介護職における個人目標の具体例|経験・職種別に徹底解説

2026.01.14

「目標設定シートの提出期限が迫っているのに、何を書けば良いか思いつかない」
「とりあえず書いたけど、こんな目標で評価されるのか不安」

日々の業務に追われる中で、あらためて目標を立てるのは簡単なことではありません。しかし、目標は介護職としての仕事のやりがいを高めるための大切な羅針盤です。

そこでこの記事では、具体的な目標の例文を経験年数や職種別に紹介します。さらに、なぜ目標が重要なのか、上司に評価される目標をどう立てれば良いのかも解説します。

自分にぴったりの目標を見つけ、自信を持って明日からの仕事に取り組むためのヒントを見つけましょう。

目次

介護職員が目標設定することで得られる3つのメリット

目標は自身の成長だけでなく、ケアの質を向上することにもつながる重要な活動です。ここでは、目標設定がもたらす主な3つのメリットを紹介します。

メリット1:日々の成長を実感できる

介護の現場では排泄・入浴・移乗・食事など、日々似たようなケアを繰り返します。そのため、目標がなければ、こうした業務はただこなすだけになる可能性もあるでしょう。

しかし、「3カ月で〇〇さんの移乗を一人で安全に行えるようになる」という明確な目標があるだけで、同じ移乗介助でも視点が変わります。目標があると、達成に向けて以下のような視点を持って行動できるようになるでしょう。

  • 今日はどこまで一人でできたか
  • 先輩の声かけや手の動きをどう真似できるか
  • 失敗からどのような工夫を考えるか

目標を掲げることで日々の行動が学びに変わり、小さな成長を実感できます。

メリット2:専門性が高まる

専門性は、ただ業務をこなすだけでは身につきません。目標を持たずに日々の業務を繰り返していると、何ができるようになったのかわからず、成長の実感も得られにくくなります。

一方、自分自身の課題や伸ばしたい力に合わせて目標を立てると、学ぶべき知識や技術が明確になり、仕事への取り組み方にも深みが生まれます。

また、目標を持って仕事に取り組めば自然と「なぜこのケアを行うのか」「この利用者にとってもっとも適切な関わり方は何か」といった視点が育つでしょう。そうした思考が積み重なると、場面に応じて自分の判断で対応できる力が養われ、周囲からも信頼される存在へと成長できます。

メリット3:人事評価で意欲をアピールできる

日々の業務に真摯に取り組んでいても、その姿勢が上司や評価者に伝わらなければ十分な評価を得られないことがあります。しかし目標を設定することで、意欲のアピールができます。

目標設定は自分がどのような課題に取り組み、どのように成長したいと考えているかを具体的に言語化する機会です。難しい課題に自ら取り組み、自分なりに工夫を重ねていることが伝われば、いずれ評価に反映されるでしょう。

また、自分がどの方向に成長したいのかを明確に伝えれば、新たなチャンスを得られることもあります。リーダーを目指していることを目標の中で示していれば、責任ある仕事を任せてもらえる機会は増えるでしょう。

仕事に対する真剣さや成長意欲を伝えることで、将来のキャリアにもつながります。

【3ステップ】評価される介護目標の立て方

ここでは、誰でも実践できる3つのステップで、具体的で評価される目標の立て方を解説します。紹介するステップに沿って、自分の考えを整理してみましょう。

ステップ1:現状のスキルや業務課題を洗い出す

目標を立てる前に、まずは現状を分析しましょう。自分の得意・不得意や、日々の業務の中で感じている小さな違和感を掘り下げてみてください。忙しい日常では見過ごされがちですが、やりがいを感じる瞬間の中にこそ、自分自身の課題や強みが隠れています。

