訪問看護ステーションコードとは?医療機関コード・事業所番号との違い解説

2025.07.20

訪問看護のレセプトを作成するうえで、コードの入力はスタッフを悩ませがちな作業です。
「これは医療機関コードのこと?それとも事業所番号?」「間違えたら請求が通らないかもしれない」と、不安に感じている方もいるかと思います。

実際に、コードを混同してしまうと、レセプトの差し戻し(返戻)につながり、再請求の手間や入金の遅れといった実務的な問題を引き起こしかねません。

本記事では、訪問看護ステーションで利用されるコードについて解説します。
最後まで読めば、コードに関する知識が整理され、訪問看護ステーションの円滑な運営に貢献できるはずです。

訪問看護ステーションコードとは

いわゆる「訪問看護ステーションコード」と呼ばれる名前の単一のコードは、実は存在しません。
一般的にこの言葉が使われるとき、それは利用者が使っている保険の種類によって、以下の2つの異なるコードのいずれかを指している場合がほとんどです。

保険の種類使用するコード
医療保険医療機関コード
介護保険事業所番号

訪問看護は医療保険制度と介護保険制度といった、2つの異なる制度に基づいて提供されるサービスであるため、コードも2種類存在します。
いずれかの保険が適用されるかによって、使用するコードも変わるため、事務処理をする際は注意しましょう。

医療保険における医療機関コードは、訪問看護ステーションが医療機関として登録されている場合に割り当てられるコードです。
医療機関コードは診療報酬の請求や医療に関する統計データに使用されます。

一方、介護保険における事業所番号は、訪問看護ステーションが介護保険サービスを提供する事業者として指定されている場合に割り当てられるコードです。
事業所番号は介護報酬の請求や介護サービスに関する報告に使用されます。

訪問看護ステーションを運営するにあたって、正確なコードの理解と適切な使用は非常に重要です。
なぜなら、保険請求・行政への報告・利用者への情報提供など、さまざまな場面でこれらのコードが使用されるためです。

訪問看護ステーションの職員は、これらのコードを混同しないように注意する必要があります。
特に、新規採用された職員や経験の浅い職員に対しては、コードの意味と使用方法について、十分な研修を行うことが重要です。

また、コードの変更や更新があった場合には、速やかに情報を共有し、誤ったコードの使用を防ぐための対策を講じる必要があります。

訪問看護ステーションのコードとセキュリティ対策の関係性

訪問看護ステーションは、コードを適切に管理し、セキュリティ対策を徹底する必要があります。
コードの漏洩や不正使用は、保険請求の不正や個人情報の漏洩といった重大な問題につながる可能性があります。

したがって、コードの保管場所を厳重に管理し、アクセス権限を適切に設定するなど、セキュリティ対策を徹底することが不可欠です。

コードは単なる番号ではなく、ステーションの運営における重要な情報です。
正確な理解・適切な使用・厳重な管理を通じて、質の高い訪問看護サービスを提供し、利用者の信頼を得ることが重要です。

関連法規や制度の変更にも常に注意を払い、最新の情報に基づいて業務を行うように心がけましょう。

訪問看護ステーションコードの種類

本章では、訪問看護ステーションで使用される以下のコードについて、役割・構成・使われる場面などを詳しく見ていきましょう。

  • 医療機関コード(7桁)
  • 事業所番号(10桁)

それぞれのコードを把握すれば、事務処理を行う際のミスを削減できます。

医療機関コード(7桁)

医療機関コードは、主に医療保険を使って訪問看護の費用を請求する際に必要となるコードです。
健康保険法に基づき、各都道府県の地方厚生局が、病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションといった保険医療機関ごとに設定しています。

