機能訓練計画書の書き方ガイド|記入例・目標例・活動期間・評価のポイントを解説

2026.01.21

「個別機能訓練計画書を作成したいけれど、何から始めれば良いのかわからない」
「この内容で加算要件を本当に満たせているのか不安」

機能訓練を担当することになったばかりだと、わからない点が多く不安になるシーンもあるでしょう。

日々の利用者対応に追われる中、書類作成に時間と手間をかけるのは簡単ではありません。しかし、計画書の質は加算の取得や運営指導への対応だけでなく、利用者の生活の質(QOL)にも直結します。

そこでこの記事では、個別機能訓練計画書の基礎知識から作成手順、記入例や運営指導で注意されやすいポイントを解説します。

自信を持って質の高い計画書を作成できるようになるため、ぜひチェックしてみてください。

個別機能訓練計画書とは?

個別機能訓練計画書とは、利用者一人一人の心身の状態や生活環境、希望を踏まえて作成される個別性の高い機能訓練プログラムの計画書です。単なる訓練内容の記録ではなく、利用者がより自立した生活を送れるよう支援するための設計図として活用されます。

機能訓練の目的である生活の質(QOL)の向上を達成するためには、個別機能訓練計画書の内容が現実的かつ的確であることが必要です。また、介護報酬における個別機能訓練加算の算定においても、個別機能訓練計画書の作成と継続的な運用は必須条件です。

つまり、個別機能訓練計画書は質の高いケアの提供だけでなく、事業所の経営の安定にも関わる重要な書類といえます。

個別機能訓練計画書作成の基本ルール

個別機能訓練計画書を適切に作成・運用するためには、基本的なルールを理解しておく必要があります。ここでは、誰が作成するのか、いつまでに作成するのか、どのくらいの頻度で見直すべきかなど、基本事項について解説します。

作成者の要件

個別機能訓練計画書は、原則として以下のいずれかの資格を持つ機能訓練指導員が中心となって作成します。

  • 看護師・准看護師
  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)
  • 言語聴覚士(ST)
  • あん摩マッサージ指圧師
  • 柔道整復師
  • はり師・きゅう師※

※はり師・きゅう師については、理学療法士などの監督下で機能訓練を行う施設での6カ月以上の実務経験が必要です。

ただし、実際の作成にあたっては看護職や介護職、ケアマネジャーなど多職種との連携が推奨されています。

作成・評価・更新の適切なタイミング

計画書は一度作って終わりではなく、定期的に評価・更新する必要があります。利用者の状態が常に最適な計画で支援されるよう、次のようなサイクルを意識して運用しましょう。

タイミング具体的な時期概要
初回作成利用開始時利用者の利用開始に合わせて速やかに作成する
進捗評価(モニタリング)3カ月に1回以上計画どおりに訓練が進んでいるか、目標達成度はどうかなどを評価する
計画更新評価後、または状態変化時モニタリング結果に基づいて、または利用者の心身の状態に変化があった場合に計画を見直す

個別機能訓練計画書作成における具体的な手順

ここでは、書類作成に不慣れな方でも安心して取り組めるよう、個別機能訓練計画書の作成手順を5つのステップに分けて解説します。手順に沿って進めることで抜け漏れなく、根拠に基づいた計画書を作成できます。

1.情報収集・アセスメント

まずは、利用者に関する多角的な情報収集を行います。本人との面談やご家族からの聞き取り、ケアマネジャーからの情報提供などを通じて生活状況や心身状態、希望などを幅広く把握します。

具体的には、以下のような情報を収集すると良いでしょう。

  • 本人や家族の希望(生活で「できるようになりたいこと」)
  • ADL・IADL(日常生活・手段的生活動作)の現状
  • 認知機能、意思表示の方法
  • 住環境(段差、手すりの有無、家族構成)
  • 既往歴・服薬情報・通院状況
  • 趣味・社会参加の状況

同じ年齢や病歴でも、生活環境や目標は人によって異なります。テンプレートのような情報ではなく、その人らしい生活像を描くための具体的な材料を集めることが重要です。

2.目標設定

次は、アセスメントによって得られた情報をもとに具体的な目標を設定します。

目標設定では、訓練を通じて利用者がどうなりたいのかを本人と一緒に考えることが重要です。本人の意欲や希望を反映させることで訓練へのモチベーションが高まり、実践的な成果につながります。

