介護報酬の減算・加算とは?単位数や要件を一覧で徹底解説

2026.04.26

介護サービス事業所の収益に大きく影響する制度の一つが「介護報酬」です。
介護報酬は、サービスの内容や質、事業所の体制などによって単位数が変動する仕組みとなっており、その中で重要な要素となるのが「加算」と「減算」です。

近年は、介護人材不足やサービスの質の向上を背景として加算制度の細分化や減算項目の強化が進んでおり、令和6年度の介護報酬改定でも新たな減算制度が追加されました。

そこで本記事では、介護報酬の減算・加算について、単位数や要件をわかりやすく解説します。
令和6年度の介護報酬改定による減算項目についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

介護報酬の加算・減算とは

介護保険制度では、介護サービスの提供に対して国が定めた「介護報酬」が支払われます。
介護報酬は一律ではなく、サービスの内容や事業所の体制、職員配置などによって変動する仕組みです。

加算は一定の基準を満たした場合に基本報酬へ追加される制度であり、減算は基準を満たしていない場合に基本報酬が減額される制度です。

介護報酬の仕組み

介護報酬とは、介護保険制度において事業所が提供したサービスに対して支払われる報酬です。
介護報酬は基本的に「単位数」で設定されており、その単位数に地域ごとの単価を乗じることで実際の報酬額が算出されます。

各サービスには基本報酬が設定されており、さらにサービス提供体制や人員配置、利用者の状態などに応じて「加算」や「減算」が適用されることで、事業所が受け取る報酬額が変動します。

つまり介護報酬は、サービスの質や事業所の体制によって増減する仕組みとなっているのです。

加算・減算の役割

介護報酬における加算と減算は、単に報酬を調整するだけではなく、介護サービスの質を向上させるための重要な制度です。
国は加算制度を通じて、質の高いサービスを提供する事業所を評価し、報酬面でのインセンティブを与えています。

例えば、専門職の配置やリハビリ体制の充実、利用者の自立支援への取り組みなどは、加算として評価されることがあります。

一方で減算は、運営基準を満たしていない場合などに適用される制度であり、適切な運営体制を確保する役割を担っています。

介護報酬の加算・減算が重要な理由

介護事業所にとって、加算や減算の制度を理解することは経営面でも重要です。
介護報酬は事業所の収益の大部分を占めるため、加算を適切に算定できるかどうかで収益が大きく変わる可能性があります。

一方で減算が適用されると、基本報酬が10%〜30%程度減額される場合もあり、事業所経営に大きな影響を与えることがあります。

介護報酬の加算・減算一覧

介護サービスにはさまざまな種類があり、各サービスごとに介護報酬の加算・減算が設定されています。

下記の介護サービスごとの主な加算・減算要件・単位数を確認して、適切に介護報酬を算定しましょう。

  • 訪問介護の加算・減算
  • 訪問入浴の加算・減算
  • 訪問リハビリテーションの加算・減算
  • 居宅療養管理指導の加算・減算
  • 通所介護の加算・減算
  • 通所リハビリテーションの加算・減算
  • 福祉用具貸与の加算・減算
  • 短期入所(ショートステイ)の加算・減算
  • 特定施設の加算・減算
  • 夜間対応型施設の加算・減算
  • 認知症対応型施設の加算・減算

訪問介護の加算・減算

訪問介護では、サービスの質や人員体制を評価するために多くの加算が設定されています。
特に「特定事業所加算」や「サービス提供体制強化加算」は、職員配置や研修体制などが整備されている事業所を評価する制度です。

一方で、訪問介護では「同一建物減算」が代表的な減算として知られています。

区分加算・減算単位数主な要件
加算特定事業所加算約3〜20%加算(事業所の体制により異なる)研修体制・職員配置・重度利用者対応など
加算サービス提供体制強化加算6〜22単位介護福祉士割合などの基準
加算介護職員等処遇改善加算報酬の数%賃金改善の実施
減算同一建物減算約10%減算同一建物利用者への訪問

訪問入浴の加算・減算

訪問入浴介護は、入浴が困難な利用者の自宅を訪問し、安全に入浴を支援するサービスです。
加算としては、サービス提供体制強化加算や介護職員等処遇改善加算などがあり、職員配置や研修体制などが評価されます。