医療機関コードの主な目的は以下のとおりです。

  • 診療報酬(訪問看護療養費)の正確な請求処理
  • 医療機関同士のスムーズな情報連携
  • 国や自治体による医療提供体制の把握・分析

医療機関コードは7桁の数字で構成されており、その内訳は全国共通のルールで決まっています。

名称桁数意味例(東京都の場合)
都道府県番号2桁事業所が所在する都道府県を示します。13(東京都)
点数表番号1桁医科・歯科・調剤・訪問看護などの区分を示します。(訪問看護は「7」)7
医療機関番号4桁都道府県内で各機関に割り振られた固有の番号です。1234

上記の例の場合、この訪問看護ステーションの医療機関コードは「1371234」となります。
このコードは、医師が発行する訪問看護指示書や、国民健康保険団体連合会(国保連)や社会保険診療報酬支払基金に提出する診療報酬明細書(レセプト)に記載されます。

特に、令和6年(2024年)7月からは、一部の例外を除き訪問看護の医療保険請求がオンラインで行われることが義務化されました。
この変更に伴い、正しい医療機関コードの入力はますます重要になっています。

事業所番号(10桁)

事業所番号は、主に介護保険を使って訪問看護の費用を請求する際に必要となるコードです。
介護保険法に基づき、都道府県または市町村が、訪問看護ステーションを含む介護サービス事業所ごとに指定・設定します。

事業所番号は全国の介護サービス事業所を識別するための、10桁の固有の番号です。

事業所番号コードの主な目的は以下のとおりです。

  • 介護給付費の正確な請求処理
  • ケアマネジャーや他の介護サービス事業所との円滑な連携
  • 自治体による介護サービス基盤の整備計画策定

事業所番号は、以下のような10桁の数字で構成されています。

名称桁数意味
都道府県・指定都市・中核市番号2桁事業所が所在する自治体を示します。
事業所種別・サービス種別2桁訪問看護や通所介護といったサービスの種類を示します。
連番6桁自治体内で割り振られた固有の番号です。

この事業所番号は、ケアマネジャーが作成する居宅サービス計画書(ケアプラン)や、国民健康保険団体連合会(国保連)に提出する介護給付費明細書に記載されます。
介護保険の請求では、この10桁の事業所番号に加えて、提供したサービス内容をさらに細かく分類したサービスコードを組み合わせて請求情報を作成します。

医療機関コードと事業所番号は、根拠となる法律も管轄だけでなく、桁数も全く異なるものであることをしっかり区別しておきましょう。

訪問看護関連コードの使い分け早見表

本章では、解説してきた「医療機関コード」と「事業所番号」の違いを、一目で比較できる早見表にまとめました。
日々の業務で迷った際には、以下の表を見返して確認してください。

比較項目医療機関コード事業所番号
主な用途医療保険(訪問看護療養費)の請求介護保険(介護給付費)の請求
桁数7桁10桁
管轄地方厚生局(国)都道府県・市町村
根拠法健康保険法介護保険法
主な記載書類・訪問看護指示書
・診療報酬明細書(レセプト)
・居宅サービス計画書(ケアプラン)
・介護給付費明細書
構成例都道府県番号(2桁)+点数表(1桁)+機関番号(4桁)自治体番号(2桁)+サービス種別(2桁)+連番(6桁)

上記のように、利用者の保険証を確認し、医療保険と介護保険のどちらで請求するのかを最初に判断することが、正しいコード選択の鍵となります。

訪問看護ステーションコードの調べ方

電子カルテ

自分の事業所のコードが分からなくなった場合や、連携先のステーションのコードを確認したい場合など、各種コードを調べる必要がある場面も出てくるでしょう。
ここでは、公的で信頼性の高い情報源を使った調べ方を、ステーションコードの種類別にご紹介します。

医療機関コード(7桁)の調べ方

医療機関コードは、厚生労働省や地方厚生局のWebサイトで確認できます。

方法説明
医療情報ネット(ナビイ)を利用する厚生労働省が運営する医療情報ネット(ナビイ)では、全国の医療機関を検索できます。ステーション名や住所などで検索し、詳細情報ページで医療機関コードの確認が可能です。
地方厚生局のウェブサイトで確認する各地方厚生局のウェブサイトには、管轄内の保険医療機関の一覧が掲載されている場合があります。PDFやExcelファイルで提供されていることが多いので、一覧からの検索も容易です。

医療機関コードを調べる際は、まずコードの種類を把握しましょう。
都道府県コード・医療機関コード・診療科コードなど、目的に応じて必要なコードが異なります。

次に、信頼できる情報源を利用することが重要です。
各都道府県の医療機関情報提供システムや、厚生労働省の医療機能情報提供制度のWebサイトなどが、正確な情報を得るための有効な手段となります。

情報検索時には、医療機関名・住所・診療科名などの情報を組み合わせることで、より効率的に目的のステーションコードを見つけ出せます。

また、コード体系が都道府県によって異なる場合もあるため、対象となる医療機関の所在地を必ず確認するようにしましょう。 もしオンラインでの検索が難しい場合は、各都道府県の医療機関情報提供窓口に直接問い合わせましょう。

専門の担当者が、適切な情報提供をしてくれます。

事業所番号(10桁)の調べ方

事業所番号は、介護保険に関する情報を扱う公的サイトで検索するのが確実です。

方法説明
介護サービス情報公表システムを利用する厚生労働省が運営するこのシステムでは、全国の介護サービス事業所の詳細情報を検索できます。ステーション名やサービスの種類、地域などから絞り込み、事業所の基本情報ページで10桁の事業所番号を確認できます。
各都道府県のウェブサイトで確認する多くの都道府県では、介護保険課や高齢福祉課のページで、管内の指定事業所一覧を公開しています。こちらもPDFやExcel形式で提供されていることが多く、定期的に情報が更新されています。

訪問看護ステーションの事業所番号は、都道府県や市区町村・サービスの種類(訪問看護)・事業所名などで絞り込むことで、該当する事業所の情報を見つけられます。

また、事業所番号は訪問看護の利用に関する書類(訪問看護計画書・訪問看護報告書・領収書など)にも記載されています。
上記の書類を確認することも有効な手段です。

もし、どうしても見つからない場合は、直接訪問看護ステーションに問い合わせるのがもっとも確実な方法です。

梅沢 佳裕 氏
梅沢 佳裕 氏

「訪問看護ステーションコード」という医療保険には7桁の医療機関コード、介護保険には10桁の事業所番号を用いることによって、現場の混乱は的確に解消します。これらのコードは、根拠法や管轄、構成、記載書類が全く異なるため、混同はレセプトの返戻や入金遅延に直結し、円滑な運営を阻害しかねません。特に、2024年7月からの医療保険請求オンライン義務化を鑑みると、コード入力の正確性の重要性は増す一方です。職員への徹底した研修に加え、ワイズマンのような訪問看護専用システムを導入し、コード自動反映や法改正対応といった機能でヒューマンエラーを撲滅し、請求業務を効率化することが、スタッフの事務負担を大幅に軽減し、本来の利用者ケアへの注力を可能にし、質の高いケア提供と経営安定化のポイントとなってくるでしょう。

ワイズマンの訪問看護システムを活用して請求業務を効率化

ステーションコードを正確に把握して請求業務などを行うなら、ぜひ弊社ワイズマンの訪問看護ステーション管理システムSPをご活用ください。

日々の多忙な業務の中で、法改正のたびに変更点をチェックし、間違いなくコードを入力し続けるのは、大きな負担ではないでしょうか。
特に以下のような懸念は常にあるかと思います。