例えば、利用者と話す時間が楽しいと感じるなら、それはあなたの大切な強みです。反対に、移乗介助で毎回戸惑っている場合、苦手意識の中に改善のヒントが隠れています。

項目具体的な内容の例
得意なこと・好きな業務・利用者とコミュニケーションを取ること
・レクリエーションの企画
苦手なこと・改善したい業務・移乗介助で時間がかかってしまう
・介護記録の作成が苦手
知識・スキルで不足していること・認知症の周辺症状への対応知識
・看取りケアに関する知識
職場で感じている課題・チーム内の情報共有が不足しがち
・業務の効率が悪いと感じる場面がある

あえて立ち止まり、自分の今の状態を整理することで目標を立てやすくなります。

ステップ2:理想の介護職員像と、そのための行動を考える

次に大切なのは、どのような介護職員でありたいかという理想です。自分自身がこうなりたいと思える姿を、ありのままに描いてみてください。

例えば、1年後、あなたが自信を持って仕事に取り組んでいる姿を想像しましょう。利用者から信頼される自分、後輩に頼りにされる自分が想像できれば、その理想の実現のために何を学び、どのような経験を積めば良いかが見えてきます。

今の自分と理想の自分の間にあるギャップこそが、あなたの成長のヒントです。その差を埋める行動を明確にすれば、目標を具体化できるでしょう。

ステップ3:SMART原則で具体的・達成可能な目標にする

評価される目標にするためには誰が見ても内容が明確で、達成できたかどうか判断しやすい状態にすることが大切です。

分かりやすい目標を立てるための指針となるのが、具体性・測定可能性・達成可能性・関連性・期限の5つの視点を持つSMART原則です。SMART原則を用いることで、目標を現実的かつ伝わる形に整えられます。

例えば、「記録を早く書けるようにする」のような漠然とした表現よりも、「介護記録の作成時間を平均20分から15分に短縮する」という目標のほうが進捗や成果をはっきりと示せます。

原則説明良い例悪い例
Specific (具体的)誰が読んでも同じように解釈できる、具体的な内容か?利用者Aさんの移乗介助を、1カ月以内に一人で安全に行えるようになる利用者の介助を頑張る
Measurable (測定可能)達成できたかどうかを客観的に測れるか?介護記録の作成時間を、現状の平均20分から15分に短縮する介護記録を速く書けるようにする
Achievable (達成可能)現実的に達成できる範囲の目標か?3カ月以内に、介護職員初任者研修を修了する来月までに未経験からリーダー業務を一人で担えるようになる
Relevant (関連性)あなたのキャリアやチームの目標と関連するか?チームの課題である転倒事故防止のため、ヒヤリハット報告を毎月3件以上提出する(特に関連なく)パソコンスキルを上げる
Time-bound (期限)「いつまでに」達成するのか、明確な期限があるか?次の評価面談(6カ月後)までに、担当利用者の個別ケア計画を3名分立案するいつかケアプランを作成できるようになる

思いだけで終わらせず、しっかりと伝わる目標に仕上げることが評価につながり、自信を持って業務に取り組む力にもつながります。

【経験年数別】介護の個人目標と例文集

経験年数によって求められる役割は変わるため、同じ目標でも意味合いが異なります。そこでここからは、経験年数ごとの目標例を紹介します。

自分の担当業務や職場の方針に合わせて語尾や期限、人数などを微調整して使うと、評価にもつながりやすくなるでしょう。

新人職員(1〜3年目)

新人職員に取っては、まず安全と基本動作の安定が最優先です。新人の目標で評価されやすいのは背伸びした理想ではなく、現場で必要な基本を期限内に確実に身につける姿勢です。

利用者理解や介助の基本手順、記録と報連相が揃うと、日々の仕事の迷いが減り、結果として成長が速くなります。目標を大きく見せるより、毎日の業務で実際に試せる内容にするほど達成率が上がります。

