訪問看護ソフトの重要性|必要な機能や選び方などを解説
2025.07.20

訪問看護ステーションの運営において、以下のような悩みはつきものです。
- 日々の記録や報告書の作成に時間がかかり、残業が増えている
- スタッフ間の情報共有がうまくいかず、ケアの質にばらつきが出ている
- レセプト(診療報酬明細書)の請求業務が複雑で、ミスや請求漏れが心配だ
- 紙やExcelでの管理に限界を感じているが、どのITツールを選べば良いかわからない
上記のような課題は、多くの訪問看護ステーションが直面するものです。
これらの課題を解決し、スタッフが本来の看護ケアに集中できる環境を整えるためには、訪問看護ソフトの導入が極めて有効な手段となります。
本記事では、訪問看護ソフトの基本的な機能から、訪問看護ステーションの状況に合わせた最適なソフトを選ぶための具体的なポイントまでを解説します。
訪問看護ソフトを選ぶ際の参考にしてください。
目次
訪問看護ソフトとは

訪問看護ソフトとは、訪問看護ステーションの多岐にわたる業務を、ITの力で効率化・一元化するための専門システムです。
日々の記録作成・スタッフのスケジュール管理・保険請求業務まで、ステーション運営に必要なあらゆる業務をサポートします。
ソフトを導入することは、単に紙の書類をデジタルに置き換えるだけではありません。
業務プロセスそのものを見直し、スタッフの負担を軽減させ、より質の高い看護サービスを利用者様へ提供するための重要な経営基盤となります。
訪問看護ソフトの2つの形態

訪問看護ソフトは、システムの提供形態によって以下の2種類に分けられます。
- クラウド型
- オンプレミス型
それぞれの特徴を理解し、訪問看護ステーションの運用方針やIT環境に合った方を選ぶことが重要です。
クラウド型
クラウド型は、インターネットを通じてベンダーのサーバーにアクセスすることで提供されるサービスです。
ソフトウェアをインストールする必要がなく、インターネット環境さえあれば、パソコン・タブレット・スマートフォンなどさまざまな端末からいつでもどこでもシステムにアクセスできます。
クラウド型は導入しやすく、コストも低いので初めて介護ソフトを利用する訪問看護ステーションにも適しています。
オンプレミス型
オンプレミス型は、事業所内にサーバーを設置し、そこにソフトウェアをインストールして利用する形態です。
インターネット環境に左右されずに安定して利用できる反面、初期投資が高くなりやすいうえに、導入には専門知識が必要になります。
一方でカスタマイズ性が高く、機能の追加やインターフェースの変更がしやすいため、訪問看護ステーションの業態に合わせた運用ができます。
また、セキュリティ性が高く、インターネットに接続しなくても利用できる設定にもできるので、システム障害や不正アクセスに備えやすい点も特徴です。
訪問看護ソフトの主な機能一覧

訪問看護ソフトには、ステーション運営を円滑にするためのさまざまな機能が搭載されています。
本章では主な機能とその役割を紹介します。
機能 | 詳細 |
利用者情報管理 | 氏名や住所などの基本情報から、病歴、保険情報、アセスメント、看護計画書まで、利用者に関するあらゆる情報を一元管理します。 |
訪問看護記録 | バイタルサインや実施した処置などを記録します。テンプレート機能や過去記録の参照機能を使えば、記録作成の時間を大幅に短縮できます。写真の添付や音声入力に対応したソフトもあります。 |
スケジュール管理 | スタッフごとの訪問スケジュール作成や変更を簡単に行えます。訪問ルートの最適化や、急な予定変更をリアルタイムで全員に共有することも可能です。 |
請求業務(レセプト作成) | 介護保険と医療保険の両方に対応した請求データを作成します。複雑な算定ルールもシステムが自動でチェックしてくれるため、請求ミスや漏れを防ぎます。 |
情報共有 | スタッフ間の申し送り事項や利用者に関する注意事項などを、チャット機能や掲示板機能でリアルタイムに共有できます。これにより、ケアの質を均一に保ち、緊急時にも迅速な対応が可能になります。 |
統計・分析 | 利用者数や訪問件数などの実績データを自動で集計・分析し、経営状況を可視化します。これにより、データに基づいた的確な経営判断が可能になります。 |
訪問看護ソフトを導入する6つのメリット