  • 手入力による単純な入力ミスが怖い
  • 保険制度の変更に、自力で対応しきれるか不安
  • 一度でも返戻があると、原因究明と再請求に時間が取られてしまう

上記の課題を解決し、請求業務の不安から解放されるためのもっとも有効な手段が、訪問看護専用のシステムを導入することです。

訪問看護に最適なシステムを導入するなら、ワイズマンがおすすめです。

ワイズマンの訪問看護システムを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

コード入力ミスの撲滅利用者の基本情報や保険情報を一度登録すれば、レセプト作成時に必要なコードが自動で反映されます。手入力が不要になるため、入力ミスや桁間違いといったヒューマンエラーを根本から防止できます。
法改正・報酬改定への迅速な対応制度の変更があると、システムが自動でアップデートされます。事業所のスタッフが自ら情報を追いかけなくても、常に最新のルールに準拠したレセプト作成が可能となり、返戻リスクを大幅に低減します。
医療と介護のシームレスな連携ワイズマンが提供する医療・介護連携サービス「MeLL+(メルタス)シリーズ」を併用すれば、地域の病院やケアマネジャーとの情報共有が格段にスムーズになります。利用者の情報を安全かつ効率的に連携できるため、より質の高いケアの提供につながります。
安心のワンストップサポートワイズマンは、システムの企画・開発から販売、導入後のサポートまでを一貫して自社で行っています。操作で分からないことがあっても、専門のサポートスタッフが迅速に対応してくれるため、パソコン操作が苦手な方でも安心して利用できます。

請求業務の負担を軽減し、本来の業務である利用者へのケアにもっと時間をかけたいと考えているなら、ぜひ一度ワイズマンのシステム導入をご検討ください。

訪問看護ステーションコードを正しく理解しよう

訪問看護の請求業務において、コードの正確性は非常に重要です。
訪問看護ステーションを一意に識別するための単一のコードは存在せず、医療保険と介護保険で異なるコードを使用する必要があるからです。

医療保険の場合は、医療機関コード(7桁)が用いられますが、医療機関を識別するために厚生労働省が付与します。
一方、介護保険の場合は事業所番号(10桁)が用いられ、これは介護保険サービスを提供する事業所を識別するために自治体が付与します。

また、医療機関コードと事業所番号は、その構成や根拠となる法律が全く異なる点にも注意が必要です。

医療機関コードは健康保険法に基づき、医療機関の種別や所在地などに基づいて構成されています。
一方、事業所番号は介護保険法に基づき、事業所の種類や指定年月日などに基づいて構成されています。

どちらのコードを使用するかは、訪問看護を利用する方の保険の種類によって決定されるため、請求を行う前に必ず適切なコードを選択しましょう。
そのため、それぞれのコードを混同しないように、早見表などを活用して正確に区別することが重要です。

もしコードが不明な場合は、厚生労働省や各自治体の公式ウェブサイトで確認することがもっとも確実な方法です。
それぞれのWebサイトでは、最新の情報が提供されており、誤った情報に基づいて請求を行うリスクを避けられます。

また、訪問看護システムを導入することで、請求業務の正確性と効率性を大幅に向上させられます。
これらのシステムは、コードの自動入力・チェック機能・レセプト作成支援機能などを備えており、人的ミスを減らすとともに、事務作業の負担の軽減が可能です。

訪問看護システムを導入する際は、ぜひワイズマンの訪問看護ステーション管理システムSPをご検討ください。
現場のニーズに応じた優れたシステムに加え、手厚いサポートを受けられるため、書類作成や請求業務などの効率化を実現できます。

監修:梅沢 佳裕

人材開発アドバイザー

介護福祉士養成校の助教員を経て、特養、在宅介護支援センター相談員を歴任。その後、デイサービスやグループホーム等の立ち上げに関わり、自らもケアマネジャー、施設長となる。2008年に介護コンサルティング事業を立ち上げ、介護職・生活相談員・ケアマネジャーなど実務者への人材育成に携わる。その後、日本福祉大学助教、健康科学大学 准教授を経て、ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表として多数の研修講師を務める。社会福祉士、介護支援専門員、アンガーマネジメント・ファシリテーターほか。

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