【医療業界動向コラム】第187回 リフィル処方・長期処方に関するKPIを確認する

2026.05.18

令和8年4月20日、第13回デジタル行財政改革会議が開催され、デジタル行財政改革の進捗状況について報告・確認されている。今回の会議では、医療DXの今後、そしてリフィル処方・長期処方に関するKPI、そしてKPI に基づく進捗状況を可視化したダッシュボードについて報告された。

デジタル行財政改革では、「公共サービス等の強靭化」と「現役世代の活躍を支える働く環境整備」を重点分野と設定している。医療分野は「公共サービス等の強靭化」に含まれている(図1)。 医療分野に着目してみると、電子処方箋・リフィル処方箋の普及促進のためにデジタル庁の政策ダッシュボードを活用することとなっている。

図1 デジタル行財政改革の2つの重点分野について
   内閣府 第13回デジタル行財政改革会議より(クリックして拡大表示)

リフィル処方・長期処方に関するKPIを確認する

昨年12月15日に開催されている第5回政策改善対話(内閣官房)で、リフィル処方箋をテーマに議論されているが、その場で今後のリフィル処方・長期処方に関するKPIの案が示され、デジタル庁の政策ダッシュボードで公開を開始していることが報告された。(図2)

図2 リフィル処方・長期処方について
内閣府 第10回デジタル行財政改革会議(クリックして拡大表示)

実際のリフィル処方に関する政策ダッシュボードを確認すると、認知状況と利用状況について可視化されている。なお、ダッシュボードのデータは令和6年度診療報酬改定の結果検証の資料を用いている。今後も定期的に更新していくとのことだ(図3、図4)。

図3 患者のリフィル処方の認知状況
デジタル庁 政策ダッシュボード(クリックして拡大表示) 

図4 リフィル処方箋の利用状況 
デジタル庁 政策ダッシュボード(クリックして拡大表示)

令和8年度診療報酬改定におけるリフィル処方・長期処方に対する評価を確認する

前回の診療報酬改定では、生活習慣病管理料と地域包括診療料/地域包括診療加算においてリフィル処方・長期処方への対応が可能であることを院内掲示することが要件として追加された。今回は、特定疾患療養管理料、皮膚科特定疾患指導管理料、婦人科特定疾患治療管理料、耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料、二次性骨折予防継続管理料及び小児科外来診療料にまでその対象が拡大されることとなった。リフィル処方・長期処方に関する認知度が高まっていくことで、患者側からの相談が増えてくることへの備えとして、今後の慢性疾患診療においては、リフィル処方・長期処方に関する相談を受けることを前提とした対応の備えが必要になる。なお、「対応可能」ということは、相談があれば必ずリフィル処方・長期処方をしなければならない、というわけではない。患者の検査データや服薬状況などを踏まえ、場合によってはリフィル処方・長期処方をしない、という選択を患者に伝えることもある。相談に応じること、という意味だ。

リフィル処方・長期処方を利用していくことで、患者の受診頻度が下がり、重症化の懸念もある。そこで重要になってくるのが、薬局との連携だ。調剤報酬では、服薬情報等提供料といった服薬フォローアップに関する評価がある。また、令和8年度からはかかりつけ薬剤師フォローアップ加算(図5)が新設されたり、地域支援・医薬品供給対応体制加算において、薬局内にパルスオキシメーターや骨密度測定機など3種類以上のセルフィメディケーション機器を設置することが求められることとなった。リフィル処方・長期処方の対象となる患者に関しては、患者のかかりつけ薬局との連携を通じたフォローアップを通じて情報のフィードバックを薬剤師から受け取り、必要に応じた受診勧奨を促すこともできる。リフィル処方・長期処方を安心して活用していくには、薬局との連携が重要となることがわかる。

図5 かかりつけ医薬剤師の新たな評価(クリックして拡大表示)

かかりつけ医機能報告や新たな地域医療構想では医療機関・介護事業者との連携に焦点が当たっているが、薬局という医療資源もあることを改めて認識し、重症化対策でも重要な医薬品の適正使用を担ってもらうことで、再発再入院などの予防に努める連携が必要になるだろう。

 

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

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