【医療業界動向コラム】第161回 機能強化加算とかかりつけ医機能報告制度の整合性、データ提出を求める可能性も
2025.10.28
令和7年10月17日、第621回中央社会保険医療協議会 総会が開催され、外来医療・バイオ後続品を含む後発医薬品の使用促進・ポリファーマシー対策に関する診療報酬改定に関する議論が行われている。今回は、かかりつけ医機能を発揮して、慢性疾患患者の適正処方と重症化対策をいかに継続して続けることができるか、といった目的の議論になっていると考えられる。新たな地域医療構想では、外来・在宅も対象となり、現行の地域医療構想や新型コロナ感染拡大の影響で病床が減少し、患者の療養する場所が患者の居住地となっているケースが増えてきていることに対応するものでもあるといえる。本稿では機能強化加算と生活習慣病管理料の見直しに関する議論に焦点を当てて確認する。
機能強化加算の見直しを通じてかかりつけ医機能の評価を
外来医療におけるかかりつけ医機能報告との整合性についてだが、機能強化加算のあり方が焦点になっている。機能強化加算とは、地域包括診療加算や在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所・病院であること)といった外来や在宅でのかかりつけ医機能を有する一般病床200床未満の病院・診療所が届出できる(在宅医療の実績も必要)もので、初診で80点の加算となる。機能強化加算はかかりつけ医機能報告で求められる機能と類似する点が多く(図1)、さらに「処方薬の把握」「健診に関する相談」「予防接種」「学校医」等に関する機能を有している割合が届出のない医療機関に比べて高いのが特徴だ。

さらに、主治医意見書の作成にも積極的に取り組んでいることから介護との連携にも積極的であることもわかっているがその一方で、臨床研修医の受入や専門研修の地域プログラム等に所属する専攻医の受け入れ状況は高くはない。かかりつけ医機能報告においては、研修医等の受入も役割として求めている。また、一次診療の対応が可能な診療領域・疾患についてもかかりつけ医機能報告では求めているが(図2)、現行の機能強化加算では施設基準には含まれていない。

そこで厚生労働省からは、外来データ提出加算をイメージした診療実績データ提出を求めたいとしている(図3)。

かかりつけ医機能報告の2号機能では時間外対応等の実績を求めることになっているが、1号機能で求められる一次診療対応についても実績を提出することを要件として機能強化加算として評価したい考えだ。そうなれば、導入には時間もかかるため、次回改定までの経過措置や、電子カルテ情報共有サービス等の医療DXの環境整備状況にあわせた経過措置などが設定されることになる事も考えられる。
その他、BCPへの対応も議論されている。人工透析に関する議論や災害医療に関する議論でも診療所におけるBCPは論点に上がっていることから、かかりつけ医機能を有する医療機関においても求められることとなりそうだ。
生活習慣病管理料、継続診療に対する評価と管理料Ⅰの包括範囲の適正化がテーマに
前回改定で大きく見直された生活習慣病管理料については、包括範囲の見直しが話題になっている。例えば、管理料Ⅱでは生活習慣病と直接的に関係のない項目などが複数あることが指摘され改めて見直すこととなりそうだ。
ただその一方で管理料Ⅰは検査が包括されているが、受診頻度と検査の実施回数に課題があることが示唆されている。管理料Ⅰにおいては定期的な検査を行うことなどが新たに追加される可能性や、重症度や併存疾患に応じて管理料の要件を設定することなども考えられるのではないだろうか(図4)。

生活習慣病管理料の見直しで焦点となりつつあるのが継続算定・継続受診に対する評価だろう(図5)。令和6年度診療報酬改定結果に関する外来患者及び一般の方を対象とした調査において、「定期的な受診を続ける上で、医療機関の体制や機能として必要と思うこと」を聞いたところ、「予約診療を行っていること」が最も多く、次いで「28日以上の長期処方に対応していること」、「複数の職種の医療スタッフとの連携によって治療管理が行われていること」、「休日に診療ができる体制が整備されていること」等が多かったことがわかっている。予約診療に関する施設基準を新たに設けて評価を拡充することなどは可能性がありそうだが、その一方で長期処方・リフィル処方についても現行では院内掲示のみとなっているが、実績を評価することや薬局と連携した服薬フォローなどを新たに施設基準に加えていることも可能性としては考えておきたい。

その他、生活習慣病管理料に関しては歯科・眼科との連携のさらなる促進や診療ガイドラインに沿った診療の推進など、標準診療や連携を通じた重症化対策に対する施設基準の見直しが可能性としてありそうだ。

