訪問介護のケアプラン作成|自立支援につながる書き方や文例を解説

2025.11.27

ケアマネジャーやサービス提供責任者にとって、ケアプランの作成は非常に重要な業務です。
しかし、自身のケアプランの間違いはないか、利用者にとって本当に質の高いサービスになっているかと不安になることもあるのではないでしょうか。

ケアマネジャーは利用者を支援するためにも、より良いケアプランを実現する必要があります。

本記事では、訪問介護サービスに特化したケアプラン作成のポイントを解説します。
すぐに現場で使える具体的な文例はもちろん、自立支援につながる目標設定の考え方なども解説するので、ぜひ参考にしてください。

ケアプランと訪問介護計画書の違い

まず、基本としてケアプラン(居宅サービス計画書)と訪問介護計画書の関係性を整理しましょう。
これらは連携して使われるものですが、作成者や目的、内容の具体性が異なります。

ケアプランと訪問介護計画書の違いはそれぞれ以下のとおりです。

項目ケアプラン(居宅サービス計画書)訪問介護計画書
作成者ケアマネジャー(居宅介護支援専門員)サービス提供責任者
目的利用者の総合的な課題解決に向けた、介護保険サービス全体の利用計画を立てるケアプランに基づき、訪問介護サービスを具体的にどのように提供するかを計画する
内容・利用者のニーズや長期目標と短期目標
・利用するサービスの種類(訪問や通所、福祉用具など)
・サービスの頻度や時間
・ケアプランの目標達成に向けた具体的な援助目標
・ヘルパーが行うサービス内容と手順
・サービス提供時の留意事項
位置づけすべての介護サービスの「設計図」訪問介護サービスの「作業指示書」

ケアマネジャーとサービス提供責任者がそれぞれの役割を理解し、情報を共有することが、質の高いサービス提供につながります。

訪問介護のサービス内容

訪問介護のサービスは、「身体介護」と「生活援助」の2つに分けられます。
それぞれのサービス内容は以下のとおりです。

サービス区分具体的なサービス内容
身体介護利用者の身体に直接触れて行う介助サービスです。
【例】
・食事介助
・入浴介助や清拭
・排泄介助(トイレ誘導やおむつ交換)
・更衣介助や整容
・体位変換
・起床や就寝介助
・服薬介助
・通院などのための乗車や降車の介助
生活援助身体介護以外の、日常生活を送るうえで必要な家事などを援助するサービスです。
【例】
・調理
・掃除や整理整頓
・洗濯
・生活必需品の買い物代行
・薬の受け取り(地域ルールにより対象外となる場合がある / 事前に保険者へ確認が必要)

上記のサービスを適切に組み合わせ、利用者の自立を支援する計画を作成しましょう。

訪問介護で提供できないサービス(NG行為)一覧

ケアプランを作成するうえで、介護保険の訪問介護では提供できないサービス(NG行為)を正確に理解しておくことは、コンプライアンス遵守の観点から非常に重要です。
訪問介護で提供できないサービスは以下のとおりです。

  • 利用者本人以外へのサービス
  • 日常生活の援助の範囲を超える行為
  • 医療行為や金銭管理など専門性が求められる行為

利用者や家族から要望があっても、上記の行為は原則として提供できません。

利用者本人以外へのサービス

訪問介護は、あくまで「利用者本人」の日常生活を支援するためのサービスです。
そのため、同居する家族のためのサービスや、本人以外に関わる行為は保険給付の対象外となります。

例えば、以下の行為が該当します。

  • 同居家族の分の食事の準備・洗濯・掃除
  • 主に家族が使用する共有スペースの掃除
  • 来客への応対やお茶出し
  • ペットの世話(散歩・餌やりなど)
  • 留守番

