。在宅サービスが、夜間の営業をしてはいけないという基準は、どこにもありません。

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表 株式会社ベストワン 取締役 一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事 C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。
全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。

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