知識・技術の習得に関する目標例

知識・技術の習得に関しては、できるようになったかすぐに判断できる目標を置くのがコツです。期限や対象人数、できる状態の基準を入れると、振り返りもしやすくなります。

  • 3カ月以内に担当利用者5名の顔と名前、既往歴、禁忌事項、ケアプランの要点を把握し、申し送りで要点を説明できるようにする
  • 半年以内に移乗、排泄、入浴介助の基本手順を標準化し、先輩の見守り下で一人で安全に実施できる場面を増やす
  • 1カ月間、毎勤務後に記録を見直し、事実と評価の書き分けを意識して修正点を一つ減らす
  • 半年以内に緊急時対応マニュアルを理解し、転倒、誤嚥、急変時の初動対応をシミュレーションで説明できるようにする
  • 3カ月以内に体位変換とポジショニングを学び、褥瘡リスクのある利用者で皮膚トラブル予防の介助を実践できるようにする
  • 6カ月以内に食事介助での観察ポイントを整理し、むせ、食形態、姿勢、疲労の変化を記録に反映できるようにする
  • 3カ月以内に福祉用具の基本を覚え、スライディングボードや歩行器など担当フロアの主要用具を正しく選択し使用できるようにする
  • 半年以内に感染対策の基本手順を徹底し、手指衛生と個人防護具の着脱を迷いなく実施できるようにする

コミュニケーションに関する目標例

新人の場合、観察と報告ができるようになることが重要です。利用者との関係を作りつつ、チームに必要な情報を渡せるようになると信頼感が高まります。

話した内容を記録や申し送りに落とし込む意識があると、目標の説得力も増すでしょう。

  • 毎日3名以上の利用者に挨拶し、短時間でも表情や訴えを観察し、変化を一つ記録に残す
  • 申し送りで、担当利用者の変化を具体的事実として一つ以上共有する習慣をつける
  • わからない点は当日中に確認し、その内容を翌日同じミスをしない形でメモに残す
  • ご家族と関わる機会があれば生活歴や希望を聞き取り、ケアに反映できる情報を一つチームに共有する
  • 3カ月以内に声かけの順番と距離感を意識し、拒否が出やすい場面で落ち着いて説明してから介助に入る手順を身につける
  • 半年以内に傾聴の基本を意識し、利用者の訴えを遮らずに要点を整理して復唱できるようにする
  • 3カ月以内に看護職やリハ職へ相談する際の伝え方を整え、状況、変化、緊急度を短く説明できるようにする

ビジネススキルに関する目標例

介護の新人がつまずきやすいのは、時間配分と優先順位です。段取りを整え、報告ができる状態を目標にすると、今後の仕事にも役立つでしょう。

できたかどうかの判断がしやすいよう、回数や期限を入れると行動につなげやすくなります。

  • 毎勤務で優先順位を決め、業務開始時に今日の重点を一つ言語化してから動く習慣をつける
  • 清掃や備品補充など周辺業務も含め、遅れが出そうな時は早めに報告し支援を依頼できるようにする
  • 初任者研修で学んだ内容を月2回振り返り、現場でできている点と改善点を記録する
  • 3カ月以内に介護記録の入力ルールを理解し、抜け漏れを減らすことを目指す
  • 半年以内に申し送りの要点をまとめる力をつけ、結論から先に伝える話し方を身につける
  • 1カ月以内に「報告・連絡・相談」の型(結論→理由→現状→依頼)を覚え、勤務ごとに最低1回はこの順番で報告できるようにする
  • 2カ月以内に自分の業務の所要時間を記録し、週1回振り返って時間がかかる工程を1つ改善し、残業や業務遅れを月2回以内に抑えるようにする
  • 3カ月以内にメモ・情報整理を習慣化し、申し送り前に「重要事項3点(体調変化・安全面・次対応)」を整理してから伝えられるようにする

中堅職員(4〜9年目)

中堅になると、周囲を助け、チームの成果を上げる動きが期待されます。目標設定では、専門性の深掘りに加え、後輩育成や業務改善など、チームに良い影響を与える形にするのがおすすめです。

達成の基準は実施した回数や開催頻度など、客観的に示せる形にしておくと振り返りがしやすいでしょう。

専門性の向上に関する目標例

中堅職員は知識を学ぶだけでなく、現場で再現できる形に落とすことが重要です。学んだ内容をチームに共有したり、ケアの質に変化を出したりする目標は評価されやすい傾向があります。

  • 1年以内に介護福祉士や認知症関連資格の取得を目指し、月ごとの学習計画を立てて実行する
  • 半年に1回以上、興味分野の外部研修に参加し、学びを業務で実践した事例を一つ記録に残す
  • 3カ月に1回、新しい介護技術や福祉用具の学習会を企画し、現場での使用手順を共有する
  • 6カ月以内に移乗や体位変換の安全性を見直し、腰痛予防の観点から介助手順の改善提案を一つ実行する
  • 1年以内に看取りケアの基本を整理し、家族対応やエンゼルケアの流れをチームで共有できるようにする
  • 半年以内に記録の質を高めるため、評価と根拠がわかる記載例を作り、チーム内で共通認識を作る

後輩育成に関する目標例

後輩育成で重要なのは、経験則ではなく、手順と理由をセットで伝えることです。面談やOJTの実施回数を入れ、支援の痕跡が残る形にすると目標として強くなります。

  • プリセプターとして月1回の面談を行い、課題を整理して次の一歩を一緒に決める
  • 介護技術を言語化し、後輩が理解しやすいよう観察ポイントと安全上の注意点を伝える
  • OJT計画を作成し、3カ月で独り立ちできるよう段階目標と評価方法を整える
  • 半年以内に後輩の記録チェックを週1回行い、改善点を一つずつフィードバックし差し戻しを減らす
  • 3カ月以内に新人が不安になりやすい場面の対応手順をまとめ、相談しやすい仕組みを作る

業務改善・チーム貢献に関する目標例

業務改善については、テーマを絞ると達成しやすくなります。転倒予防や記録効率、申し送りの質など現場の課題を一つ選び、提案から実行までを目標に入れると評価につながります。

  • ヒヤリハットを分析し、3カ月以内に転倒リスクを減らす具体策を一つ提案し、現場で試行する
  • 多職種カンファレンスで担当利用者の生活課題を整理し、QOL向上につながる提案を月1回以上行う
  • 半年以内に申し送りの情報整理方法を見直し、重要情報が埋もれない共有ルールを作る
  • 3カ月以内に夜勤帯の業務導線を見直し、無駄な移動や探し物を減らす工夫を一つ導入する
  • 2カ月以内に記録業務を棚卸しし、「重複記録」「記載ルールのばらつき」を各1つ見つけて改善案を作成、試行→所要時間を週10分以上削減する
  • 3カ月以内に事故・トラブルの再発防止を目的として、原因分析(いつ・どこで・誰が・なぜ)を月2件行い、再発防止策を1つ標準手順に反映してチームで共有する
  • 半年以内に新入職員が迷いやすい業務を整理し、A4一枚の現場ガイドを作成・更新運用して定着させる

ベテラン職員(10年以上)

ベテラン職員の場合、組織の質を上げる目標が中心となります。経験のある人ほど、判断やコツが言語化されず属人化しやすいため、共有資産に変える目標は価値が高いでしょう。

また、チームの雰囲気や離職防止に関わる動きも、ベテランならではの貢献として評価されやすくなります。

知識継承に関する目標例

知識継承はマニュアル化だけでなく、実践で再現できる形に落とすことがポイントです。事例検討や勉強会を通して、判断の根拠を共有できると現場全体の事故予防やケアの質に直結します。

  • 経験から得た介護技術や対人援助の要点を整理し、手順書として施設内で共有する
  • 事例検討会を月1回主催し、参加者が学びを持ち帰れるよう議論を設計しファシリテートする
  • 地域研修会で講師を務め、現場の実践知を外部に還元しつつ自施設の学びにもつなげる
  • 半年以内に看取りケアの事例を振り返り、家族対応や多職種連携のポイントを共有資料にまとめる
  • 1年以内に新人がつまずきやすい介助場面を抽出し、動画や写真を用いた教育資料を整備する