訪問介護は介護行為を主体としたサービスです。
たとえ利用者本人やその家族に求められたとしても、容認しないようにしましょう。

日常生活の援助の範囲を超える行為

生活援助は、利用者が日常生活を送るうえで最低限必要となる家事を援助するものです。
普段行わないような特別な作業や、趣味嗜好に関わる行為は対象外です。

例えば、以下の行為が該当します。

  • 利用者の居室以外の部屋の大掃除
  • 庭の草むしりや植木の手入れ
  • 窓拭きやワックスがけ
  • 家具や電気器具の移動・修理
  • 正月や節句などの特別な手間をかける調理

上記のサービスを希望される場合は、介護保険外の自費サービスなどを検討・提案する必要があります。

医療行為や金銭管理など専門性が求められる行為

訪問介護員(ヘルパー)は医療資格者ではないため、医療行為は原則不可。ただし所定研修修了等により実施可能な限定的行為もあります。
また、利用者の金銭を直接管理することもトラブル防止の観点から禁止されています。

  • インスリン注射、血糖測定
  • 褥瘡(床ずれ)の処置
  • 摘便
  • 預貯金の引き出しや預け入れや各種支払いの代行
  • 年金や保険の管理・手続き

上記の行為が必要な場合は、訪問看護ステーションや成年後見制度、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業など、適切な専門機関との連携が不可欠です。

訪問介護ケアプランの書き方

良いケアプランは、単に文例をまねるだけでは作れません。
以下では、その基本原則を3つのステップで解説します。

  • アセスメントで利用者の「できること」を引き出す
  • 自立支援の目標設定
  • 具体的な言葉で書く

利用者の状況に合わせた、自立支援につながる計画を作成するための考え方が重要です。

アセスメントで利用者の「できること」を引き出す

プラン作成の第一歩は、利用者の「できること」を引き出す質の高いアセスメントです。

利用者の「できないこと」や「困っていること」だけに目を向けるのは、良いアセスメントではありません。
利用者に残された能力や意欲、つまり「できること(ストレングス)」に着目する必要があります。

「何ができませんか?」ではなく、「これをする時、どこまでならご自分でできますか?」といった質問を通じて、利用者の強みを引き出しましょう。
「できること」に注目する視点が、サービスの押し付けではない、利用者主体のケアプランにつながります。

自立支援の目標設定

訪問介護の目的は、身の回りのお世話をすることではありません。
サービスを利用しながらも、利用者ができる限り自立した生活を送れるように支援することです。

そのため、利用者の自立支援を実現する目標設定は非常に重要なプロセスです。

目標を設定する際は、以下のような記載を心がけましょう。

NGな目標設定OKな目標設定(自立支援の視点)
ヘルパーに調理をしてもらうヘルパーと一緒に調理を行い、自分でできる工程を増やす
入浴介助を受ける安全な方法を身につけ、一部介助で見守りのもと入浴できるようになる
買い物を代行してもらう買い物リストの作成や金銭準備は自分で行い、重い物だけをヘルパーに依頼する

目標は受動的なものではなく、「自分で〇〇できるようになる」「〇〇を安全に行える状態を維持する」といった、利用者が主体となる能動的な言葉で設定しましょう。
適切に設定された目標は、利用者の意欲を引き出し、QOL(生活の質)の向上につながります。

具体的な言葉で書く

ケアプランや訪問介護計画書は、利用者・家族・複数のサービス担当者が見る公的な文書です。
誰が読んでも内容が正確に伝わるように、曖昧な表現を避け、具体的な言葉で記述することが求められます。

例えば、以下のような表現を心がけましょう。

曖昧な表現具体的な表現
清掃居室とトイレの掃除機かけ・トイレの便器清掃
調理本人の嗜好に合わせた食事・軟飯・刻み食での昼食(主食・主菜・副菜・汁物)の調理
更衣の支援上着の着脱介助・ボタンやファスナーの操作を手伝う

具体的な記述は、サービス内容の認識のズレを防ぎ、ヘルパーによるサービスの質を均一化する効果があります。
また、監査の際にも、サービスの必要性を明確に説明する根拠となります。