訪問看護ソフトを導入することで、日々の業務が楽になるだけでなく、経営面でも大きなメリットが期待できます。
本章では、代表的なメリットとして以下の6つを解説します。
- 業務の効率化ができる
- 手書きによるミスを防止できる
- スタッフに情報共有がしやすい
- 記録を簡単に確認できる
- 経営状況を可視化できる
- 法改正に対応しやすい
メリットを知れば、訪問看護ソフトを導入する意義を理解しやすくなるので参考にしてください。
業務の効率化ができる
やはり訪問看護ソフトの最大のメリットは、業務を効率化できることです。
これまで手作業で行っていた看護の記録・スケジュール調整・レセプト作成といった事務作業を大幅に自動化・効率化できます。
効率化を実現すれば、スタッフは書類仕事に追われる時間が減り、利用者と向き合う本来の看護ケアに、より多くの時間を割けるようになります。
手書きによるミスを防止できる
手書きの記録では、読み間違いや転記ミスが発生しがちです。
訪問看護ソフトを導入すれば、誰が入力しても同じフォーマットで情報が記録されるため、ヒューマンエラーを大幅に削減できます。
また、訪問看護ソフトで各種書類を電子化すれば、紙媒体の書類を保管する手間がかかりません。
スタッフに情報共有がしやすい
訪問看護ソフトはスタッフへの情報共有を円滑にします。
パソコンやタブレットなどのデバイスを組み合わせることにより、利用者の容態変化や注意事項などを、リアルタイムで全スタッフに共有できます。
スムーズな情報共有を実現すれば、担当者が休みの日でも、ほかのスタッフが正確な情報を基に質の高いケアを提供できるようになります。
記録を簡単に確認できる
入力した記録を簡単に確認できる点も、訪問看護ソフトの魅力です。
過去の訪問記録や看護計画書などを、必要な時にいつでも簡単にチェックできます。
利用者の状態変化を経時的に把握しやすくなり、より適切なケアプランの立案につながります。
また、記録を手書きで行う必要がないため、入力作業に時間がかかりません。
訪問看護ソフトでの記録を徹底すれば、スタッフは事務作業に時間を取られることなく、利用者に集中できます。
経営状況を可視化できる
訪問看護ソフトを活用すれば、訪問件数・売上・各種加算の取得状況などのデータ化が可能です。
データ化は自動でできるうえに、グラフなどでわかりやすく表示されます。
訪問看護ステーションの経営状態を正確に把握できるため、課題の早期発見や的確な改善策の立案に役立ちます。
経営者にとって、訪問看護ソフトは経営を改善するうえでも有効なツールです。
法改正に対応しやすい
訪問看護ソフトなら、スムーズな法改正への対応が可能です。
介護保険や医療保険の制度は頻繁に改正されます。
法改正に対応していなければ、行政から指摘を受けたり、罰則の対象になったりするリスクが高まります。
従来の紙媒体の書類は、法改正のたびに書式の改訂などを行ってきました。
しかし、訪問看護ソフトであれば、法改正に合わせてシステムが自動でアップデートされるため、常に最新のルールに準拠した運営が可能です。
訪問看護ソフトの選び方