チーム・組織マネジメントに関する目標例

ベテランのマネジメント目標は、メンバーの成長支援と業務の仕組み化が中心です。面談や改善活動など、実施回数や成果物が残る形にすると評価の根拠も示しやすくなります。

  • チームリーダーとして定期面談を行い、個々の課題を整理し目標達成を支援して士気を高める
  • 利用者満足度の結果を分析し、次年度のサービス品質向上計画を立案し実行する
  • 業務フローを見直し、ICT導入やルール整備を提案して生産性向上に貢献する
  • 半年以内にインシデント傾向を分析し、再発防止策の徹底状況を点検して改善を回す
  • 1年以内に夜勤配置や休憩取得の課題を可視化し、無理のない勤務体制づくりに向けた提案を行う

【職種・場面別】介護の個人目標と例文集

同じ介護職でも、働く場所や提供するサービスによって重視される力は変わります。例えば施設では多職種連携と集団生活の調整が重要となる一方、訪問では生活の場に入る責任と段取り力が問われます。

ここでは、それぞれの場面で評価されやすい目標の型と、行動に落とし込みやすい例文をセットで紹介します。自分の職場に合うものを選び、頻度や対象人数、期限を調整してみてください。

施設介護(特養・老健など)の目標例

施設介護の目標は、利用者理解とチーム連携が鍵です。個別性と集団生活の両方を見つつ、事故予防や生活の充実にどう寄与するかが見える目標を作りましょう。

提案だけで終わらず、実施まで入れると説得力が上がります。

  • 多職種カンファレンスで連携し、個別機能訓練計画について月1回以上具体的提案を行う
  • 生活歴や趣味を活かしたレクリエーションを企画し、3カ月以内に実施して振り返りまで行う
  • 孤独を感じがちな利用者を把握し、個別に関わる時間を週2時間以上確保し変化を記録する
  • 半年以内に転倒リスクの高い利用者の環境調整を見直し、事故予防の具体策を一つ定着させる
  • 1カ月以内に担当フロアの高リスク利用者(転倒・誤嚥・皮膚トラブル等)を3名把握し、観察ポイントと対応を統一した申し送り文で共有して、申し送り漏れを減らす
  • 3カ月以内に食事場面の支援を見直し、姿勢調整・食形態・一口量・声かけのうち1項目で改善策を提案→実施し、むせ・食事中断の回数などで効果を振り返る
  • 毎週1回、排泄パターン(時間帯・誘因・失敗要因)を記録して、トイレ誘導のタイミング調整を1名で試行し、失禁回数や皮膚状態の変化をチームで共有する
  • 2カ月以内にナイトケアの安全対策を点検し、巡視・コール対応・環境の改善を1つ実施して、ヒヤリハット件数の推移を確認する
  • 半年以内に新人・実習生も含めた介助の質を揃えるため、移乗・更衣・入浴のうち1技術を手順書化し、ミニ勉強会を月1回実施して、事故予防と自立支援の観点で評価する

訪問介護(ホームヘルパー)の目標例

訪問介護では限られた時間の中で生活を支えるため、観察力と段取り力が重要です。利用者の状態を的確に捉え、サービス提供責任者やケアマネジャーへつなぐことを重視した目標は、支援全体の質を底上げします。

  • 状態変化を週1回以上報告し、ケアプラン見直しにつながる情報提供を行う
  • 3カ月以内に調理介助のレパートリーを5つ増やし、利用者の嗜好や栄養に配慮した提案を行う
  • 訪問ルートと時間配分を見直し、移動時間を月1時間削減しケア時間に充てる
  • 半年以内に服薬管理や水分摂取の観察ポイントを整理し、記録の質を上げる
  • 1カ月以内に、主要利用者ごとに「転倒・誤嚥・脱水・皮膚トラブル」のリスクサインを各3つ整理し、記録用メモとして持てる状態にする
  • 週1回、生活環境の観察を行い、危険箇所を1つ見つけたら具体的な改善案を提案する
  • 3カ月以内に、利用者の自立支援につながる声かけを5パターン作り、実践後の反応を記録して振り返る
  • 2カ月以内に、清掃・洗濯・買物・調理・排泄介助などの作業を手順化し、訪問終了5分前に見直しして抜け漏れを月0件に近づける