例えば、筋力をつけるという曖昧な目標ではなく、「また一人でバスに乗って買い物に行きたい」「庭の花の手入れを再開したい」など、生活の中での具体的な動作や活動を目標として設定しましょう。

長期目標(半年〜1年程度)と短期目標(3カ月程度)に分けて考えると訓練の進捗も把握しやすく、振り返りの際にも役立ちます。

3.プログラム立案

目標が定まったら、目標達成までの道筋を具体的なプログラムに落とし込みましょう。重要なのは、誰が担当しても同じように実施できる内容にすることです。具体的な手順や回数、留意点まで明記しておくことで取り組みやすくなります。

例えば、下肢筋力向上のための訓練と書くのは曖昧なため、「15cmの段差を昇降する訓練を10回3セット、週3回実施」といったように、訓練の内容・頻度・回数を明確に記載しましょう。

また、利用者の体調や特性に配慮し、安全面や疲労度にも注意することが必要です。訓練内容が過剰になっていないか、多職種の意見を取り入れてバランスよく設計することが重要です。

4.計画書作成・説明

計画内容が整ったら、書面として個別機能訓練計画書にまとめます。専門用語や略語はなるべく避け、ご家族や他職種が見ても内容を理解できるように平易で具体的な言葉を用いましょう。

完成した個別機能訓練計画書は、利用者ご本人とご家族に丁寧に説明します。一方的に伝えるのではなく、「こういった理由でこの訓練を行う予定です」といった背景や目的を共有することで、納得と安心感を得られやすくなります。

さらに、説明の際には言葉だけでなく図やチェックシートを活用しましょう。双方向のやりとりを意識し、不安や疑問を払拭する場として丁寧に説明する時間を設けてください。

5.同意取得

説明後は、個別機能訓練計画書の内容について利用者本人およびご家族から正式な同意を得ます。

同意は単なるサインではなく、計画に納得し、協力して取り組む意思を確認するための大切なステップです。署名または記名押印をいただいた後、一部は利用者に交付し、もう一部を施設内で保管します。

なお、計画更新時にも、再度同意の取得が必要です。説明と同意のプロセスを大切にすることが、信頼関係の構築にもつながります。

【項目別】個別機能訓練計画書の書き方と記入例

ここからは、項目ごとに書き方のポイントと具体的な記入例を紹介します。ただ書くだけでなく、誰が見てもわかりやすく、なぜそう書いたのかが説明できることが大切です。

1.利用者の基本情報・アセスメント項目

利用者の基本情報・アセスメント項目には、利用者の基本情報や訓練計画を立てる上での基礎となるアセスメント情報を記入します。単なる事実の羅列ではなく、課題や希望が明確になるように記述することがポイントです。

項目書き方のポイント記入例
本人の希望日常生活で「できるようになりたいこと」「困っていること」を本人の言葉で具体的に記載・また一人で近くのスーパーまで歩いて買い物に行きたい
・自宅の庭で花の手入れを続けたい
居宅の環境住宅の構造(玄関の段差、廊下の手すり、トイレの様式など)や家族構成、利用中の他サービスなどを記載・玄関に5cmの段差あり
・廊下やトイレに手すり設置済み
・日中は独居
・週2回ヘルパー利用

2.長期目標・短期目標例

目標設定は、個別機能訓練計画書の心臓部です。心身機能の改善だけでなく、生活に密着した目標を設定することが大切です。

項目書き方のポイントOK例(具体的・本人の希望に沿う)NG例(抽象的・本人不在)
長期目標(6カ月後など)利用者が最終的に目指す生活像を、大きな視点で設定する友人との日帰り旅行に参加し、乗り物の乗り降りや長距離の歩行が安心してできる転倒しない
短期目標(3カ月後)長期目標を達成するための中間目標を、具体的かつ測定可能な形で設定する・介助なしでバスのステップ(30cm)を2段昇降できる
・20分間、休憩なしで連続歩行ができる
下肢筋力を向上させる

3.訓練プログラム内容

設定した短期目標を達成するために、具体的にどのような訓練を実施するのかを詳細に記述します。誰が担当しても同じ訓練ができるよう、具体性と再現性を意識して書きましょう。