【身体介護】ケアプラン(第2表)文例集

本章では、ケアプランの第2表に記載する身体介護サービスの具体的な文例を、生活全般の解決すべき課題(ニーズ)・長期目標・短期目標・サービス内容に分けて紹介します。
本章で紹介する項目は以下のとおりです。

  • 食事介助
  • 入浴介助や清拭
  • 排泄介助(トイレ誘導やおむつ交換)
  • 更衣介助や整容
  • 通院等乗降介助


各文例のポイント解説も参考に、利用者の状況に合わせて応用してください。

食事介助

項目文例
ニーズ嚥下機能が低下しており、食事中にむせることが多く、誤嚥が心配。自力での食事が困難なため、安全に栄養を摂取したい。
長期目標安全な食事摂取の方法を確立し、低栄養状態になることなく、食べる楽しみを維持できる。
短期目標3カ月以内に、食事中のむせ込みがなくなり、毎食8割以上を安定して摂取できるようになる。
サービス内容訪問介護(身体介護):食事介助
・食事前の口腔体操、義歯装着の確認
・覚醒状態や体調を確認し、安楽な食事姿勢を確保する
・一口量や食べるペースに注意し、全量摂取を促す(見守り、声かけ)・食後の口腔ケアと義歯洗浄を行う

食事介助は、単に食べさせるだけでなく、食事前後の準備やケアも含めて一連の流れとして計画しましょう。
誤嚥予防のための具体的な工夫(口腔体操・姿勢確保など)を盛り込むことで、専門性の高いサービス内容となります。

入浴介助や清拭

項目文例
ニーズ浴槽をまたぐ動作に不安があり、一人での入浴が危険。身体の清潔を保ち、さっぱりしたい。
長期目標転倒などの事故なく、安全安楽に身体の清潔を保持できる。
短期目標3カ月以内に、ヘルパーの見守りと一部介助のもと、シャワー浴にて自分で洗える部分を増やす。
サービス内容訪問介護(身体介護):入浴介助
・入浴前後のバイタル測定、体調確認
・浴室の環境整備(滑り止めマット、手すりの確認)
・洗髪、洗身の一部介助(背中、足先など届きにくい部分)
・残存機能を活かし、自分でできる部分は見守る
・入浴後の更衣介助、皮膚状態の観察

目標を「全介助で入浴する」ではなく、「自分で洗える部分を増やす」と設定することで、自立支援の視点が明確になります。
安全確保のための具体的な取り組み(バイタル測定・環境整備)も重要です。

排泄介助(トイレ誘導やおむつ交換)

項目文例
ニーズ日中はトイレでの排泄の意思があるが、下衣の着脱や後始末が一人では難しい。夜間は失禁があり、おむつを使用している。
長期目標尊厳が保たれ、日中は可能な限りトイレでの排泄が継続できる。
短期目標3カ月以内に、日中のトイレ誘導で失禁なく過ごせるようになり、皮膚トラブルなく過ごせる。
サービス内容訪問介護(身体介護):排泄介助
・トイレへの誘導、移乗の見守り
・ズボン、下着の着脱介助
・陰部、臀部の清拭と後始末の介助
・(就寝前)おむつ交換、皮膚状態の観察と保湿剤の塗布

利用者の「トイレで排泄したい」意思を尊重し、日中と夜間でサービス内容を分けて計画しています。
皮膚トラブルの予防など、排泄介助に伴う二次的な課題にも目を向けることが大切です。

更衣介助や整容

項目文例
ニーズ肩関節の拘縮があり、一人で上着の着替えができない。身なりを整えることで、日中を気持ちよく過ごしたい。
長期目標季節や気温に合った清潔な衣類を着用し、整容を通じて意欲的に一日を過ごせる。
短期目標3カ月以内に、麻痺や拘縮に配慮した更衣方法を習得し、ヘルパーの最小限の介助で着替えができるようになる。
サービス内容訪問介護(身体介護):更衣介助
・整容
・本人の意向を聞きながら、その日の衣服の選択を支援する
・脱健着患の原則に基づき、上着の着脱を介助する
・洗顔、整髪、ひげそり(電気シェーバー)の介助・見守り