数多くの訪問看護ソフトの中から、自事業所に最適な一つを選ぶのは簡単なことではありません。
「導入したけれど、使いにくくて結局使わなくなってしまった」という失敗を避けるため、以下の6つのポイントを必ず確認しましょう。
- 事業所の規模と業務内容に合っているか確認する
- 費用対効果に注目する
- スタッフでも扱いやすい操作性のものを選ぶ
- サポート体制にも注目する
- セキュリティ対策に注意する
- 将来性や拡張性が高いものにする
より良い訪問看護ソフトを選ぶうえで、いずれも無視できないポイントです。
事業所の規模と業務内容に合っているか確認する
まずは、訪問看護ステーションの現状を正確に把握することが重要です。
スタッフ数・利用者数・1日の訪問件数を把握したうえで、訪問看護ソフトを選びましょう。
新規開業したばかりの小規模な訪問看護ステーションと、スタッフ数十名を抱える大規模な訪問看護ステーションでは、必要な機能や適切な料金プランが異なります。
将来的な事業拡大の計画も考慮しながら、機能に過不足がないかを見極めましょう。
費用対効果に注目する
訪問看護ソフトを導入するうえで、費用対効果は無視できない要素です。
導入にかかる費用は、初期費用と月額費用だけではありません。
長期的な視点で総所有コスト(TCO)を考えることが大切です。
なお、訪問看護ソフトの料金体系は大きく分けて以下の3つがあります。
料金体系 | 特徴 | メリット | デメリット |
月額定額制 | 毎月決まった額を支払う | 予算が立てやすい | 利用が少なくても費用は同じ |
従量課金制 | 利用者数や訪問件数に応じて費用が変動 | 開業初期など利用が少ない時期はコストを抑えられる | 事業が拡大すると費用が高額になる可能性がある |
一括契約 | 数年単位で使用権を一括で購入する | 数年分の基本料金に加え、導入費用や保守費用などをワンパックで支払うので、追加料金が発生しない | あらかじめまとまった予算を確保する必要がある |
どちらの料金体系が有利か、将来の事業計画と照らし合わせて慎重に検討しましょう。
スタッフでも扱いやすい操作性のものを選ぶ
訪問看護ソフトの操作性は、運用に大きな影響をおよぼします。
どれだけ高機能なソフトでも、現場のスタッフが使いこなせなければ意味がありません。
「IT機器の操作が苦手なスタッフでも直感的に使えるか」「日々の記録入力に手間がかからないか」といった現場目線のチェックが不可欠です。
昨今は、多くの訪問看護ソフトで無料体験やデモンストレーションが提供されています。
必ず複数のスタッフで実際に操作性を試し、全員が納得できるものを選びましょう。
サポート体制にも注目する
導入時の初期設定や操作方法のトレーニング、トラブル発生時の対応など、ベンダーのサポート体制は非常に重要です。
特に以下のポイントに注目しましょう。
- サポート窓口(電話・メール・チャットなど)の種類と対応時間
- 導入時の訪問指導やオンライン説明会の有無
- 利用者からの評判や口コミ
上記の点を確認し、困った時に安心して相談できるベンダーを選びましょう。
セキュリティ対策に注意する
訪問看護ソフトは、利用者の氏名や病歴といった極めて重要な個人情報を取り扱います。
万が一の情報漏洩は、ステーションの信用を根底から揺るがす重大な事態につながります。
介護ソフトを選ぶ際は、以下のセキュリティ対策の有無をチェックしましょう。
- データの暗号化
- アクセス制限機能
- バックアップ体制
- 個人情報保護法や医療情報ガイドラインへの準拠
上記のセキュリティ対策が万全であるか、必ず確認してください。
ISO27001などの第三者認証を取得しているかどうかも、信頼性を判断するうえでの指標になります。
将来性や拡張性が高いものにする
将来性や拡張性の高さも、より良い訪問看護ソフトを選ぶうえで不可欠な要素です。
ステーションの運営を取り巻く環境は、法改正や診療報酬改定などにより常に変化します。
これらの変化に迅速かつ的確に対応できる、将来性のあるソフトを選ぶことが重要です。
- 定期的なシステムアップデートが行われているか
- 他の医療・介護システムとの連携は可能か
- 将来的に機能を追加できる拡張性はあるか
長期的な視点を持ち、訪問看護ステーションの成長に合わせて柔軟に対応できるソフトを選びましょう。
訪問看護ステーション管理システムSPがおすすめ

医療・介護分野での豊富な実績があり、地域連携を重視した運営を重視するのであれば、ワイズマンが提供する「訪問看護ステーション管理システムSP」が有力な選択肢です。
長年のノウハウに基づいた信頼性の高いシステムで、多くのステーション運営を支えています。
訪問看護ステーションの業態に合わせた機能を搭載
ワイズマンが提供する訪問看護ステーション管理システムSPは訪問看護業務に必要な機能を網羅的に搭載しています。
利用者情報の管理・訪問スケジュール作成・実績管理・請求業務などの一元管理が可能です。
これにより、スタッフの業務負担を大幅に軽減し、より多くの時間を利用者へのケアにあてられます。
また、訪問看護ステーション管理システムSPはタブレット端末との連携機能を備えている点が特徴です。
訪問先で記録したバイタルデータや看護記録をリアルタイムでシステムに反映できるため、情報共有のスピードアップと記録の正確性を両立できます。
さらに、法改正や制度変更にも迅速な対応が可能です。
常に最新の状態でシステムを利用できるため、安心して業務に取り組めます。
多くの実績を誇るだけあり、ワイズマンは訪問看護ステーションの業態を熟知しており、現場のニーズも把握しています。
そのため、スタッフの要望に応じた適切なソリューションを提供できます。
多職種連携や現場志向にも対応
ワイズマンの大きな強みは、国策としても推進される「地域包括ケアシステム」の構築を強力に支援する点にあります。
「MeLL+(メルタス)」といった情報共有ツールを通じて、地域の病院・介護施設・薬局など、さまざまな職種が利用者の情報を円滑に共有できる環境の構築が可能です。
また、ワイズマンのシステムは現場の多様なニーズに応える柔軟なカスタマイズ性も魅力です。
事業所独自の帳票をシステムに組み込んだり、特定の業務フローに合わせて機能を最適化したりすることが可能で、現場の業務効率を最大限に高めます。
サポート体制が充実
システムを安心して使い続けるためには、ベンダーのサポート体制が欠かせません。
ワイズマンは、顧客からのフィードバックを真摯に受け止め、システムの使いやすさの改善や、サポートスタッフの増員・トレーニング強化に継続的に取り組んでいます。
上記の取り組みもあって、ワイズマンは多くの顧客から高い評価を得ています。

訪問看護ステーションの運営において、訪問看護ソフトの導入は現代の必須要件であり、業務の効率化・一元化を支援する専門システムです。これは単なるデジタル化に留まらず、業務プロセスそのものを見直し、看護師が本来のケアに集中できる環境を創出します。主なメリットは、記録作成や請求業務の大幅な効率化、手書きによるミスの削減、リアルタイムな情報共有の促進、記録の簡単な確認です。これにより、スタッフの負担を軽減し、より質の高い看護サービスを安定して提供できるだけでなく、経営状況の可視化や頻繁な法改正への迅速な対応も可能となります。貴ステーションの規模や業務内容に合致したソフトを選定し、充実したサポート体制や高いセキュリティ性、将来性、そして操作性に着目することが失敗を避け、成功へと導く鍵です。
訪問看護ソフトを導入して業務の効率化を実現しよう

訪問看護ソフトは、日々の業務負担を軽減し、経営を安定させるための強力なツールです。
しかし、その効果を最大限に引き出すためには、訪問看護ステーションの課題や規模に合った最適なソフトを選ぶことが不可欠です。
特に訪問看護ステーション管理システムSPは、訪問看護ステーションの運営効率化、質の高い看護サービスの提供、スタッフの働きがいの向上に貢献する強力なツールです。
ぜひ導入をご検討ください。
なお、最適な訪問看護ソフトを導入することは、ゴールではありません。
訪問看護ソフトの導入は、スタッフが書類仕事から解放され、利用者と向き合う時間を増やし、より質の高い看護ケアを提供するための手段です。
訪問看護ソフトの導入を通じて、より良いサービスの提供を実現しましょう。

監修:梅沢 佳裕
人材開発アドバイザー
介護福祉士養成校の助教員を経て、特養、在宅介護支援センター相談員を歴任。その後、デイサービスやグループホーム等の立ち上げに関わり、自らもケアマネジャー、施設長となる。2008年に介護コンサルティング事業を立ち上げ、介護職・生活相談員・ケアマネジャーなど実務者への人材育成に携わる。その後、日本福祉大学助教、健康科学大学 准教授を経て、ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表として多数の研修講師を務める。社会福祉士、介護支援専門員、アンガーマネジメント・ファシリテーターほか。