プログラム内容の記載項目記入例
訓練内容スクワット運動、段差昇降訓練
目的下肢筋力(大腿四頭筋、大殿筋)およびバランス能力の向上
実施時間・頻度15分間、週3回
負荷量・回数スクワット10回×2セット、段差昇降(15cm)20回
留意事項・訓練前に血圧測定を行う
・膝に痛みが出現した場合は中止する

4.特記事項・同意欄

特記事項・同意欄には、計画書全体の補足事項や、サービス提供上の重要な情報を記載します。

項目書き方のポイント
特記事項訓練を実施する上でのリスク管理(持病に関する注意点など)、他サービスとの連携事項、ご家族への依頼事項などを記載
同意欄計画書の内容を説明した日付、利用者・ご家族の署名(または記名押印)をいただく

運営指導における個別機能訓練計画書のポイント

運営指導(監査)に不安を抱く方は多いものの、日頃から適切な計画書作成と運用を心がけていれば問題ありません。ここでは、特に指導担当者が重視する3つのポイントを解説します。

ポイント1:個別性と具体性のある目標を設定する

運営指導では、個別機能訓練計画書が「その利用者ならでは」になっているかが重視されます。よくある指摘は、目標が抽象的でテンプレートのように見えることです。大切なのは、アセスメント(生活背景・希望・リスク・現状)→目標→訓練内容が一貫しており、なぜその人に必要かを説明できる状態にすることです。

例えば「歩行能力の向上」「筋力をつけて転倒予防」といった目標は方向性としては正しくても、どこで・どの程度・いつまでに・介助量はどうするかが不明確で、評価もしにくくなります。運営指導では「この人の生活課題に結びついているか」「訓練内容が目標に直結しているか」を問われやすい点です。

個別性を出すコツは、目標を生活の場面に落とし込み、数値化できる形にすることです。トイレで転倒リスクが高い利用者なら、アセスメントで「急ぎや方向転換でふらつく」「居室〜トイレまで12m」などの情報があるはずです。

そこから、目標を「1カ月以内に居室→トイレまで杖使用・見守りで往復できる回数を週5回に増やす」のように置くと、生活に直結し、評価もしやすくなります。訓練内容も、方向転換・立ち上がり・歩行動線の練習など、目標と自然につながります。

また、役割や趣味に紐づけると本人の納得が得られ、継続しやすいです。具体的には、園芸を続けたい利用者なら、「歩行向上」ではなく「2カ月以内にベランダで手すり支持で5分立位保持し、水やり動作(前屈・持ち替え)を安全に実施できる」のように、本人の望む生活に直結した目標が立てられます。

このように利用者に合った目標を設定していれば、実施指導で指摘される可能性を下げられます。

ポイント2:モニタリングと評価の記録を欠かさない

個別機能訓練計画書は作成して終わりではなく、継続的に見直していくものです。モニタリング(進捗確認)を3カ月に1回以上行い、結果を記録に残しましょう。

評価では、どの目標に対して何ができるようになったか、次にどうつなげるかまで含めて記述しましょう。PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)が実際に回っていることを記録で示すことが重要です。

ポイント3:多職種連携と情報共有を徹底する

個別機能訓練は、機能訓練指導員だけで完結する業務ではありません。ケアマネジャーや看護師、介護職など他職種との連携・共有体制があるかも重要な評価ポイントです。

例えば、サービス担当者会議の議事録に訓練内容が共有されているか、日々の記録で職種間の連携が確認できるかなどもチェックされます。連絡ノートや会議記録に残す習慣を持ち、チームで支援している体制を明文化しましょう。

個別機能訓練計画書に関するよくある質問

実際に計画書を作成していると、細かい疑問や判断に迷う場面も出てきます。ここでは、特に多い質問とその対応方法をQ&A形式でまとめました。

Q.リハビリテーション計画書との違いとは?

リハビリテーション計画書は医師の指示のもと、医療職(理学療法士など)が作成する医療的な計画書であり、主に身体機能の回復を目的としています。

一方、個別機能訓練計画書は生活機能の維持・向上と自立支援を目的としたもので、機能訓練指導員が中心となって作成します。

項目個別機能訓練計画書リハビリテーション計画書
目的生活機能の維持・向上、自立支援医師の指示に基づく心身機能の回復
作成者機能訓練指導員医師、理学療法士、作業療法士など
医師の指示不要必要

Q.ケアプランが変更になったら、個別機能訓練計画書も作り直すべき?