「本人の意向を聞きながら」のような一文を入れることで、自己決定を尊重する姿勢を示せます。
整容を計画に含めることで、単なる身辺自立だけでなく、QOLや社会性の維持といった、より高次の目標を目指せます。

通院等乗降介助

項目文例
ニーズ月2回の定期受診が必要だが、歩行が不安定で一人での外出・通院は困難。安全に通院を継続したい。
長期目標必要な医療を中断することなく、定期的な受診が安全に継続できる。
短期目標3カ月以内に、福祉車両の乗降と院内移動が、ヘルパーの付き添いのもと安全に行える。
サービス内容訪問介護(身体介護):通院等乗降介助
・出発前の体調確認、トイレ誘導、忘れ物(診察券、保険証など)の確認
・自宅玄関から福祉車両までの移動介助
・福祉車両への乗車
・降車の介助
・車両から病院受付までの移動介助
・(※算定要件に注意)受診手続きの支援

通院介助は、車両への乗降介助だけでなく、その前後の準備や移動も一連のサービスとして計画するのが適切です。

院内介助の算定には条件があるため、ケアプランに位置づける際は保険者のルールを必ず確認しましょう。

【生活援助】ケアプラン(第2表)文例集

本章では、生活援助のケアプラン第2表の文例を解説します。
解説するサービスは以下のとおりです。

  • 調理
  • 掃除や整理整頓
  • 洗濯
  • 買い物代行
  • 薬の受け取り

生活支援はサービスの必要性や範囲について、より明確な根拠が求められます。
自立支援の視点や「一緒に行う」姿勢を盛り込むことがポイントです。

調理

項目文例
ニーズ認知機能の低下により、火の始末や味付けに不安があるため調理ができない。バランスの取れた温かい食事を摂りたい。
長期目標適切な栄養摂取により、現在の健康状態を維持できる。
短期目標3カ月以内に、ヘルパーの声かけのもと、調理の一部工程(野菜を洗う・米を研ぐなど)に参加できるようになる。
サービス内容訪問介護(生活援助):調理
・本人の安否確認と体調観察
・本人の嗜好や嚥下能力に合わせた昼食の調理(主食・主菜・副菜・汁物)
・調理可能な部分は本人と一緒に行い、役割を促す
・配膳や後片付け(使用した調理器具・食器の洗浄)

生活援助であっても、安否確認のような重要な役割があることを明記しましょう。

「一緒に行う」といった視点を入れることで、単なる家事代行ではなく、自立支援・機能維持を目的としたサービスであることを明確にできます。

掃除や整理整頓

項目文例
ニーズ膝の痛みでかがむ動作が辛く、掃除機をかけることができない。衛生的な環境で、転倒の不安なく安全に生活したい。
長期目標衛生的な住環境が維持され、転倒リスクなく自宅での生活を継続できる。
短期目標3カ月以内に、床に物を置かない習慣が身につき、動線が確保された状態で過ごせる。
サービス内容訪問介護(生活援助):掃除
・利用者本人が日常的に使用する居室とトイレの清掃を行う
・掃除機かけ、拭き掃除(床やポータブルトイレ)
・転倒予防のため、本人の同意を得ながら動線上の整理整頓を行う
・ゴミの分別とゴミ出し

掃除の目的を「衛生環境の維持」だけでなく、「転倒予防」といった具体的なリスクと結びつけることで、サービスの必要性がより明確になります。

掃除の範囲を「利用者が日常的に使用する場所」と限定することも重要です。

洗濯

項目文例
ニーズ腕が上がりにくく、洗濯物を干したり取り込んだりする動作が困難。清潔な衣類を身につけて過ごしたい。
長期目標清潔な衣類を着用し、快適な日常生活を送ることができる。
短期目標3カ月以内に、洗濯物をたたんでタンスにしまう役割を、自分で行えるようになる。
サービス内容訪問介護(生活援助):洗濯
・本人の衣類やタオル、寝具などの洗濯(洗濯機使用)
・洗濯物を干す、取り込む
・本人のADL(日常生活動作)に合わせ、座ってできる洗濯たたみは共に行う
・所定の場所への収納

