【医療業界動向コラム】第177回 令和8年度診療報酬改定における地域包括医療病棟入院料と地域包括ケア病棟入院料の見直し

2026.03.03

令和8年度診療報酬改定では、病棟単位ではなく、病院そのものの機能を明確化・特化していくことを促すような内容となっている個所が散見される。例えば、新設された急性期拠点機能に該当する急性期病院一般入院料では、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟を有しないことが要件に加えられている。また、地域包括医療病棟入院料も同様に、一般入院基本料を有してない、すなわち一般病棟は地域包括医療病棟入院料のみの場合に対して、他の機能を有している場合は約50点引き下げられる。新たな地域医療構想では、従来の病床機能報告とは別に病院そのものの機能を明確化する医療機関機能報告が求められることへの対応といえる。

また、DPCに関する個別改定項目をみると、令和10年度診療報酬改定以降は急性期病院一般入院基本料の届出がある病院を原則とする考えが示されている。さらに、DPC対象病院でも短期滞在手術等基本料3を算定することとなることから、病床規模が大きくないDPC対象病院の場合は、DPCデータの提出数が減少し、DPCからの退出が余儀なく求められる可能性もある。これらから予見できることは、急性期一般入院料を廃止して、包括評価である地域包括医療病棟入院料もしくは地域包括ケア病棟入院料へと徐々に移行を促しているということだ。これからの2年間、急性期一般入院料を有する病院には大きな決断が迫られるともいえる。

地域包括医療病棟入院料、6つの区分に細分化

一般病棟入院基本料の有無、緊急入院や手術の有無でさらに評価を細分化するものとなった。なお、85歳以上の患者の割合が二割を増すごとに平均在院日数が緩和される仕組みになっているなど、高齢者救急でありながらADLの維持・改善が求められるなど要件が厳しいことが指摘されていたことから、高齢患者割合に応じた要件の緩和が図られることとなった(図1)。

図1 地域包括医療病棟入院料クリックして拡大表示)

注目したいのは「包括期充実体制加算」だ。許可病床数200床未満の救急医療若しくは下り搬送を受け入れる体制を有する急性期病棟を有しない保険医療機関で、地域包括医療病棟又は地域包括ケア病棟で算定できる在宅及び介護保険施設の後方支援機能を評価するものだ。先述の通り、病院としての機能を明確化、病床削減を推進し、病棟と外来の一元化を評価する内容となっている。
なお、包括期充実体制加算では入退院支援加算1の算定が必須となっているが、今回から地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料における入退院支援加算1ロを新設(1,000点)する。従来のロはハに移行(点数据置き)となる。

地域包括ケア病棟入院料、栄養管理に注目

地域包括ケア病棟については、地域包括医療病棟と同様に、緊急入院と予定入院で差を設ける見直しとなる。具体的には、在宅患者支援病床初期加算において救急搬送から緊急入院した患者に対象を拡大するとともに、緊急入院とそれ以外で評価に差をつける。また、これまで包括範囲内とされていた退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料を出来高算定可能とすることとなった(図2)。

地域包括ケア病棟入院料においてもリハビリテーション・栄養・口腔連携加算を算定可能とし、当該加算を算定する患者について、入院栄養食事指導料及び栄養情報連携料の算定を可能とすることとなった。なお、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算については、ADL低下割合などの要件が緩和された加算2が新設されている。

図2 地域包括ケア病棟入院料クリックして拡大表示)

包括評価の病棟における除外薬剤・注射薬の範囲の見直し

高額な薬剤を理由に包括期入院での受入れに影響が出ていることがたびたび指摘されてきていた。そこで、生物学的製剤及びJAK阻害薬(いずれも免疫・アレルギー疾患の維持期の治療に用いられており、他の治療薬で代替不能な場合に限る)を除外薬剤に追加することとなった。

 

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

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