【医療業界動向コラム】第182回 外来医療に関する見直しのポイント〜外来データ提出加算の今後と充実管理加算〜
2026.04.06
2028年度までに新規透析導入患者数を年間3.5万人以下にする、という目標が設定されている。その期日が迫る中で、生活習慣病患者の重症化対策を強化するべく生活習慣病管理料が令和6年度診療報酬改定で見直されたところだが、令和8年度診療報酬改定でもさらに推進するべく見直しが行われる。
なお、2024年度時点で年間の新規透析導入患者数は3.6万人となっており、あと一歩となっている。このあと一歩を令和8年度診療報酬改定で埋めていくことが必要になる。その一歩を埋めるための施策の一つが充実管理加算だといえる。
慢性疾患患者の継続診療の割合に着目
充実管理加算とは、生活習慣病管理料におけるこれまでの外来データ提出加算を名称変更したもの(図1)。なお、外来データ提出加算自体は機能強化加算や地域包括診療加算での算定ができるが、これまでの50点から10点へと評価は引き下げられている。充実管理加算3が10点となっていることから、外来データ提出加算と充実管理加算3がイコールという位置づけになる。提出するデータの簡素化(図2)などが図られ、負担の軽減が図られていることと、今後は提出するデータの中身、すなわち診療の質で評価を変えていくメッセージだと考えられる。


充実管理加算1及び2では、提出するデータの質が評価を左右することになる。対象疾患である脂質異常症、糖尿病、高血圧症、それぞれにおいて重要なポイントとなるのが継続診療の割合であり、各診療ガイドラインを遵守した検査の実施などだ。今回の診療報酬改定に至る中医協の議論の中で、継続診療割合に着目した議論は繰りかえし行われてきていた。
ところで、毎年5月と12月に公表されている国の主要政策の目標と進捗状況がわかる「経済財政諮問会議 経済・財政新⽣計画 進捗管理・点検・評価表 2025」を見ると、2032年度までに糖尿病の治療継続者の割合を75%以上という目標があるが、2024年度時点では67.4%であるとともに、前回集計時点(2019年)より▲0.2%悪化していることが分かっている。いかに診療のドロップアウトを防ぐかが重要になってくる。そう考えると、今後は時間外対応や予約診療、オンライン診療など患者都合で受診できない理由を医療機関側で減らしていく取り組みも必要になってくるだろう。
かかりつけ医機能報告との関連性を考える
充実管理加算は生活習慣病管理料についてのみだが、外来データ提出加算では機能強化加算や地域包括診療料/加算でも算定ができる。今年から報告がはじまったかかりつけ医機能報告制度では、対応できる一次診療領域の報告が求められている。すなわち、次回の診療報酬改定以降は報告する一次診療領域の実績の有無など、ひょっとしたら外来データ提出加算で報告される実績を基に決定される可能性もありうるということだ。なお、かかりつけ医機能報告の見直しは2030年度の予定だ。
特に機能強化加算では、外来データ提出加算の届出を「望ましい」としている。「望ましい」とは、いずれ必須となるか、対応できていなければ減算対象となる可能性があると考えておきたい。先を見据え、この2年間で対応方針を明確にしておきたい。
山口 聡 氏
HCナレッジ合同会社 代表社員
1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