洗濯の一連の作業(洗う→干す→取り込む→たたむ→しまう)の過程で、利用者が担える部分を見つけ出し、役割として計画に位置づけることが自立支援につながります。

買い物代行

項目文例
ニーズ長時間歩くことが困難で、一人でスーパーまで買い物に行けない。日々の食事に必要な食材を確保したい。
長期目標必要な食料品や日用品が不足することなく、安定した在宅生活を送れる。
短期目標3カ月以内に、ヘルパーと相談しながら、1週間分の献立と買い物リストを自分で作成できるようになる。
サービス内容訪問介護(生活援助):買い物
・訪問時に、本人と一緒に買い物リストと予算を確認する
・近隣のスーパーにて、リストにある食料品や日用品の購入を代行する
・帰宅後、購入品とレシート、釣銭を本人に確認してもらう
・購入品の整理や収納

買い物代行は金銭に関わるサービスのため、トラブル防止の視点が不可欠です。

「リストの確認」「レシートと釣銭の確認」といった手順をサービス内容に明記することで、透明性を確保します。

薬の受け取り

項目文例
ニーズ定期的な服薬が必要だが、体調がすぐれず、一人で薬局まで薬を受け取りに行くことが困難な時がある。
長期目標医師の指示にしたがって服薬が継続でき、病状の安定を図れる。
短期目標3カ月以内に、処方内容の変更なく、服薬を継続できる。
サービス内容訪問介護(生活援助):薬の受け取り
・(かかりつけ医の受診後)本人の代わりに、指定された薬局へ処方箋を提出し、薬を受け取る
・帰宅後、薬剤情報提供書とともに薬を本人に手渡し、内容を確認してもらう
・(注意)服薬のセットや管理は行わない

あくまで「受け取り」の代行であり、服薬介助(身体介護)や服薬管理とは正確に区別して計画しましょう。

サービス内容に注意書きとして「服薬管理は行わない」と記載することで、サービスの範囲を明確にできます。

より良いケアプランの作成ポイント

より良いケアプランを作成するなら、以下のポイントを意識しましょう。

  • サービス内容を具体的な手順に分解する
  • 利用者・家族の意向を反映して同意を得る
  • モニタリングと評価でPDCAサイクルを回す
  • 介護ソフトを活用する

上記の連携をスムーズに行うことが、質の高いサービス提供の鍵です。

サービス内容を具体的な手順に分解する

ケアプランの第2表に書かれた「サービス内容」は、ヘルパーが現場で迷わず動けるレベルまで具体的な「手順」に分解して訪問介護計画書に落とし込む必要があります。

例えば、食事のサポートをする際は以下のように記載しましょう。

ケアプランのサービス内容本人の嗜好や嚥下能力に合わせた昼食の調理
訪問介護計画書のサービス手順1.訪問時、本人の体調と気分を確認し、その日の献立を最終決定する。
2.手洗いやうがいを徹底し、調理器具を準備する。
3.食材の洗浄やカットを行う(肉は一口大・野菜は1cm角)。
4.主食(軟飯)・主菜(魚の煮付け)・副菜(野菜の煮物)・汁物(味噌汁)を調理する。
5.配膳し、食事介助を行う前に、本人の覚醒状態と嚥下機能を確認する。