ケアプランは介護全体の方向性を示すものであり、目標や課題が変更された場合は、個別機能訓練計画書もそれに合わせて見直す必要があります。

なお、軽微な変更であれば追記・補足で対応可能な場合もあります。判断に迷う場合、ケアマネジャーと相談しながら柔軟に対応しましょう。

Q.利用者の病名がわからないときはどう書けば良い?

正確な病名が不明な場合は、無理に推測で記入してはいけません。まずは、ケアマネジャーを通じて主治医に情報提供を依頼しましょう。

それでも不明な場合、利用者やご家族に確認した上で、「本人申告による〇〇の疑い」と記述したり、症状(例:「右半身の麻痺」)を具体的に記述するなどの対応を行ってください。

Q.治療経過欄はどのように記載すべき?

治療経過欄には、現在の機能に影響を与えている既往歴や手術歴、主な治療の経過などを時系列で簡潔にまとめます。
例えば、「令和〇年〇月脳梗塞発症、右片麻痺後遺」「令和△年△月右大腿骨頸部骨折にて人工骨頭置換術施行」のように、日付と事実を客観的に記述します。

Q.個別機能訓練計画書における活動期間とは?

活動期間とは、個別機能訓練計画書が有効である期間、つまり計画の適用期間を指します。一般的には、短期目標の達成を目指す期間として3カ月間と設定します。

「令和7年4月1日〜令和7年6月30日」のように、開始日と終了日を明確に記載しましょう。活動期間が終了する前にモニタリング(評価)を行い、次の期間の計画へとつなげます。

斉藤 圭一氏
斉藤 圭一氏

本記事は、機能訓練計画書の基礎知識から作成手順、記入例、評価や実地指導で注意されやすいポイントまで体系的に解説しており、実務への即時活用が期待できる内容です。特に、目標設定で生活場面に結びつく具体例の提示や、長期目標・短期目標の分け方、評価とPDCAサイクルの重要性が強調されている点は、現場で質の高い計画書を継続的に運用するうえで重要な視点です。
現場の実務では、利用者本人およびご家族と目標を共に考え、納得感を持って取り組める計画を作ることが介護サービスの満足度向上につながります。また、単に計画を立てるだけでなく、モニタリング記録や多職種連携情報の共有を計画書に反映させることで、介護職員・ケアマネジャー・機能訓練指導員それぞれの関わり方が一貫した支援につながることが不可欠です。さらに、実地指導対応としても、計画の根拠と評価の記録が整理されていることがポイントになります。利用者の生活機能を支える実践的な計画書の作成・評価手法として、本記事は介護現場にとって価値あるガイドとなるでしょう。

まとめ:利用者の「できる」を支える個別機能訓練計画書で質の高いケアを実現しよう

個別機能訓練計画書は単なる書類ではなく、利用者一人一人の希望を実現するための設計図です。アセスメントから目標設定、プログラム立案、説明・同意までを丁寧に積み重ねることで、質の高いケアと加算の取得、職員自身のやりがいにもつながります。

モニタリングや多職種連携を通じて計画を正しく運用し、運営指導にも強い事業所を作りましょう。

監修:斉藤 圭一

主任介護支援専門員、MBA(経営学修士)

神奈川県藤沢市出身。1988年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業後、第一生命保険相互会社(現・第一生命保険株式会社)に入社。 1999年に在宅介護業界大手の株式会社やさしい手へ転職し、介護・福祉分野でのキャリアを本格的にスタートさせる。2007年には立教大学大学院にてMBA(経営学修士)を取得。 以降、訪問介護、居宅介護支援、通所介護、訪問入浴などの在宅サービスをはじめ、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅、さらに障がい者向けの生活介護・居宅介護・入所施設など、幅広い福祉サービスの立ち上げ・運営に携わる。 現在は株式会社スターフィッシュ代表取締役として、川崎市麻生区でねこの手(居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、訪問看護事業所)を運営。その傍らで介護・福祉分野の専門家として、現場経験と経営視点の双方を活かし、執筆や講演、コンサルティングなどを行っている。

介護・福祉に関連するコラム

資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら
検討に役立つ資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら