2020.03.11
お知らせ

2020年度診療報酬改定のポイント整理

Q12020年度改定の全体的な総評は? 病院・診療所・薬局のポイントは?

2020年2月7日、改定案の答申において主要な点数の全体像や見直し事項が明らかになりました。2020年度改定の鍵を握る「基本方針」と「答申」の内容を整理すると、5つのポイントが挙げられます(下図)。今改定の全体的な印象としては、前回改定で点数体系の抜本的な整備が済んでいるため、前回を踏襲したテコ入れが多く、加えて病院・診療所・薬局それぞれの目指す明確なベクトルに沿った見直しとなった点が特徴的だといえます。

まず、全体に関わる【①制度面】を確認すると、2025年から2040年へのシフトチェンジを印象づける「全世代型社会保障」というキーワードが盛り込まれ、「地域包括ケアシステム」に変わる道標として「地域共生社会」の実現に向けて本格的に舵が切られた印象です。【②働き方改革】の詳細はQ2で後述しますが、救急医療に特化した評価が特例的に盛り込まれ、収入増の恩恵はごく一部に限られる点に留意しなければなりません。

【③病院】では2025年を見据えた「地域医療構想の実現」を目指す中、急性期病棟は入院料に係る基準の厳格化、地域包括ケア病棟は400床以上の大病院の参入制限、回復リハビリ病棟はアウトカムを重視した評価が盛り込まれ、それぞれの相応しい患者像とその機能がより明確化されました。加えて病床の削減と転換に係る支援策の拡充が組み込まれたことにより、病床再編が加速する可能性が高まったといえます。これに対し、【④診療所】は大幅な見直しがなく、「かかりつけ医機能の強化」が推進され、【⑤薬局】も引き続き「薬局ビジョンの推進」に基づく改定となりました。

診療報酬改定は、制度の誘導と医療費のコントロールという役割を担いつつ、患者への適切なサービス提供体制を構築していくうえで欠かせない仕組みです。医療機関では今後の改定もこれらの制度的なトレンドに沿っていく点を再認識し、中長期的な視野で対応策を練っていきましょう。

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ワイズマン編集部

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