【医療業界動向コラム】第169 高齢者救急・早期退院を踏まえた多職種連携の新たな評価を検討へ

2025.12.23

 

  令和7年12月12日、第635回中央社会保険医療協議会 総会が開催され、急性期一般入院料に関する評価、栄養剤に関する評価についての議論が展開されている。

急性期一般入院料2-6において、多職種配置で7:1とする新たな評価の検討へ

 急性期一般入院料に関する一般的な急性期と拠点的な急性期に関する新たな評価について議論された。

 まず、一般的な急性期病院に該当する急性期一般入院料2-6に関する新たな視点として、理学療法士や検査技師、薬剤師などを病棟に配置することで10:1から7:1とみなして高齢患者への対応を強化する新たな加算の評価を新設することが検討されることとなった(図1)。

図1 多職種配置・病院機能の評価のイメージ(クリックして拡大表示)

 急性期から包括期、慢性期に移行するに従って、看護師の負担が大きくなっていく。今回の新たな厚生労働省からの提案は、高齢患者のADLの維持・向上に向けた支援の強化だけではなく、看護師の負担軽減の意味合いもあるといえる。

救急搬送受入件数等の実績で急性期一般入院料1の評価の見直しへ

 急性期一般入院料1について、2つの考えが示された。1つ目は、救急搬送の受入件数及び全身麻酔の手術件数の実績要件を満たす、または人口の少ない二次医療圏等では救急搬送件数の最も多い医療機関を拠点的機能として新たな加算などの評価を設定すること(急性期一般入院料1は実績によって拠点的機能と一般的な急性期機能に分けられる?)。2つ目は、急性期充実体制加算と総合入院体制加算を一本化した評価を設ける、というものだ。

 急性期一般入院料1については、救急搬送の受入件数などは病院の規模や周辺環境が影響して、ばらつきがあることがわかっている。また、人口が少なく、医療資源が限られた地域などでは受入件数は少ないものの、地域における受入シェアが高い病院もある。そこで、急性期一般入院料1については、病棟単位ではなく、病院としての救急搬送の受入件数・全身麻酔の手術件数の実績値(救急搬送の受入件数2,000件以上が基準?)及び人口の少ない二次医療圏や離島からなる二次医療圏では救急搬送受入実績のシェア率が最も高い急性期一般入院料1の病院を拠点的機能のある病院とする新たな加算などの評価を設けることとなりそうだ。

 急性期一般入院料1及び急性期一般入院料2-6と医療機関機能報告における急性期拠点機能とと高齢者救急・地域急性期機能の整合性を考えると、今回の議論からは以下のように整理できるだろう。

図2 急性期一般入院料の役割分担について(HCナレッジ合同会社作成)(クリックして拡大表示)

 急性期一般入院料2-6については、将来的には地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟といった包括期入院との一本化なども今後視野に入ってくることだろう。

栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の見直しへ

 現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減が診療報酬改定の議論においてもスローガンのようになり、後発医薬品のある長期収載品の選定療養の見直しやバイオ後続品の使用促進に関する議論が継続されている。今回の栄養剤に関する議論もその延長線上にある。

 今回の議論では、栄養保持を目的とする医薬品と同程度の栄養を有する食品が市販されており、通常の食事による栄養補給が可能な患者における追加的な栄養補給についてはこうした食品で代替可能である現況にあることから、栄養保持を目的とする医薬品の薬剤給付の適正化について議論されることとなった。

 栄養保持を目的とした医薬品では「 手術後患者の栄養保持」「 経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給」が効果効能と明記されている(図3)。そこで、医師が栄養保持を目的とした医薬品を使用することが特に必要と認めて使用する場合を保険給付の対象として、通常の食事による栄養補給が可能な患者における追加的な栄養補給などでは保険給付の対象外にするといった厳格な対応を検討していくこととなりそうだ。

図3 食品に関連した医薬品の効能または効果について(クリックして拡大表示)

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