一方で減算としては、人員基準を満たしていない場合や定員超過などが該当します。

区分加算・減算単位数主な要件
加算サービス提供体制強化加算約6〜22単位介護福祉士割合など
加算介護職員等処遇改善加算報酬の数%職員の処遇改善
減算人員基準欠如減算約30%減算職員配置不足
減算定員超過減算約30%減算定員以上の利用

訪問リハビリテーションの加算・減算

訪問リハビリテーションは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職が自宅を訪問してリハビリを提供するサービスです。
代表的な加算には「リハビリテーションマネジメント加算」や「短期集中リハビリテーション加算」などがあります。

減算としては、医師の指示がない場合や専門職の配置が不足している場合などに適用されます。

区分加算・減算単位数主な要件
加算リハビリテーションマネジメント加算約180単位計画的なリハビリ実施
加算短期集中リハビリテーション加算約200単位退院直後の集中リハビリ
減算診療未実施減算報酬減額医師の指示書が必要

居宅療養管理指導の加算・減算

居宅療養管理指導は、医師や薬剤師、歯科医師などの医療専門職が自宅を訪問し、療養生活に関する管理や指導を行うサービスです。
このサービスでは、医療専門職による管理内容に応じて単位数が設定されています。

必要な記録や計画書が作成されていない場合などは、減算対象となる可能性があります。

区分加算・減算単位数主な要件
加算医師居宅療養管理指導約500単位医師による訪問指導
加算薬剤師管理指導約300単位服薬管理
減算記録不備減算報酬減額指導記録未作成

通所介護の加算・減算

通所介護(デイサービス)は、利用者が施設に通いながら日常生活支援や機能訓練を受ける介護サービスです。
代表的な加算としては「個別機能訓練加算」「入浴介助加算」「サービス提供体制強化加算」などがあります。

減算としては、定員超過利用減算や人員基準欠如減算など、安全なサービス提供を確保するための制度が設けられています。

区分加算・減算単位数主な要件
加算個別機能訓練加算約56単位機能訓練指導員配置
加算入浴介助加算約40〜60単位個別入浴支援
加算サービス提供体制強化加算約6〜22単位介護福祉士割合
減算定員超過減算約30%減算定員超過利用
減算人員基準欠如減算約30%減算人員配置不足

通所リハビリテーションの加算・減算

通所リハビリテーション(デイケア)は、医療機関や介護老人保健施設などで提供されるリハビリ中心の通所サービスです。

通所リハビリでは、リハビリテーションマネジメント加算や短期集中リハビリテーション加算など、リハビリ計画の作成や評価体制を重視した加算が設定されています。

一方で、専門職の配置不足や医師の指示書がない場合などは減算の対象となる可能性があります。

区分加算・減算単位数主な要件
加算リハビリテーションマネジメント加算約180〜250単位計画的リハビリ管理
加算短期集中リハビリ加算約110〜200単位退院後3カ月以内
加算栄養改善加算約200単位栄養ケア計画
減算人員基準欠如減算約30%減算専門職不足
減算医師指示書未整備報酬減額医師の指示必須

福祉用具貸与の加算・減算

福祉用具貸与は、車いすや介護ベッド、歩行器などの福祉用具を利用者に貸し出し、在宅生活を支援するサービスです。

福祉用具貸与では、専門相談員による適切な選定や利用状況の確認、定期的なモニタリングなどが求められます。利用者の状態変化に応じて用具の見直しを行うことも重要です。

減算としては、必要な説明や記録が行われていない場合や、適切でない用具を貸与した場合などが該当する可能性があります。

区分加算・減算単位数主な要件
加算専門相談員配置サービス評価福祉用具専門相談員配置
加算モニタリング実施サービス評価定期的な利用確認
減算不適切貸与報酬減額適切でない用具
減算記録不備報酬減額利用記録未整備

短期入所(ショートステイ)の加算・減算

短期入所生活介護(ショートステイ)は、利用者が短期間施設に入所して介護や生活支援を受けるサービスです。
ショートステイでは、サービス提供体制強化加算や機能訓練体制加算などが設定されています。