介護実習生の目標例

実習生の場合、安全に学ぶことが最優先です。指導者の動きを真似するだけでなく、なぜその手順なのかを理解し、自分の言葉で説明できるようになると学びが深まります。

実習期間の中で達成可能な範囲に絞り、観察と記録を丁寧に積み上げることが大切です。

  • 担当利用者の個別性を理解し、関わり方を工夫しながらコミュニケーションを実践する
  • 介助方法を見学し、根拠を理解したうえで自立支援につながる声かけのポイントを3つ学ぶ
  • 最終日までに、食事介助など一つの介助技術を安全に実践できる状態を目指す
  • 実習期間中に事故予防の観点から危険場面を3つ挙げ、どう回避するかを説明できるようにする
  • バイタルサインの観察を見学し、最終日までに「体温・脈拍・血圧」のうち1項目を指導者の見守り下で正確に測定し、記録と報告ができる
  • 排泄介助の流れを理解し、プライバシー配慮の声かけを3パターン用意して実践できるようにする
  • 移乗・移動介助を見学し、福祉用具の安全確認ポイントを5つ挙げ、危険がある場合に中止して報告できるようにする
  • 認知症のある利用者への関わりを観察し、落ち着かない場面での対応を2例まとめて、自分の言葉で説明できるようにする
  • 実習中に記録の仕方を学び、担当利用者について「できていること・支援が必要なこと」を各2つ整理して、指導者に口頭で報告できるようにする

介護目標を達成するための6つのポイント

目標は、立てた瞬間がゴールではなくスタートです。介護の現場は突発的な対応が多く、目標がつい頭から抜けてしまいがちです。忙しい日々の中でも前に進むための仕組みを先に作れるよう、ここからは目標を行動に変える6つのポイントを解説します。

1.自分で考えた目標を立てる

目標が自分の困りごとと結びつかない場合、達成は難しくなります。上司に指示された目標ではやる理由が弱くなり、忙しくなるほど優先順位が下がるでしょう。

まずは最近の業務を思い出し、引っかかっている場面を一つだけ選びます。時間がかかった介助や迷った声かけ、ヒヤリとした動作など何でも構いません。

その場面で何が難しかったのかを言葉にし、改善方法を目標にすることで日々の業務そのものが練習へとつながります。自分が納得できる理由があるかを重視して、目標を立てましょう。

2.達成可能な目標を設定する

次に、掲げた目標が現実的に達成できるかを確認します。高すぎる目標は途中で折れやすく、低すぎる目標は達成しても成長が見えにくい傾向にあります。今のままでは難しいけれど、やり方を変えれば届く目標が理想です。目標は、段階的にステップアップしていくことが重要です。

例えば、「3カ月後までに、毎日の学習時間1時間を定着させる」という目標を掲げた場合、最初の1カ月で15分の定着を目標にします。さらに、2カ月後までに30分の定着を目指すというようなステップアップを目指すと、無理なく目標を達成できます。

3.自身の目指すキャリアに合う目標を選ぶ

次に、目標の方向性が自分の将来像とつながっているかを確かめます。介護職の役割は経験を重ねるほど広がり、求められる力も変わります。

例えば後輩指導を担いたいなら介助技術の向上だけでなく、申し送りの質や伝え方、連携の取り方を改善する目標も選択肢の一つです。専門性を深めたいなら認知症ケアや看取りなどテーマを決め、学んだことを現場でどう使うかまで含めると、評価面でも納得されやすい目標になります。

方向性がまだ曖昧な場合、まず苦手を減らして仕事の負担を軽くする目標でも十分です。負担が減れば、その分だけ次の挑戦に回す余力が生まれます。

4.定期的な振り返りを行う

目標達成のため、振り返るタイミングを決めておきましょう。月に一度など、最初から振り返り日を決めることが大切です。振り返りは反省会ではなく、軌道修正のための点検です。できたことを先に確認し、次に詰まった理由を一つだけ特定します。

次回までに変えるポイントを一つに絞ることで、翌日から試せる具体的な行動につながるでしょう。小さく改善していく流れができると、行動は継続しやすくなります。

5.上司や同僚からアドバイスをもらう

振り返りで見つかった課題は、周囲の力を借りて解決します。相談のコツは、状況を短く整理してから話すことです。目標は何か、今どこまでできているか、どこで止まっているかを伝えるだけで、相手は具体的に助言しやすくなります。

そして、次に会ったときに途中経過を一言報告してみてください。すると見てもらえている感覚が生まれ、次の改善点も見えやすくなるでしょう。

6.学習や情報収集を継続的に行う

目標達成の土台になるのが、学びの継続です。ただし、学ぶこと自体を目的にすると続きにくいため、学びを現場の行動につなげる形にしましょう。

研修や書籍で得た知識を一度でも実行に活かせれば、自分の技術として身につきます。学んだことを翌日の業務で一つだけ試す、と決めておくと、効果が高まるでしょう。

さらに、試した結果を短くメモし、次の振り返りで確認します。学習から実行、振り返りのサイクルを回すことで学びが積み上がり、成果につながります。

斉藤 圭一氏
斉藤 圭一氏

介護現場における「個人目標の設定」は単なる評価用の書類作成ではなく、職員自身の成長と利用者への質の高いケアにつながる重要な実践ツールです。本記事は、目標がもたらす成長メリット、評価される立て方、経験年数や職種別の具体例を丁寧に示しています。目標をSMARTの原則に沿って設定することで、成果の振り返りがしやすくなり、継続的な改善につながる点は評価できます。特に新人からベテランまで段階的に例示されているため、職位や経験に応じた目標設計が現場で実践しやすい構成になっています。
一方、職場で真に効果を発揮させるには、職員単独ではなく組織の支援体制との連動が欠かせません。目標設定を評価制度だけで終わらせず、日常の申し送りやサービス担当者会議等で共有し、多職種の視点からフィードバックを行うことが重要です。また、目標達成の過程で生じる課題を、介護支援ソフトやICTツールといったシステム支援と組み合わせることで記録や振り返りの効率を高める工夫も推奨されます。

まとめ:自分らしい目標でやりがいのある介護キャリアを築こう

介護職における個人目標は、日々の仕事を前に進めるための道しるべです。自分の課題に沿った目標を選び、無理のない達成ラインに調整して、将来のキャリアとつなげることで現場の行動に活かせます。

また振り返りを習慣化し、詰まったところは周囲の助言を借りながら軌道修正していくことで、目標を立てっぱなしにせずに継続できます。今回紹介したポイントを意識して、目標を現実の成果へつなげていきましょう。

監修:斉藤 圭一

主任介護支援専門員、MBA(経営学修士)

神奈川県藤沢市出身。1988年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業後、第一生命保険相互会社(現・第一生命保険株式会社)に入社。その後、1999年に在宅介護業界大手の株式会社やさしい手へ転職。2007年には立教大学大学院(MBA)を卒業。 以降、高齢者や障がい者向けのさまざまなサービスの立ち上げや運営に携わる。具体的には、訪問介護・居宅介護支援・通所介護・訪問入浴などの在宅サービスや、有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅といった居住系サービス、さらには障がい者向けの生活介護・居宅介護・入所施設の運営を手がける。 また、本社事業部長、有料老人ホーム支配人、介護事業本部長、障害サービス事業部長、経営企画部長など、経営やマネジメントの要職を歴任。現在は、株式会社スターフィッシュを起業し、介護・福祉分野の専門家として活動する傍ら、雑誌や書籍の執筆、講演会なども多数行っている。

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