上記のように手順を具体化することで、担当ヘルパーが変わっても、常に一定の質のサービスを提供できるようになります。

利用者・家族の意向を反映して同意を得る

訪問介護計画書は、サービス提供責任者が作成した後、必ず利用者と家族に内容を説明し、同意を得る必要があります。
これは単なる形式的な手続きではありません。

  • 「このような手順で、〇〇さんの自立を支援していきたいのですが、いかがでしょうか?」
  • 「この部分について、何かご希望はありますか?」

上記のように、具体的な計画を元に対話することで、利用者や家族の真のニーズを引き出し、計画に反映させられます。
計画書への署名・捺印は、契約ではなく、サービス提供の合意・根拠資料として重要です。

モニタリングと評価でPDCAサイクルを回す

ケアプランの作成において、モニタリングの実施とPDCAサイクルを回すことによる改善は非常に重要なプロセスです。

計画書は一度作ったら終わりではありません。

サービス提供が開始されたら、定期的にモニタリング(状況把握)を行いましょう。
モニタリングでは、「計画に沿ってサービスが提供されているか」「短期目標は達成できそうか」「新たな課題は出ていないか」などを評価します。

サービス提供責任者は、モニタリングの結果をケアマネジャーに報告し、ケアマネジャーはケアプランの見直しが必要かどうかを判断します。

一連のPDCAサイクルを回し続けることが、ケアの質を継続的に向上させるために不可欠です。

介護ソフトを活用する

ケアプランを作成するだけでなく、ケアマネジャーの業務を効率化するためにも、介護ソフトは有用です。

ケアプランや訪問介護計画書の作成に加え、日々の記録や情報共有は、手作業では膨大な時間と手間がかかります。
介護ソフトを導入することで、大幅な効率化が可能です。

介護ソフトには、以下のようなメリットが期待できます。

  • アセスメント情報がケアプランや訪問介護計画書に自動で連携され、転記の手間が省ける
  • 過去の文例や定型文を呼び出して、効率的に文書作成ができる
  • 頻繁な介護保険制度の改正にも、ソフトが自動で対応してくれる
  • ケアマネジャーとサービス提供責任者間の情報共有がスムーズになる
  • 記録や請求業務にかかる時間を短縮し、利用者と向き合う時間を増やせる
梅沢 佳裕 氏
梅沢 佳裕 氏

本稿にもあるように、訪問介護におけるケアプラン作成は、利用者の生活全体を見渡しながら、心身の状態や環境、希望を的確に把握し、日常生活の自立を支える支援計画を立てる重要なプロセスです。ケアマネジャーは、アセスメントを通じて課題を整理し、訪問介護員・看護職など多職種との連携を図りながら、具体的な援助内容を明文化します。特に、生活援助・身体介護の区分、服薬介助や通院支援など、実施範囲の判断は制度上の線引きが複雑であり、保険者(市区町村)の運用差を十分に踏まえた計画策定が求められます。同意取得時には、計画書が契約そのものではなく、サービス提供の合意を記録する根拠資料であることを理解しておくことが大切です。さらに、実施後のモニタリングや記録を通じて支援の妥当性を検証し、必要に応じて柔軟に修正する姿勢が、利用者の生活の質を支える専門職としての責務といえるでしょう。

訪問介護利用者の自立支援につながるケアプランを作成しよう

訪問介護のケアプランは、利用者の目線に立ったアセスメントや、自立支援を促す具体的な目標設定などが不可欠です。
加えて、提供できるサービス・できないサービスを見定めたうえで作成する必要があります。

本記事で記載したことを参考に、より良いケアプランを作成してください。

監修:梅沢 佳裕

人材開発アドバイザー

介護福祉士養成校の助教員を経て、特養、在宅介護支援センター相談員を歴任。その後、デイサービスやグループホーム等の立ち上げに関わり、自らもケアマネジャー、施設長となる。2008年に介護コンサルティング事業を立ち上げ、介護職・生活相談員・ケアマネジャーなど実務者への人材育成に携わる。その後、日本福祉大学助教、健康科学大学 准教授を経て、ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表として多数の研修講師を務める。社会福祉士、介護支援専門員、アンガーマネジメント・ファシリテーターほか。

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