減算としては、定員超過利用減算や人員配置基準を満たしていない場合などがあります。

区分加算・減算単位数主な要件
加算サービス提供体制強化加算約6〜22単位介護福祉士割合
加算機能訓練体制加算約12単位機能訓練指導員
減算定員超過利用減算約30%減算定員超過利用
減算人員基準欠如減算約30%減算職員配置不足

特定施設の加算・減算

特定施設入居者生活介護は、有料老人ホームや軽費老人ホームなどで提供される介護サービスです。

特定施設では、サービス提供体制強化加算や看護体制加算、夜勤職員配置加算などが設けられています。これらは職員体制や医療連携体制の充実を評価する制度です。

減算としては、人員配置基準を満たしていない場合や定員超過などが該当します。
施設運営では、利用者の安全確保と質の高い介護サービス提供のために適切な職員配置が求められます。

区分加算・減算単位数主な要件
加算看護体制加算約6〜12単位看護職員配置
加算夜勤職員配置加算約18単位夜勤体制確保
加算サービス提供体制強化加算約6〜22単位介護福祉士割合
減算人員基準欠如減算約30%減算職員不足

夜間対応型施設の加算・減算

夜間対応型訪問介護は、夜間帯における介護ニーズに対応するためのサービスです。

このサービスでは、夜間の安全確保や迅速な対応体制が重要となるため、オペレーター配置や訪問体制などが評価されます。夜間の介護体制を確保することが加算算定のポイントです。

減算としては、必要な対応体制が整備されていない場合や、人員配置が不足している場合などが該当する可能性があります。

区分加算・減算単位数主な要件
加算夜間対応体制加算約100単位夜間対応体制
加算サービス提供体制加算約6〜22単位介護福祉士割合
減算人員不足減算約30%減算職員配置不足

認知症対応型施設の加算・減算

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症高齢者が少人数で共同生活を送りながら介護サービスを受ける施設です。

認知症対応型施設では、認知症ケア体制加算やサービス提供体制強化加算などが設けられています。

減算としては、身体拘束廃止の取り組みが不十分な場合や人員配置基準を満たしていない場合などがあります。

区分加算・減算単位数主な要件
加算認知症専門ケア加算約3〜12単位認知症ケア体制
加算サービス提供体制強化加算約6〜22単位介護福祉士割合
減算身体拘束廃止未実施減算約10%減算身体拘束廃止
減算人員基準欠如減算約30%減算職員不足

令和6年度の介護報酬改定による減算項目

令和6年度の介護報酬改定では、介護サービスの質の向上や安全管理体制の強化を目的として、新たな減算制度が導入されました。
特に「業務継続計画(BCP)」の策定や「高齢者虐待防止対策」など、事業所の運営体制に関する基準が強化されています。

令和6年度改定で特に重要とされる減算項目は、下記のとおりです。

  • 定員超過利用減算
  • 業務継続計画未策定減算
  • 高齢者虐待防止措置未実施減算
  • 訪問介護への同一建物減算
  • 介護予防サービスの減算単位数増加
  • 身体拘束廃止未実施減算
  • リハビリテーション体制不備による減算

定員超過利用減算

定員超過利用減算とは、事業所が定められた利用定員を超えてサービスを提供した場合に適用される減算制度です。

介護サービスでは、安全なケアを提供するために定員が定められており、定員を超えて利用者を受け入れることはサービスの質の低下につながる可能性があります。

そのため、定員を超過して利用者を受け入れた場合には、基本報酬の一定割合(所定単位数の30%)が減算される仕組みです。

業務継続計画未策定減算

業務継続計画(BCP)未策定減算は、災害や感染症などの非常時に備えた業務継続計画を策定していない場合に適用される減算制度です。

施設系は3%、通所・訪問系などは1%の報酬減算となります。

BCPでは、災害時の職員体制や利用者の安全確保、サービス継続方法などを事前に計画しておく必要があります。

令和6年度の改定では、このBCP策定が義務化されており、未策定の場合には介護報酬が減算される可能性があります。

高齢者虐待防止措置未実施減算

高齢者虐待防止措置未実施減算は、事業所が高齢者虐待防止のための体制整備を行っていない場合に適用される減算制度です。

十分な整備が行われていない場合、所定単位数×1%の減算となります。

介護施設や事業所では、利用者の尊厳を守るための虐待防止対策が重要視されています。

具体的には、虐待防止委員会の設置や職員研修の実施、相談窓口の設置などが求められています。
また、虐待の早期発見や対応体制の整備も重要なポイントです。

これらの措置が実施されていない場合、介護報酬の減算対象となる可能性があります。

訪問介護への同一建物減算

同一建物減算とは、同じ建物に居住する利用者に対して訪問介護サービスを提供する場合に適用される減算制度です。
これは移動時間が少ないことなどを理由に、通常の訪問介護と比較して報酬を調整する目的で設けられています。

特にサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどでは、同一建物内の利用者に訪問介護を提供するケースが多くあります。

事業所は減算対象となる条件を理解し、適切な報酬算定を行うことが重要です。
減算の考え方や対照など、詳しくは次の記事をチェックしてみてください。

介護予防サービスの減算単位数増加

令和6年度の介護報酬改定では、介護予防サービスにおいて減算の単位数が見直されています。
これは、サービス提供体制の適正化や質の確保を目的として導入された制度です。

介護予防サービスでは、利用者の自立支援を重視したサービス提供が求められています。
そのため、基準を満たさない場合、内容に応じて減算が適用される可能性があります。

身体拘束廃止未実施減算

身体拘束廃止未実施減算は、身体拘束の廃止に向けた取り組みを行っていない場合に適用される減算制度です。

十分な取り組みが行われていない場合、施設系・居住系サービスでは所定単位数の10%、訪問・通所系サービスでは所定単位数の1%が減算されます。

身体拘束は利用者の尊厳を損なう可能性があるため原則として禁止されており、介護施設や事業所では身体拘束を行わないケアを実践することが求められています。
身体拘束廃止委員会の設置や職員研修の実施なども必要です。

リハビリテーション体制不備による減算

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職が関与するリハビリサービスでは、専門職の配置や評価体制が重要です。

これらの専門職が適切に配置されていない場合や、計画的なリハビリが実施されていない場合には減算の対象となる可能性があります。

リハビリテーション減算については、次の記事もチェックしてみてください。

梅沢 佳裕 氏
梅沢 佳裕 氏

介護報酬の減算・加算とは、介護サービスの基本報酬に対して、事業所の体制や取組状況に応じて報酬が上乗せされたり、反対に減額されたりする仕組みです。加算は、一定の基準を満たし、より質の高い支援や適切な体制整備を行っていることを評価するものです。一方、減算は、人員配置や運営基準、必要な計画や措置が不十分な場合に適用され、報酬面で不利益が生じます。

つまり介護報酬は、サービスを提供すれば一律に同額になるのではなく、事業所の運営の質や基準遵守の状況が反映される制度です。加算を安定して算定するには、日頃から体制整備や記録、職員配置、必要書類の管理を丁寧に行うことが欠かせません。逆に、基準確認を後回しにすると減算につながり、経営面にも影響しやすくなります。制度の全体像を理解し、自事業所で何を満たし、何に注意すべきかを整理しておくことが大切です。

まとめ:介護報酬の減算・加算要件を理解して、適切に算定しよう

介護報酬の加算・減算は、介護サービスの質や事業所の運営体制を評価するための重要な制度です。加算は一定の要件を満たすことで報酬が上乗せされ、減算は基準未達の場合に報酬が減額されます。

各サービスごとに単位数や算定要件が定められているため、制度内容を正しく理解することが大切です。

減算を防ぎながら適切に加算を算定し、安定した事業所運営と質の高い介護サービス提供につなげましょう。

監修:梅沢 佳裕

人材開発アドバイザー

介護福祉士養成校の助教員を経て、特養、在宅介護支援センター相談員を歴任。その後、デイサービスやグループホーム等の立ち上げに関わり、自らもケアマネジャー、施設長となる。2008年に介護コンサルティング事業を立ち上げ、介護職・生活相談員・ケアマネジャーなど実務者への人材育成に携わる。その後、日本福祉大学助教、健康科学大学 准教授を経て、ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表として多数の研修講師を務める。社会福祉士、介護支援専門員、アンガーマネジメント・ファシリテーターほか。

介護・福祉に関連するコラム

資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら
検討に役立つ資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら