【医療業界動向コラム】第175回 身体的拘束最小化と栄養管理に関する評価の見直しを確認する
2026.02.17
令和8年度診療報酬改定の個別改定項目より、今回は、身体的拘束最小化と栄養管理に関する評価の見直しについて確認する。
身体的拘束の除外項目が明確に。病院全体としての身体的拘束最小化に向けた「姿勢」を。
身体的拘束については、患者本人やその周囲への影響を考慮して、やむなく実施せざるをえないこともある。その結果、診療報酬が減算されてしまう。現場の状況を考えると、悩ましい。令和8年度診療報酬改定では、そうした実態を意識してか、主に以下のような見直しが行われる。
【身体的拘束最小化に関する見直しのポイント】
・身体的拘束最小化の体制に係る基準(身体的拘束の最小化につき相当の実績を有していること又は身体的拘束の最小化について適切な取組を行っていること)を設け、対応の実績があることで、減額幅が緩和される(20点の減算)
・身体的拘束最小化のために病院全体として取組を行っていることなどを要件に、身体的拘束最小化推進体制加算:40点(1日につき)を新設。
【対象】
療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料及び特殊疾患病棟入院料
また今回の見直しの中で注目したいのは、身体的拘束からの除外項目が明確にされていること。衣服につけて、行動を制限しない見守りセンサーなどは身体的拘束にはあたらないとされている(図1)。看護師をはじめとするスタッフの負担軽減、医療ICT機器等の積極的な導入につながるといえるだろう。

地域包括ケア病棟、療養病棟等では「身体的構想最小化推進体制整備加算」も新設され、減額に対する緩和策となりそうだ。身体的拘束最小化について言えることは、病院全体で意思疎通し、記録をしっかり残していくことが重要になる。
なお、認知症ケア加算については先述しているように組織で統一した取組を促し、身体的拘束の最小化を目指した適切なケアや支援が推進されるよう評価そのものを引き上げる。あわせて、身体的拘束を実施した場合の減算についても100分の40~100分の20に見直す。
栄養管理に関する評価の見直しと入院前から退院後までの流れを確認する
近年の診療報酬改定では、栄養領域に関する見直しも多くなっている。さらに、今回改定では栄養剤に関しては、保険給付の見直しも行われることとなり、栄養管理への早期介入がより重要になる。
【栄養剤の保険給付の見直し】
薬効分類が「たん白アミノ酸製剤」に分類される医薬品のうち、効能又は効果が「一般に、手術後患者の栄養保持」であり、用法及び用量に「経口投与」が含まれる栄養保持を目的とした医薬品を処方する場合については、以下の患者に対する使用に限り、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで保険給付の対象とする。
・手術後の患者
・経管により栄養補給を行っている患者
・疾病の治療のために必要であり、他の食事では代替できないなど、医師が特に医療上、栄養保持を目的とした医薬品の使用の必要があると判断した患者
また、療養病棟における経腸栄養管理加算及び摂食嚥下機能回復体制加算3についても見直しが行われることとなり、積極的に経腸栄養・経口摂取への移行に取組む医療機関において評価されやすくなったといえる(図2)。
栄養管理については、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を実績に応じた2区分にすることと地域包括ケア病棟でも算定ができることとなる。さらに、地域包括ケア病棟においてリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を算定対象となる患者について入院栄養食事指導料・栄養情報連携料を出来高算定できることとなる。令和8年度診療報酬改定における栄養ケアに関する評価・連携の流れを図3で整理した。あくまでも、短冊の内容を参考したものであって、告示の情報によっては修正が必要になることもある点に注意をしていただきたい。

山口 聡 氏
HCナレッジ合同会社 代表社員
1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work


