【医療業界動向コラム】第172回 重症度、医療・看護必要度の見直しの内容、賃上げ・物価高への診療報酬上の対応方針が示される

2026.01.27

令和7年1月14日、第641回中央社会保険医療協議会が開催され、重症度、医療・看護必要度における内科系症例の受入れを底上げする評価の考え方、賃上げに対する対応の方向性について明確にされている。

手術無し症例の多い病棟で重症者割合が大きく増える見直しへ。課題は、該当患者割合の基準値の設定

令和8年度診療報酬改定で大きな注目の一つとなっている重症度、医療・看護必要度の見直しについて。具体的には、手術を必要としないものの多くの検査が必要となる高齢患者の受け入れへの対応を評価するもので、内科系症例を重症者として重症者の割合を底上げするもの。ポイントはA・C項目の評点の見直しと新たな項目の追加、救急搬送受入実績を加味するというもの。

今回、そのシミュレーション結果が示された(図1)。なお、地域包括医療病棟については、A項目3点以上ではなく、2点以上としてシミュレーションをしている。結論としては、救急搬送の受入れを積極的に行う病院で手術なし症例の多い病棟では、重症者割合(看護必要度該当患者割合)が大きく向上する、という結果だった(図2)。

図1 救急搬送受入件数を活用した重症度、医療・看護必要度のシミュレーション(クリックして拡大表示
図2 急性期一般入院料1~5の変更後の基準該当割合(クリックして拡大表示

こうした結果から、A・C項目の追加及び地域包括医療病棟におけるA得点を2点以上もしくはC得点1点以上とすることと救急搬送受け入れ実績を加味する方向が明確になった。ただ問題は、該当患者割合をどうするかということだ。重症の基準を見直したこともあり、ある程度の割合の引き上げも考えられるだろう。

看護職員処遇改善評価料は名称変更の上、存続へ。ベースアップ評価料も同様に名称を変更し、事務負担を軽減へ。

看護職員処遇改善評価料を廃止し、入院基本料やベースアップ評価料に包括することも検討の一つとなっていたが、存続する見通しが明らかとなった。同時に名称変更する方針も今回明らかにされている。これは、ベースアップ評価料も同様に名称変更される予定で、存続となる。また、届出に必要な事項を厳選して簡素化を図ることや賃金改善計画書の廃止、算定区分の再計算を従事者数や診療回数・日数に大きな変動があったときのみ任意に行うこととするなど負担の軽減を図る方針も明らかにされた(図3)。

図3 ベースアップ評価料の届出書類と算定スケジュールについて(クリックして拡大表示

ベースアップ評価の今後の在り方について、その方向性も示されている。
まず、入院に関しては前回改定分のベースアップ評価料と今回の賃上げ余力・回復分を入院料に包括した上で引上げ、令和8年度診療報酬改定でのベースアップ評価料をさらに評価するというもの。なお、現在ベースアップ評価料を届出していない場合は、引き上げられた入院料から相当分を減額する(図4)。今回からは対象者は拡充され、事務職員・看護補助者の他、前回は入院基本料で措置賃上げの措置が行われた40歳未満の勤務医等も加えられる。

図4 入院ベースアップ評価料に関する対応等について(案)(クリックして拡大表示)

外来については、診療所はベースアップ評価料の届出が全体の4割程度と低調であることから、初診・再診料に包括するのではなく、前回改定分・今回改定分として評価する方針だ。なお、ベースアップ評価料(Ⅱ)については継続となる。
薬局(調剤報酬)については、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)を参考に、目標とする賃上げに必要な金額の中央値に基づいて、調剤基本料1回あたりの新たな評価を設ける方針も明らかとなった。
その他、物価高対策についても議論が進んでおり、基本診療料(初診料、再診料、入院基本料)を引き上げると共に、物価上昇に対する加算を新設する方針だ。入院については医療機関の機能や救急受入れ実績などによって基本診療料を増額することが検討されている。

 

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。https://www.hckn.work

連載記事に関連するコラム

資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら
検討に役立つ資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら